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【試合考察】鹿島アントラーズvsファジアーノ岡山 J1第22節

伝説的な勝利!

何年先も語り継がれるような伝説的な試合というものがありますが、このアウェイ鹿島戦での逆転勝利もそのひとつに加えられるのは間違いないでしょう。正直試合から数日たった今でもその余韻が残ってますからね、ほんとすごいことをやってくれました!

それにしても・・・

こういうゲームを現地で目撃された方がうらやましすぎるよ!だって、あのカシマスタジアムで勝つんだよ?昇格したばっかの岡山がだよ?そんな歴史的瞬間に立ち会えた現地組のファジサポさんには「ほんとうにおめでとうございます。そしてありがとうございます」とお伝えしたい。

首位にアウェイで勝つとかどんどん想像を超えていくなあ。いいねいいね。いけるところまで行きましょう!

スタメン

・思ったとおりの両WB

【戦前考察】でもふれたようにやはり右WBに柳貴博、左WBに佐藤龍之介がそれぞれおさまるスターティングメンバー。マリノス戦でつかんだ手応えと、町田戦のスカウティングと、両方を活かす!という思惑が感じられる両サイドでしたな。

・右SB濃野右SH小池

鹿島の右サイドは小池と濃野のコンビ。この2人はどちらもSH・SBができるという組み合わせですが、小池が前という選択でした。この小池の右SHは対岡山を考えるうえではひとつポイントになっていたかなぁと思います。

試合の流れ

町田戦のこともあってか鹿島はロングボールを選択した試合の入り。対する岡山もルカオをめがけたロングボールでスタート。鹿島は9分、15分に決定機を迎え徐々にペースを握る。

18分。やはり小池。岡山の守備の懐に入ってラストパスを送ると鈴木優磨が流し込み鹿島が先制。岡山もルカオを軸とした攻撃は決して悪くはなかったが先制点を許してしまう展開に。先制後タテに早い鹿島の攻勢が続くが、マイボールになった24分。足元でゆっくりとコントロールしてひと呼吸おく岡山のボール保持とてもいい。おちつく。

29分には神谷のCKにルカオ。マリノス戦と同じような決定機。鹿島の組み立てをうまく邪魔してボールをひっかけるシーンもあり、その一方で捕まえにくい鈴木優磨・小池龍太に展開を作られるという一進一退。しかし、これがよかった。前半はあまりチャンスを作れなかったが0-1で折り返し。

後半開始早々の49分。岡山のGKから神谷がボールを引き取り、右サイドへ。抜け出したルカオのクロスに江坂が合わせ同点。早い時間で1-1に。鹿島はロングボールよりも後半はショートパスのつなぎを見せるが、前半ほどの押し込む展開を作れず。

58分。左サイドを押し込んで佐藤龍之介のシュート。そのこぼれ球の二次攻撃でワンツーから神谷のとんでもないミドルシュートが突き刺さり逆転!なんとカシマスタジアムで逆転してリードを奪うという展開に。

同点弾から以降の岡山はややプレスの位置を下げて、しっかり鹿島の出方を見つつプレスに出ていく。鹿島は岡山のプレスに次第に捕まっていくことになり、平面で思うような展開が作れない。前半あれほど猛威を振るっていた小池が組み立てに関与できなくなったのがその証拠のひとつかなと。

しかし、ボックスに侵入すれば72分のように鈴木優磨の落としにチャヴリッチのコントロールショットなど決定機を作る鹿島。

岡山は交代策がいい。木村に代えて岩渕、ルカオに代えて一美をチョイス。これでさらに前線からのプレッシャーを継続していく。86分には江坂に代えて末吉。末吉はこれでJ1デビュー。

93分のターレスのシュートはゴールの隅へ飛んだ難しいコースだったが、ブローダーセンが指で触ってはじき出しゴールを許さない。

岡山が最後のカシマスタジアムで1-2の逆転勝利。すごい!

感想・注目ポイント


・岡山にもJ1で殴れる強力な個があるぞ!

先制点の江坂のゴールも、逆転弾の神谷のゴールも、めちゃくちゃ高い技術を発揮した素晴らしいゴールでした。J1は前線の選手があのようにとびぬけた個の力を発揮することでチームを勝利に導くことが多くて、そこがJ2とはレベルが全然違うんですよね。

後半戦に向けて岡山の課題は得点力の水準をあげることでした。そういう意味では、チームがしっかりおぜん立てをして、決めるべき人が決めることができれば首位の鹿島でもどうにもできないシーンを生み出すことができるんだ、ということを証明することができたんじゃないかなと思います。すばらしすぎる!

・「おや!?ルカオのようすが・・・!」

前節マリノス戦でゴールを決めたルカオ。もう、この日のルカオは「別人やん!」というくらいハイパフォーマンスを見せていましたね!同点弾のクロスも素晴らしかったので、どうしてもそこに注目が集まりますが、前後半通じてずっと素晴らしかったですよ。

とりわけ、植田とのバトルを制してボールを残すところ、ハイボールにちゃんと競ってセカンドボールを発生させるところは鹿島を相当苦しめていました。でもね、一番すごい!と思ったのが判断なんですよ。次にどうプレーするか?という判断のところがキマりまくっていたなぁと。

ルカオの弱点はまさにそこで、身体を活かしたプレーでボールを扱うのがストロングな反面、自分でなんとかしようとしすぎるきらいがあって。周りをうまく使えずに無理やりクロスとか、無理やりシュートを打って、逆に相手を助けてしまうのが実にもったいなかった。

しかし、この日のプレーはまず自分が局面で勝つ、そして「次にどうプレーしたらもっとチャンスは広がるか?」ということを実に適切に判断していて、つまらないボールロストでチャンスを潰してしまうシーンが非常に少なかった。これは、相手めちゃくちゃ嫌ですよきっと。

もしかしら我々は「はんだんのよさ」を身につけたルカオへと進化するところを目の当たりにしているのかもしれない。

・工藤孝太の成長が楽しい!

前回対戦ではPKを与えてしまったり、チャヴリッチに出し抜かれてしまったりとかなり悔しい試合となった工藤孝太でしたが、やりかえしたな!!

チームもうまく守備を修正して前向きに守備できる状態に持っていけたこともありますが、やっぱり工藤孝太はレオ・セアラあたりと競らせても十分にやれる力がある。これはすごいことですよ。

鈴木喜丈とはタイプが違いますが、前半には左サイドの奥からクロスを上げるシーンがあったし、2点目のシーンなんかは狭いエリアを自分でひとつ運んでタテパスを通し、江坂がフリックして佐藤龍之介が抜け出すという攻撃の始まりでした。

今の岡山の戦い方だと工藤孝太の強みを出しやすいと思うので、今後もどんどんプレータイムを伸ばしていきそうな気がします。J1でモリモリ経験積んで成長していったらほんとに化けるかもしれない楽しみにしたいですね。

・末吉塁がようやく復帰!

長い間待ちわびていた末吉塁がようやく帰ってきました。後半のわずかな時間でしたがこれでJ1デビューですね!単独でボールを持ちだしてドリブルで仕掛けるシーンもあり、「そうそうこれが見たかったんだよ!」と思った人も多いんじゃないか?と思います。彼は流れを代えられるプレーができるタイプだと思うので、またドリブルでタテに仕掛けるシーンをたくさん見せてほしいなと思います。ほんとに、おかえりなさい。まってたよ!

・小池の折りたたみ嫌だったなあ

鹿島の岡山攻略のひとつのポイントとなっていたのは間違いなく右SH小池だったかなぁと思います。鹿島は442のフォーメーションですけど、右SHの小池は中よりに立って折りたたんだようなポジションを取ります。

そうすると右サイドには人がいなくなる分、ちょうど3人目のボランチような位置取りになり、そこを捕まえられる選手がいない。鹿島の先制点とかまさにその形で、小池を見れる選手がいないので、ライン間でボールを引き出され、決定的なパスを出されてしまった。

このSHを折りたたむ形はいわゆる4-2-2-2っぽい形で、ややこしいのでちょっと図を出そうか。

こんな感じで小池が中に入ってくるわけですね。岡山はマンマーク気味に選手を捕まえに行くので、それぞれのターゲットをチェックすると、

このように小池を誰が見るのか?がどうしてもはっきりしない。流れの中で鹿島のFWはポジションを入れ替えてくるし、マークの受け渡しも頻繁にしなきゃいけない。さらに小池どうする問題もあってここが難しかったのが前半のポイントだったかなぁと。

・後半の守備の修正が効果大

同点に追いついてから岡山はややプレスの位置を低めに設定していました。これにより鹿島はCBから展開を作る時間帯が増えていくんですが、前半に見られた小池・鈴木優磨が中継するプレーがさっぱり出せなくなっていきます。

岡山の守備はボールが入った瞬間にプレッシャーがかかるように適切な距離を保てており、鹿島のボールホルダーに時間を与えない。これがめっちゃよかったなあと。交代で入った選手も前線で2度追い3度追いとアグレッシブに動いて、ボールを持つのをあまり得意としない鹿島からすればなかなか落ち着かせてもらえない展開。

「町田は75分まで強度をキープできたから鹿島に勝てたよね」という話を【戦前考察】でしていましたが、この試合のクロージングにおける岡山の守備は文句なしです。こんだけ行って、交わされてもまた行ってというのを頻繁に繰り返されたらどんなチームでも相当に嫌だと思います。

・「岡山らしさ」のJ1ナイズ

実は前節のマリノス戦のとき、選手の口から「岡山らしさ」というワードがよく聞かれたので「あれっ?」と思ったんですよ。岡山らしく戦うというのはJ1になっても見せていたので、「どうしてこのタイミングでそういう言葉がでてくるんだろう?」と不思議だなあと思って。

で、どういう理由なんだろう?と考えていたんですが、おそらくチームの中で「J2で出せていた岡山のスタイルがJ1でも出せつつある」という手ごたえがあるんじゃないか?と思うんですね。マリノス戦は押し込まれたけど、被弾する可能性を限りなく下げてそれでも打たれる分はダーセン頼む!という守り方ができていた。

鹿島戦では最後の最後まで足を止めずにプレスをかけて、ガチガチに引いて守るのではなくより遠くで守備することにかなり成功していた。これって去年1-0で折り返して相手に決定機を作らせずクリーンシートの山を積み上げたときの感じに似てるなーと思うんですよ。

そうした持ち前の「粘り強い守備」に加えて、江坂・神谷が見せてくれたある意味「岡山らしくない」攻撃のクオリティ、いや、この言い方は良くないな、「”新しい”岡山らしさ」を加えていく。そうした兆しが見えたのがこの鹿島戦の大勝利だったんじゃないかなぁと。

いや、もう、楽しみすぎる。次の広島戦にも勝ってJ1リーグ3連勝を達成しましょう。木山ファジはまだまだ強くなれるよ!


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