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Olivetti Valentine ゴムの補修

 80's〜90’sに大ヒットしたタイプライター、オリベッティ・バレンタインを手に入れました。
 若い頃、すっごく欲しかったんですけど、家にはタイプライターあったし、もうワープロの時代に入っていたんですよね。書院とかね。懐かしいですね。だから、買う機会がなかったんです。

 で、最近メルカリで見つけて、即買ってしまいました! 今買わないと一生、触る機会ないだろうなぁって思って。なんに使うかっていうと、実用性はないですね。もう、英語やイタリア語を打って楽しむとか、カードとか作るとかね。

 僕の手に入れたのはバレンタイン-Sです。日本向けで「¥」があるやつ。セカンドバージョンはメキシコで作られていて「¥」が無いらしいですよ。
 前のオーナーも大学に入学して買ってもらったものだそうです。学生向けの機種なので、ほとんどがタイプライターの授業が終わってから使われなくなるので、本体が破損していることはあまりないようですね。僕のもまったく問題ない美品で、てんしょん上がりました。インクリボンはさすがに交換し、油の代わりにシリコンをさしました。

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 コレですね。通称「赤バケツ」。ラブリーな姿ですねぇ〜。現代のラップトップコンピュータ的なね。白バケツと並べて撮ってみました。ネコはクルクル君です。クルクル君は体重8キロあって、パグ犬より大きいですからね、タイプライターが小さく見えます(笑)

 でね。本体とケースはゴム製のストラップで止めてあるんです。黒い部品がそれなんですけどね。天然ゴムなんで、どうしても劣化するんですよね。ヒビ割れてボロボロになっちゃう。

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 こんな具合に。今、持って居る人のほとんど全てがこんな感じだと思います。むしろ、これはいい状態の方かもしれません。交換したいんですけど、部品が売ってないんですね。もしかしたらイタリアだったら手に入るかもしれませんが、ググってみてもそれらしきモノに辿りつきませんでした。
 ご存知の方がいらっしゃいましたら、教えてください。

 で、現状のままだと、どんどん劣化してしまうので、補修をしなければ!

 ということで、いろいろ考えました。最初は型を取ってシリコンゴムとかで作ってみようかと思ったのですが、材料屋さんに相談したら「素人で作れる素材では、引っ張り強度に耐えられないだろう」ということで、「薄いゴムシートを接着して補強するのが、簡単で確実じゃないか?」とお知恵をいただきました。

材料

購入した材料は2つ。あっさりしてます。

①ゴムシート0.5mm (Amazon>>>  https://amzn.to/2S9rmFf )
②黒ゴム接着剤 (Amazon>>>  https://amzn.to/3385EYJ )

写真のゴムシートは東急ハンズで買いました。最低サイズが200×300mmでした。

道具

③カッター
④カッターマット
⑤定規
⑥捨て紙
⑦ピンセット
⑧マイナスのドライバー
⑨ペンチ
⑩キッチンペーパー

先ずは、ゴムストラップをケースから外します。

テープ

ストラップの裏は黒いテープで保護されてます。コレを慎重にはがします。カッターで端を少しめくって、ゆっくり剥がしましょう。このテープも同質のものは手に入らないので、フルノーマルを好む方は、ここ大事です。
べつに、フルノーマルじゃなくていい人は、黒い布テープで代用できます。

粘着剤が乾いてしまうと、元に戻せないので、ここから休みなく、一気に作業しますよ!

テープを剥がす

テープを剥がすと、ストラップはこんな風に固定されてます。
 なななんと! 金属のツメ!

 これがね、けっこう丈夫にできてて、ツメを起こすのに力が要ります。マイナスドライバーをツメの下に差し込んでテコの原理でグイッと! でも、ツメの本体はゴム部品に繋がってるので、ムチュッとして力が入れにくいです。

 ある程度起こしたら、ペンチで三本まとめて加えて、ギュッと絞って起こします。
 *後で思ったのですが、戻す時は倍くらい大変なんで、まん中のツメだけ起こして、ウマく抜いた方が楽かも、です。

爪を起こす

ツメを起こしたところ。こうすると簡単に抜けます。

次は、ゴムシートをカットします。ゴムシートを幅1.6mmのリボン状にカットして、表と裏、全部で4枚切りだします。

修理

イメージはこんな感じです。Aは表用、Bは裏用です。Aの方が数ミリ長くなります。
 Aのパーツはストラップのベルト部分の全面です。Bの方はツメの部分に段差があるので、そこまでの長さになります。図を参考にしてください。

ゴムシートをカット

カットしたのがこんな感じ。右端がAのシート、まん中がBのシートです。
 用意できたら、全部を台所洗剤で洗って、油やゴミを取ります。不純物があると接着しませんからね。洗ったら、キッチンペーパーで水気を取り、30分くらい乾燥させます。

接着剤を塗る1

ここに、黒ゴム接着剤を薄く塗ります。黒ゴム接着剤にはへらがついているので、それを使います。薄く均等にね。絶対に絶対にはみ出るので、捨て紙の上で作業しましょう。

接着剤を塗る2

ストラップの表と裏にも黒ゴム接着剤を塗り、薄くのばします。接着剤の量は、それぞれお米4~6粒分くらいです。
 塗り終わったら、5分くらいですかね。半乾きにします。捨て紙にはみ出た接着剤を触って、手に付かなければOKです。

 ゴムシートをピンセットでとって、ストラップに乗せます。くっつくとずらせないので、ピッタリ合わせて乗せましょう。ですから、ピンセットは必須です!

ペンチで圧着

ゴムシートを表裏、両面乗せたら、ペンチでギュッと圧着します。ギュッと4秒くらいは挟んで、全体に圧力をかけて接着されます。

サンドイッチ

横から見るとこんな感じにサンドイッチ。

裏表貼る

貼り終わった状態。ペンチの跡がついていますが、次第に復元して消えます。

そして、次はケースに戻します。これが一苦労。

ツメ

作業手人としてはこんなイメージです。
①ストラップのツメをケースに差し込む。
②ペンチでツメ2本を挟んで、残りをドライバーで押して倒す。
③左右を倒したらペンチで押さえて、まん中を手前に倒す。
④できあがり。

 ところがですよ、ゴムから生えてるツメはなかなかいうことを聞いてくれません。辛抱強くギュッと、ギュッとギュッとを繰り返しましょう。

ストラップを戻す

ストラップを差し込んだ状態。このように、ケースを倒して作業するとやりやすいです。やってみてわかったのは、両端のツメは差し込む前に曲げておいた方がピッチリとフィットさせられるかもしれません。

 ツメを倒したら、テープを元通りにして作業終了です。

****************完成!******************

完成

ほら、結構見た目キレイでしょう? この状態で24時間乾燥させましょう! つまり1日はさわっちゃダメってくとです。

完成状態をビデオで見たい方はこちら。
https://youtu.be/kHq6y1FNK1M

あくまでも応急処置ですが、五年くらいは大丈夫でしょう!(と思います)

以上です!

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