施策評価について(その3)

 引続いて、浜松市の施策評価シートを見ていきます。

・手段-目的関係を、事業内容から見てみる

 施策1-Aの目的と1-Aを構成する各事業の目的及び内容を体系化してみたのが、下図です。

 見やすくするため、A~E群に仮分類しておきました。
A群は、施策1-Aの中核的な事業です。
B群は基金造成
C群はコロナ対策に伴う臨時的な事業です。
D群は、資格管理を行う事業です。
E群は事業執行に必要な事務費、役所内では”生活費”と呼ばれるものです。

 手段-目的関係に着目してみると、A群の事業が施策1-Aの目的を達成する手段になっていることがわかります。

 さて、5群に分けましたが、コロナ対策のC群を除くと、AとEが施策目的を達成するための手段及びそのための運営経費という施策内容にあった事業になっているのに対して、BとDは異質なものになっています。
 Bの「商工業振興施設整備基金積立金」は、浜松市の基金ページを見ると、主要な使途は「企業立地支援事業費補助金」になっています。しかし、この補助事業は図には出てきません。
 Dの資格管理は、企業支援とは何の関係もない日常業務です。


・手段-目的関係を、指標から見てみる

 次に指標から手段-目的関係を見てみましょう。施策内容に直接の関連があるA群の事業のみを抜き出しています。

 施策目的1”市内企業に金融的な支援を行うこと”については、施策指標がありますが、施策目的2”円滑な事業継承の支援”には、指標が設定されていません。
 指標がある施策目的1も、施策指標1は”融資件数”、事業A-1の指標は”融資金額”、A-3の指標は”融資件数”と指標内容が不統一です。指標として、”件数”を重視しているのか、”金額”を重視しているのか、判断ができません。
 そもそも、施策指標として、”融資件数”という事務事業レベルの具体的なものが出てくること自体が、どうなんだろうかと思います。私は企業経営などはわかりませんが、金融支援に関するもう少し抽象度の高い指標はないのでしょうか?
 事業A-2は、施策目的2を実現するための事業だと思われますが、商工会の会員数という、関係性が高いとは思えない指標が設定されています。

 さて、浜松市の施策評価シートを3回にわたってみてきましたが、良い点、悪い点を書き出してみると

良い点
・施策と事務事業の体系化に取り組んでいる
悪い点
・施策目的が明示されていない
・明らかに異質な内容が、施策や構成事業に紛れ込んでいる
・指標が設定されていない施策目的や施策目的と関係性が薄い事業指標がある。

 次回は、なぜ、明らかに異質な内容が紛れ込んでしまうのか、想像してみたいと思います。