各区支所管理運営事業を考えてみる + 執行評価について 

静岡市の事務事業評価シートを見て、指標設定の妥当性を中心に感想をコメントします。
評価シートの説明はこちら

総務局 事業№7 各区支所管理運営事業

1 概要

総事業費 705万円(事業費630万円+人件費75万円)0.1人工
アウトプット指標 各種届出等の適正な処理         
アウトカム指標 適正に処理された届出等の割合

2 指標の設定について
アウトカム指標をせめて「届出事務等に関する苦情の件数」にしろよ、という感想はさておき、これを最初に書いた人はさぞかしやる気を削がれたことと思います。
こうした意味のない観点からの評価をさせられることが、いわゆる「評価疲れ」の一因になっているのではないかと感じます。

3 執行評価と政策評価について
自治体の事務事業には、大別すると2つの種類があります。
一つは政策的判断があって行われるもの。補助金がその典型ですが、十分な効果があがった又はあがらなかった時点で事業は終了ということになります。それを判断するのに必要なものがアウトカム指標による”業績測定”です。
もう一つは、自治体が法令によって実施を義務付けられているもの。戸籍関係事務がその典型ですが、その事務事業の意義や効果を問うことに意味はありません。
現実には、この二つの要素を併せ持つ様々な事務事業があるわけですが・・・

政策的判断のもとに行われる事務事業を評価すること=”政策評価”
自治体の必須業務として行っている事務事業を評価すること=”執行評価”

4 執行評価は何処に着目して評価するべきなのか
これは事務事業の種類によりますが、今回の窓口業務の場合、私企業で普通に行われている”顧客満足度”と”効率性”の観点から評価することになります。
”顧客満足度”の観点からなら、待ち時間や接客態度等の点について評価することになるでしょう。
”効率性”の観点からなら、住民票1枚当発行費用や職員一人当処理件数等の点について評価することになるでしょう。

5 その他
3,4に書いたことは行政評価(業績測定)のイロハのイに属すことなので、なぜ、静岡市が一律に政策評価の形式を全事務事業に当てはめたのかは謎です。導入にあたって、学者やコンサル等の専門家はまず第一にこのことを説明しているはずです。
しかし、アウトカムが「適正に処理された届出等の割合」というのは、”住民に対してどうだったか”よりも、”法令を遵守したかどうか”、という公務員の判断の優先順位を示していて、なかなか興味深いものがあります。