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全宅銭湯部 15回突破記念座談会(下)

記念座談会(上)の続き

ーー銭湯部なのにお酒の話題ばっかりですね……。印象に残っている銭湯はありますか?

あくの:「池尻大橋『文化浴泉』(第7回)の浴槽が最高。nano湯がとてもいいです。あと中目黒の不良と子供が多いのも好感大ですね」
かもめ:「鶯谷『萩の湯』(第9回)が気に入ってます。浴場の豊富さ、サウナの広さ、設備・アメニティなど「銭湯」と言えないような水準。最近のニューウェーブ系銭湯を代表する存在じゃないでしょうか。銭湯部の後も何度も足を運んでいます。それから北千住『大黒湯』(第5回)もオーセンティックで良かったです」
札束:「僕は池上『桜館』(第13回)です」
野球:「『桜館』いいですよね。サウナと水風呂の温度がストイックで、とろりとした黒湯もいいですね。男女のお風呂は日によって入れ替わるので、運がいいと屋上黒湯の日に当たります。あと、一番重要なのは混んでないこと。池上の住宅街にあるので、混まないのがポイント高いです」
しらいし:「僕は静岡『しきじ』ですね。あれは反則です。お湯と水が柔らかくて思わず笑みがこぼれたのは衝撃でした。東京だと、かもめさんの挙げた『萩の湯』です。サウナと水風呂のゆったり感が良くて、露天で1時間近くしゃべっていましたね。フードコートも併設されていて、銭湯後の食事も美味しかったです」

ーーしらいしさんの挙げた「しきじ」と言えば、「サウナの聖地」として全国からサウナ愛好者が集うことで知られています。銭湯部でも足を運んでいますが、やはり普通の銭湯とは違うものなのでしょうか?

あくの:「住めます。エースホテルを渋谷に持ってこようとしているハゲが大勢いますが、感覚が東京カレンダーですね。しきじを新井薬師前と沼袋の間に誘致したら、近隣の腐ったかぼちゃの馬車の空室が全部埋まるはずです。MECは10年以内に大手町直結のしきじをやるべき」
かもめ:「『聖地』という表現がオーバーじゃないですね。薬草湯は羊水に浸かっているような感じで。なんなんでしょうね。アヘン入ってる。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』ラストシーンのデ・ニーロみたいな顔になります」
札束:「最高です。水が柔らかくて抜群の包容力……。二種類のサウナの完成度が高くて、サウナから水風呂へ入る瞬間はまさに天国です」
しらいし「札束くんも言うように、お風呂に包まれているような感覚には驚きました。深夜にあくのさんがニコニコしながらお湯につかっている姿が脳裏に焼き付いています」
かもめ:「放っておいたらそのまま薬草湯の中に溶けていきそうでしたよね。たぶんあのお湯そうやってできてる」
野球:「お風呂にミネラルウォーター使ってるんですよね。しきじの近所の人が、水風呂入って、あの水で米焚いて、あの水飲んでるって言っていたんです。多分、寿命伸びてます。温泉水よりミネラルウォーターの方が入っていて気持ちいいんだって気づきました」
あくの:「しきじって顧客本位でセコくないないというか、贅沢なんすよ。開放感と爽快感が半端なかったです。オカルトっぽいですけど、水が良いとすべてをよく感じてしまうのではないかなと思っています」

ーー銭湯・サウナに対するこだわりってありますか?
あくの:「どちらかと言うとお風呂派です。いい匂いのお風呂が好きなので、薬湯とかミントの風呂に入りたいです。重ねて言いますが、文化浴泉にあるnano湯は最上級に好きです。あとは、超高温のサウナにはいって、みんなで無駄話する時間はいいですね」
しらいし:「サウナと水風呂の交代浴専門なので、サウナは95度以上、水風呂は17度以下が好みです。あとは混雑していないことと、水シャワーがあることと。洗い場が固定シャワーではない銭湯がいいです。とにかく、短時間でゆったり整うことができる銭湯がベストです」
野球:「サウナも水風呂もストイックな方が好きです。お湯に最初入ると発汗が良くなるので、普通の浴槽ともう一つ黒湯や薬草などがあると嬉しいです。あとは混んでないところ。サウナや浴槽で軽くストレッチしたりしますからね。ギューギューだとリラックスできない」
かもめ:「サウナの温度とか水風呂の水温にそこまでこだわりはないですね。サウナにテレビはほしいかな」
札束:「僕は逆にサウナのテレビはない方がいい。サウナの温度に強い拘りはないですが、精神を統一できる瞑想感あるサウナが好きです。あとは在来軸組の歴史感じる銭湯が良いなと思います。北千住の『大黒湯』とか」

ーー本日は長い時間ありがとうございました。最後に、不動産クラスタらしく「不動産業的視点から見た銭湯ルネッサンスの可能性」というテーマでお話をお聞きできればと思います。

かもめ:「全国的に銭湯は減少傾向にあるんですけど、一方でニューウェーブ系とも言えるような新しい銭湯が最近の銭湯ブームを盛り立てています。さっき話した鶯谷の「萩の湯」なんかは典型ですよね。そういう銭湯が街の付加価値となって、地域全体の評価を高めるといったことはあるんじゃないでしょうか。地場の異業種とも色んなコラボができると思うので、面白い動きを期待したいですね」
札束:「『公共R不動産』で、高田馬場『世界湯』空き時間の有効活用募集してましたよね? 銭湯って、昔ながらの建物か、ビルインみたいなモノしかないので、建物やオペレーター側からもっと尖った発想やモノが出てきてもいい気はします」
しらいし:「土地の有効活用メニューとして成り立つような、ビル一棟で一日過ごせてお金を落としてくれるような施設になるのがひとつの解なのかな」
野球:「今は各家庭に立派な風呂ありますからね。生活インフラとしての銭湯から、娯楽としての銭湯としてどう進化していくか。多くの銭湯は、よっぽどの目玉がない限り、外部から多くの人を取り込むというのはハードル高いですよね。良くも悪くも、地域に根ざしちゃってるものなので。住民の娯楽施設、コミュニティ形成の場として愛される場所になることが大事です。防災や防犯のコミュニティに役立ったりするんじゃないですかね。そのためにはもう少しサービスを充実しないと」
札束:「銭湯単体で、オペレーションアセットとしての収益化は中々厳しいのかも知れません。でも、文化的背景を基にブランディングや空き時間の有効活用などはまだまだ出来るのではないかと思います」
あくの:「既存の風呂の代替えとしての銭湯で集客するのは相当きつい。ただ、スーパー銭湯はそれなりの稼働が見られますので、『非日常のお風呂でリラックスしたい』という需要は底堅いと思います。『文化浴泉』や中目黒『光明泉』を設計した銭湯建築家の今井健太郎氏など、銭湯のフォームを再生できるマイスターと、(レンダーである)銭湯協会の強いファイナンスが結びつけば、銭湯経営は十分に可能性があると考えています」

ーー本日はお忙しい中ありがとうございました。不動産の祭典「クソ物件オブザイヤー2018」の投票期間(11/14~11/19)がいよいよ迫ってきました。銭湯業界紙としては、銭湯に関する不動産ネタもたくさん投稿してもらえるとうれしいです。(聞き手:阿川サワー子)

関連:全宅銭湯部 活動記録1~15回

銭湯部にご寄進頂くと、ありがたいご利益(サウナで反社と出会わない、いつ行っても水風呂がちょうどいい温度等)があると言われています