同じ訪問リハでも病院からのと訪看STからのそれとでは、てんやと富士そばくらい違う

きっかけはこのツイート↓

「具体的にどんなところで違うと感じたのですか?」

というリプライを頂いたのですが、ごめんなさい、Twitterではうまい言葉で説明できないのでnoteにまとめてみます。

私はもともと病院からの訪問リハの経験しかありません。仕事に慣れ、様々な利用者さんと知り合う中で訪問リハの面白みを知る一方で、ふたつの事業形態があることに疑問を感じるようになりました。

そもそもリハマネ加算など、それぞれの診療点数や制度には大きな違いがあります。しかし多くのユーザーである利用者様やケアマネさんにとってそれらは同じ『訪問リハビリ』です。そこが腑に落ちず、色々な研修に参加したり思い切って有識者の先生に尋ねたこともありました。でもやはり、自分が納得のいく答えは得られません。

わかったのは、私にとって心地よい解を求められなかった理由だけでした。

私は「2つの事業形態が意味を持って2つ存在する」と考えて答えを探していました。しかし現実にある訪問リハビリテーションは、医療保険や介護保険が様々にかたちを変えていく中で、「療法士が自宅に訪問してリハビリテーションの場をつくり、診療報酬を得る」ために先人たちが造り上げてきた仕組みの結果であり、私たちはその恩恵を受けているだけだったという所以でした。そもそも「2つあること」自体に特別な目的などなかったのだと思っています。

そして、それぞれが異なる制度に基づいたものとして受け入れ利用している従事者や利用者さんと、そうではない人々が混在したままに一つのものとして存在することに、改めてジレンマを感じるようになりました。

ツイートにも書きましたが、吉野家と松屋は違います。ただひたすらに牛丼の味と品質にこだわってお客様の満足を求める吉野家に対し、「みんなの食卓でありたい」と願いながら多くの人々が安心して食卓につけることを理念とする松屋。両者はそれぞれ同じ『牛丼』という商品を提供していながらも、明確な差別化がされています。

いかにして両者の違いを知るか、その差を肌で感じてみたい、そのために私は転職先として訪看STを選びました。

しかし実際に働いてみると、それは同じ『牛丼』というメニューを看板に掲げて提供している吉野家と松屋の違いをはるかに超え、そもそもこの二項対立の枠組みには到底当てはまらないものであると気付かされたのでした。

この比喩を用いた理由として、私はこの2社の牛丼チェーンを心から愛しています。愛しているからこそ、様々な値段改定や顧客層の変化、それに対する両社の取り組みについて折に触れて違いを感じ、それぞれの選択に感嘆のため息と盛大な拍手を送ってまいりました。

しかし、両社を愛する私が感じていた違い以上に、病院と訪看STではフィールドが異なると気づきました。

まだ上手く言葉で説明することができず、てんやと富士そばいう例えに落ち着かせてしまいましたが、この2社を選んだのにも理由があります。

ここでいうと『訪問リハビリ』は『天ぷら』に近いと思います。同じ人の同じ言葉で発せられる『訪問リハビリ』が、天ぷらを専門とするてんやのそれを求めているのか、またはそばのトッピングや簡単なミニ丼の上に乗せられるフレキシブルな天ぷらの役割を求めているのか、両者には大きな違いがあります。

念のためお伝えしますが、これはどちらがより優れているのかといった議論ではありません。確かに天ぷらだけにこだわったてんやのそれは味もよく、海老やキスといった各具材へのこだわりも並大抵のものではありません。しかし、決定的な弱点として、一つの商品にこだわった故に富士そばのようにバラエティに富んだメニューを提供することはできません。そして店舗によって味にバラツキのある富士そばゆえに、時として富士そばの天ぷらの味はてんやのそれをも凌駕します。なのでひょっとすると、この例え自体もぴったりとフィットするものではないと思っています。

具体的にどんな違いがあるのか、それは事業形態だけでなく、事業所ごと、セラピストごとにも異なります。もうお気づきかもしれませんが、単に私はまだそれを上手く言葉にできないのです。2週間程度しか働いていないゆえ、できるわけがないと思う自分もいます。

でも、いつかきちんと言葉で説明できるようになり、自分を納得させられたらいいなとも思っています。『牛丼』以上に愛してしまった『訪問リハビリテーション』が、大丈夫、心地よく世の中に存在しているよと安心できるように、自分の言葉で自分自身を納得させてあげたいのです。

そしてこれは、他の誰のためでもない自分のための修行ですので、どうか期待なさらずに、どこかで目に触れることがあれば温かく見守っていただけると幸いです。

もし最後まで読んでくださる方いらしたら、駄文・長文にお付き合いいただきありがとうございました。


読んでいただきありがとうございます。まだまだ修行中ですが、感想など教えていただけると嬉しいです。