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現役放射線技師が語るーー放射性物質の人体への影響と核兵器のおそろしさ

核兵器と他の兵器は何が違うのでしょうか?

私は核兵器と他の兵器の大きな違いは、2つあると思います。一つ目は莫大なエネルギーによる無差別攻撃で、一度の攻撃で多くの人命が奪われる事。もう一つは、核分裂による放射性物質が残り人体に影響を及ぼす事です。
今回は核兵器の核分裂によって生成される放射性物質の人体の影響について、書かせていただきたいと思います。

核保有と核抑止力論を支持する意見も・・・

みなさんの周りでも核兵器について肯定的な考えの方もおられると思います。いわゆる核抑止論で、核兵器を持つことで敵国とのバランスが保たれて安全が確保できているというものです。たしかに世界にはたくさんの考え方があり、一方的な平和の訴えだけでは成り立たたず、紛争に発展しているのが事実です。
しかし、核抑止論は「もしもの時には核を使う」という事が前提となっているため、もし本当に核が使われたらどうなるかまで、考える必要があります。
私たち人類は、核兵器や原発事故などで放射線や放射性物質による被害を経験しています。日本の広島長崎の原爆投下、マーシャル諸島での水爆実験、チェルノブイリ原発事故による被害、福島第一原発事故などです。
それらの事象により人体への影響が研究され、現在の放射線防護の研究に用いられています。放射線や放射性物質の人体への影響は何十年にも及ぶことが知られています。

放射線の影響を説明します

放射線の影響は、人体の細胞自身、細胞内のDNAに作用し、損傷したり、細胞が死滅したりしますが、その細胞の多くのDNAは修復され正常化します。ただ、その損傷が大きかったり、死滅が多いと修復できず、身体への影響は大きくなります。具体的には、臓器の機能が保たれない場合、被ばくによるやけど、DNAの損傷により、将来的にがんの発生率が高くなります。
放射性物質は、大気にまき散らされ、土壌に残り、その除去については、長い年月がかかり、その間、住民は放射線にさらされ続けることになります。

核兵器廃絶へ向け、ともに声を上げていきましょう

今回は放射線の影響だけに絞りましたが、核兵器の影響は私たちの想像を超えるものであり、将来にわたり遺恨を残し紛争や戦争の解決になりません。
逆に核が公然と存在するため、核競争により人類は常に危険と隣り合わせの状態にあります。それよりも国際世論により、戦争ではない解決の手段を模索することが、人類の課題ではないでしょうか?
私たちの力はとても小さいですが、共に声を上げることで変えられるものがあると信じています。私は小さな力を信じたいと思います。



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