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挙句の果てのめくり合い

ネットに全張り

藤田社長の自叙伝のような本を読んだことがある。

学生の頃に麻雀にハマり、雀鬼会に通ったり、フリー雀荘で働き、プロ入りも考えていたそうな。

ここまでは我々凡百と同じなのだが、深夜お客さんに出すカップ焼きそばを作っている時に「ここにいても未来はないな」と感じ、麻雀から離れたという。

1998年(藤田青年は25歳)にサイバーエージェントを設立。
ネット広告事業をメインに、メールだったりブログ(現ameba)だったり検索エンジンだったり、とにかくインターネットに全張りする。

今でこそネットがなければ生きていけない時代だけど、1998年って携帯電話が普及しだしたころで、インターネットっておいしいの?って人が大半だった…という記憶がある。
(2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)ができたのが1999年だ)

そしてみなさんご存知2018年にMリーグを設立。
ホリエモンが「藤田さんは麻雀・ゴルフ・釣り、と全部番組にしちゃって」と苦笑するが、一応会社のビジネスの1つではあるから、なんの勝算もなしにリーグ戦を作ったりはしないわけ。

知力の限りを尽くした挙句の果ての

昨日の試合がすごく良かったというつぶやきが多かった。
一例↓

あまり麻雀に詳しくないという優さんの奥様も興奮するほどである。

じゃあ実際の試合はどうだったかというと、全員が20000点台で争う中…

南2局  流局
南2局① 多井 500/1000
南3局  流局
南4局① 小林 1000オール

と迎えた2本場で、多井が4→2になる1300/2600をツモるというものだった。
数字だけを見たら非常に地味だ。
しかし中身はアツかった。

南3局。

オリたくない親番で、負けられない事情を抱える村上が、それでもこの牌は切れないとテンパイを崩した。

リスクを負うよりこの点差でのオーラスも悪くないという判断だろう

オーラスは全員ががむしゃらに仕掛ける中

やや強引なチンイツ仕掛けの多井がイーシャンテンでドラをプッシュ。
同巡

村上はテンパイの取れる6pをスルーした。
アガリトップの状況で、目の前に垂涎のテンパイ牌がオリてきたというのに、ツモ山に手を伸ばしたのだ。
全員が押してきている状況で、マンズが支配色になりつつある。

実際、待ち表示にある通り滝沢は6m待ち、小林は47m待ちだった。

全員がギリギリまで押し、そしてギリギリで育てた大切な手牌を崩していく…そんなねっちょりとした戦いだった。

そして最後の最後は、我慢で望みを繋いだ村上と、4着→トップまである多井のリーチ対決となった。

多井の必死の形相はやや芝居がかっていたが、それでなくとも力の入る場面だ。

--知力を尽くした挙げ句の果てのめくり合い

藤田社長の勝算とは、麻雀というコンテンツの持つ破壊的な魅力の一点だったと思う。

魅力的なプロがいることだったり、そのプロたちをなんとかしたいという思いもあっただろうが、麻雀でしか出せない知力と運の絡む面白さに、これは魅せる価値のあるコンテンツだという確信があったのだ。

数字上地味な昨日の試合が大盛り上がりだったのを見て、そう思った。

未来がないと離れた世界に、未来を作り出してくれた藤田社長は、麻雀プロにとって本当に神のような存在なのかもしれない。

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