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映画感想『ザ・クリエイター/創造者』

原題「THE CREATOR」

◆あらすじ◆
AIが人類に牙をむき、米国がAIの根絶に乗り出した近未来。その決定に抵抗し、ニューアジアではなおもAIを受け入れていく中、米国と西側諸国によるAI撲滅戦争は激しさを増していく。元特殊部隊員の男ジョシュアは、人類を滅ぼす新兵器を破壊すための米軍の作戦に参加し、ついにターゲットを捉える。しかしそれは、少女の姿をした超進化型AI“アルフィー”だったのだが…。


こんな聖林大作風で予算が8000万ドルって聞いてビックリした。
その金額で撮ったとは思えない映像が観られたから。


そして余りにタイムリーな戦争SFモノとして成立、人類の愚かさをまざまざと見せつけられる。

アジアが舞台なのは嘗てのベトナム戦争を彷彿させるし現世界情勢への皮肉さも感じさせる展開は自国批判以外の何者でも無い。
ハリウッドと言う世界最大の映画産業界が強硬なアメリカ批判とも取れる今作を世に送り出す姿勢には賛同する。

何故、隣人を受け入れ、認め合えないのか?
他者との違いは当たり前だと思えず攻撃を繰り返すのか?
何故、それを馬鹿らしいと考えられないか?

ましてや自ら創り出したモノに怯えるなんてちゃんちゃら可笑しいのだ。
相手を責める前に己の姿と言動を良く見ろ!と言う教訓。

暴力では何も解決しない事は市井レベルでは解りきっているのに・・・。

今までも多くの作品で主要テーマとして描かれ続けたものではあるが今作では何処か身近に感じるのはこの主人公のジョシュアがただただ【愛】に生きる【純粋なただの男】だからなのかもしれない。

が、今作のテーマが何かと被ろうが、(楽曲がハンス・ジマーだけに)何処ぞのシーンに既視感があろうが上級の見応えに昇華させたのはマデリン・ユナ・ヴォイルズの存在だろう。
とにかく素晴らしい!
劇中では少女とあるがヴィジュアルも存在自体も中性的で性別にはこだわりが無さそうだ。
舞台が【未来の世界】と考えるとそれはもっともだと思えるし既にそうでなくてはならない気もする。


人の営みの中で変わらずに在るものと激しく進化したもの、その見せ方も上手かった。


【愛に生きる男】と前述したが監督が描き出したあの愛ある結末はまさしく元々そこが描きたかったと言わんばかりだった気がする。
ジョシュアが電車の中に恋人マヤの姿を複数見かけるシーンが差し込まれた瞬間にこのラストへの導きは始まっていて途中観客の中にはこれを想像し得た人も居たかもしれない。

でも結局“人の営み”はそこでしか在り得ないという当たり前の理屈を描写したまでだと思える。



▪ 余談だが、なんか某シーンでめちゃ『闇騎士』感出ちゃってて、ジョン・デイヴィッド・ワシントンは次期バットマンでもイイんじゃないかなぁ?なんて思ったり思わなかったり・・・どっちなんだーい⁉と思いました。

あと、ケン・ワタナベが着てる鎧みたいなのはちょっと違和感あって気になった。
ワタシだけだろうけどね。え~っと『ラスト・サムライ』なのかな?ww


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