どん引きペットボトル。

八ヶ岳から琵琶湖に向う。 

気温はグングン上がり 
息苦しいほどの暑さだ。 

琵琶湖に着き、長浜で有料駐車場に停めたはいいが 
フェリー乗り場のある長浜港まで相当距離があり 
ボトボト汗を落としながら長浜城を歩く。 

(ちゃんと地図見ておけばよかった) 

たどりついたエアコンの効いたフェリー待合室は 
まさにオアシスそのものだった。 

宿で夕飯を食べながらニュースを見ると 
今日走った岐阜の多治見で38度を記録したらしい。 

最終日、今回の旅で一番長い距離を 
一番暑い時間帯に走る。 

事故に違反、そして故障。 
今日はそんなことよりも 
熱中症のほうが危ぶまれた。 

尼御前SAに入る。 

もう具合が悪くなるほどのどが渇き 
暑さで朦朧とする中、歩道のパイプから 
ミストが出ていた。 

(あんなもの、何の役に立つんだ?) 

若い女たちがミストに当たりはしゃぎはじめた。 

アクエリアスのペットボトルをあっという間に飲み干した俺は 
空になったペットボトルに水道の水を満タンに入れる。 

(涼しいってのは、こういうことだ!) 

仁王立ちになり、ペットボトルの水を頭からかぶる。 

ミストではしゃいでいた女たちがどん引きする。 

「パパ!あの人!」 

フラッペ食ってるガキがどん引きする。 

「お!」 

トイレから出てきたおっさんが立ち止まりどん引きする。 

俺は右肩、左肩、太もも、と 
周囲の空気にかまわず順々にだびだびと体に水をかける。 

SAの客はみな俺を見てる。 



大丈夫だ。みんな大丈夫。こんなびしょ濡れになったって 

10キロも走ればまたカラッカラに乾いてしまうのだから。 




この日、この涼しいショータイムがあちこちのSA・PAで3回続いた。 





そう、これが真夏の旅 


そう、これが真夏のバイク乗り。 

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