移住・定住支援事業を考えてみる+目標値の設定について

静岡市の事務事業評価シートを見て、指標設定の妥当性を中心に感想をコメントします。
評価シートの説明はこちら
企画局もこれまでと同じ指摘ばかりになるので、視点を変えた話ができる事業をピックアップしていきます。

企画局 事業№18 移住・定住支援事業

1 概要

総事業費 5,576万円(事業費3,541万円+人件費2,035万円)2.5+1.0人工

アウトプット指標 ①移住相談件数
         ②移住フェア・セミナーの回数
         ③テレワーク体験事業の参加者数
         
アウトカム指標 移住相談者の内の移住者数

目標値 77人(103人)

2 指標の設定について
(1)アウトプット指標 〇 
(2)アウトカム指標 〇

3 事務事業の目標はどうやって設定されている?
某市の研修資料(一部私が修正)では以下の通りです。実態も多くの目標値はこれらの内のどれかに区分されると思います。
(1)既存の計画に基づく目標値
(2)トレンド(すう勢)に基づく目標値
(3)行政運営上の指向に基づいた目標値
(4)外的要因の大きな変化を踏まえた目標値

4 既存の計画に基づく目標値
その自治体の総合計画や〇〇計画に数値目標が設定されている場合、その数値あるいは中間値を設定するものです。行政的には、一番、すっきりした目標値の設定方法です。その目標値がくそな場合もありますが・・・

5 トレンド(すう勢)に基づく目標値
過去からの数値の延長上に、”このままいけばこうなるであろう”値を目標値とする方法です。「過去〇年間の平均伸び率に基づく」、「過去〇年間の平均値に基づく」といったものです。

6 行政運営上の指向に基づいた目標値
既存計画の目標値や従来のトレンドによらず、行政水準の現状や行政の役割等を踏まえて意識的に設定する目標値
具体的には、「〇〇の数値を全国平均以上に、上位10%に」、「〇〇の解決率を××%に」といったものです。

7 外的要因の大きな変化を踏まえた目標値
国内外の社会・政治情勢に大きな変化が予測される場合、その変化を踏まえて目標値を設定する方法です。広義には5の手法に含まれますが、さらに6の要素を加味したものと、”私は”理解しています。環境関係の事務事業で「チャレンジングな目標値」とか「野心的なマイルストーン」とかで表現されているものが典型です。

8 本事業の目標値は?
目標値の設定根拠は「過去3年間の平均値に基づく」となっています。典型的な5の手法です。しかし、この事業の目標値はこの設定方法で良いのでしょうか?普通に考えれば、この事業の上位目的は、”人口の自然減を社会増で補う”ことになると思います。そういった観点(6の観点)からの目標値が設定されるべきで、現状は、「目標値」ではなく「予想値」になっていると思います。
この「目標値」ではなく「予想値」になっている例は、多くの事務事業評価で見られると感じています。