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たくさん眠った。本当に久しぶりに1日なにも予定が無い日だった。11:50に起きてエイトクラベルのチケットをとってお昼ごはんを食べてまた寝て、起きたら17時だった。まだ眠たかったけどさすがに夜眠れなくなると思って気合いで起きた。
ここ最近目まぐるしかった。3週間前、母が迷子になって警察で保護されてから、考えるべきこととやるべきことが倍増した。今日死んだように眠ってやっと一旦リセットできたかんじがある。明日からまた生きねば。
今までは母にひとりで留守番してもらっていたけどもう家にひとりにもしておけないので、父や姉が在宅勤務をしたり私が有給を使ったりしてなんとか繋いでいる。地元で幼なじみたちと30歳のお祝いをしたくて頑張って残しておいた有給がどんどん消えてなくなって、ライブに行きたくてあけておいた夜にダッシュで実家に向かい、移動時間や家に帰ってからもこれからどうするかの家族会議ラインで一生終わる。仕事をしている時間がいちばん楽だ。仕事が楽しい。相対的に。そんなことある？
私の20代後半はコロナと介護で消えちゃった。後悔してる。でもどこをどうやり直せばよかったのか考えてもひとつもわからない。たぶん何を選んでも後悔していた。
みんなの予習をしているんだと思ってる。周りに同じ状況の友達がいなくてしんどいけど、逆に言えば未来は私がみんなの”同じ状況の友達”になれる。頼れるようになっておこう。見守りカメラ何買った？徘徊対策にエアタグは使える？介護認定もらうためにどうすればいい？今私が聞きたいことを覚えておいて、試行錯誤の道のりも全部覚えておこう。
ゴミカス上司のせいでアフターピルを飲まざるを得ない状況になったとき、そのあと友達何人かに相談をされた。家族に妊娠検査薬を見られる訳にはいかないから駅ビルのトイレで試すしかないしんどさとか、次の生理までのみじめさとか、先に経験していたから寄り添えたんだと思う。予習だ。今回の介護も予習。みんなより先にしんどい思いをしておく。
そういえば試験運用ではあるけどアフターピルが夏から薬局で買えるようになるの素晴らしいね。私の署名も役に立っているんだろうか。嬉しいね。
父親はどうやら現実逃避をしているみたいだ。「まあ大丈夫だよ」「お母さんひとりでいれるよ」「なんとかする」みたいなクソの役にも立たない楽観的な返事しか返ってこないので姉と私でどうにかするしかない。
姉がいてくれて良かった。一緒に悩んでくれる存在がいて有難い。今後どうしていくかの建設的な話し合いは姉がいなきゃできなかった。
男親ってなんでこうなんだろうか。このあいだ母の昼ごはん用に父がトルティーヤを買ってきていて姉と私で絶句した。健常者でも食べづらいってのに母が食べられる訳がないじゃんこんなの……
母が初めて警察で保護された日、保護される数時間前まで私は母と一緒に実家にいた。あまりに有給がもったいなくて、これまでも大丈夫だったんだから今日も大丈夫だろうと、母を実家にひとりにして映画を観に行った。映画を観終わってスマホの電源を入れたら、姉から「母が警察で保護されてるから迎えにいってくる」と連絡が入っていた。ラインの通知は私が家を出た1時間半後だった。雨が降りしきる日、母は傘も持たないでずぶ濡れで町をさまよっていたらしい。
私のせいだと思った。私が一緒にいれば防げたことだった。認知症を原因とした行方不明による死亡者が毎年たくさんいることを知って、私はなんてことをしでかしてしまったんだと死にたくなった。たった数時間の有給をケチって母を失うところだった。娘が私みたいな薄情者でごめんと思った。お母さんの娘はもう少し人の心がある娘が良かった。私が今消えたら大事になってしまうから、私が最初からいなかったことになればいいのにと思った。
スピリチュアル系の話。
その日の夜。このまま一生起きなければいいなと目を覚ますつもりがないまま眠りについた。冷静に考えたらそんな訳はないんだけど、あのときは本当にそのまま永眠するつもりで目を閉じた。
普段滅多に夢なんか見たいのにその日だけは夢を見た。内容は全く覚えていないんだけど、とにかくヒコさんがいた。たぶん特別なことは何もしていない。なんなら会話したかも怪しい。でもヒコさんが出てきて、私はすっかり安心して、たぶんヒコさんに「大丈夫」的なことを言ってもらって、それで目が覚めた。
あの日ヒコさんが夢に出てきてくれなかったら本当にもう私は起きることがなかったんだろうなと思う。そんな訳はないこともわかるんだけど、ヒコさんのおかげで起きられたなあと思いながらしばらくぼーっとしてた。確かちょっと泣いたりもした。思い出してもなんか涙出ちゃう。
スピリチュアルじゃない話だとすると、私って本当に好きな人たちを好きだと思うことで生きられているんだなあと思った。好きだとかおもしろいだとか言うと大抵のみなさんは「ありがとう」と言ってくれるけど、私はみなさんを好きなことが生きる支柱になっているのでこちらがありがとうなのになと思う。
母が迷子になってから日が経った今も毎日「このまま一生起きなければいいな」とか思いながら眠りにつこうとして、「あれ？今週末ツギクルじゃね？」とか思い出して生きる気になって眠りについてる。父があんなんで私まで現実逃避する訳にいかないんだった。今日も生きる。明日も生きる。
知らんかった 安い おいしい 冷たい 嬉しい
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