お話。

今日はお祖母様の命日。

流行病の最中、手の消毒や換気、間合いを取り、マスクをしてうーとーとー。

いつもお喋りが好きな親戚方も、今回ばかりは早めにお帰りになられる。
そんな中、ちょっとした世間話からお祖母様のお話になりました。

1945年、沖縄での戦闘から逃げ惑う中、お祖母様達は浜の洞窟へ隠れました。

お祖母様のお腹の中には、我儕の母上の父上、つまり我儕からすればお爺様…が宿っておりました。
お腹に生命を抱えて戦火から逃げる。どれほどの苦難だったのか、想像することなんてできません。

幾らか時が過ぎたある日、突然、洞窟の外から「出てきなさい」と告げられました。
お祖母様達はどうするか相談しましたが、親戚の御一人が「相手は1人だから、この鎌で殺そう」と提案したそうです。

しかし、周りの説得もあり、抵抗せず皆で洞窟をあとにします。

外に出たお祖母様達はとても驚き、ホッとしたと聞きました。相手は1人ではなく、洞窟の入口周辺を囲むようにアメリカの兵士達が陣取っていたのです。

あの時もしも鎌で襲いかかろうとしていたら、今ここに我儕はいないと思います。
そう考えると恐ろしい話ですが、お喋り好きな親戚方はみな笑い話として語ります。

確かに、いま考えたら「鎌で殺そうなんてwww」となってしまうのかもしれませんが、当時その行動を提案するのにどれほどの想いや勇気がいるのか。

幸せを甘んじて享受している我儕には分からないことばかりです。

そこから話題は広がっていき、アメリカ統治下時代の話、左側通行に変わった時の混乱、ドル札の話。面白い話、考える話、いろんなお話を聞きました。

聞いたお話の内容を忘れてしまうこともあるでしょう。
でも、どんな内容でも。
少しでも多く語り継いでいきたいです。

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