『紙垂』の揺らぎは、コトタマ八父韻の霊動を顕す
『紙垂』の揺らぎは、コトタマ八父韻の霊動を顕しているそうです。
ようやく父韻まで進みました。
ところで、父韻の説明というのは大変難しいそうです。
何故かと言うと
「存在」や「認知」といった宗教・哲学でも問われる程の根本問題にかかわるからなのだそうです。
「コトタマ学入門」ではある例が書かれていました。
寺院の鐘楼に関するものと虹に関する二つの話です。
鐘を棒で突いてみますと、振動して空気を震わせ、空気中に波動が伝わっていきます。
しかしこの波動自体がゴーンという音を立てているわけではなく、この波動が空気中を伝い人間の耳に入り聴覚神経を刺激して脳に伝わって、初めてゴーンという音に聞こえる訳です。
つまり突かれた鐘は、「無音」の波動を出しているだけなのです。
ではいつ鐘が鳴ったと知るのか??
客体である鐘の出す波動と、主体である人間の認識知性の波動もしくはリズムがぶつかって、双方の波長が”ある調和”を得た時、すなわち「感応同交(シンクロ)」した時に、
初めて人間は鐘がゴーンと鳴ったと認識する事になるのです。
また雨の後の虹も、虹自体に色があるのではなくて7種類の光の波動を出しているだけです。その波動が人間の認識の主体波動と感応同交する時、初めて7色の色の虹として主体の側において認識されることになるのです。
言霊の主体母音ウと客体半母音ウ、
オとヲ、アとワ、エとヱ、イとヰは
それぞれの現象を生むのですが、
これだけでは結び付く働きを起こす事の無い存在です。
それには能動的な架け橋となる物が必要です。
この役目をするのが母音・半母音の
最後に残った人間の創造意思(言霊イ・ヰ)の実際の働きであるキ・シ・チ・ヒ・ミ・リ・イ・二の
八つの父韻なのです。
これらが純主体・純客体とを結びつけて
現象を生む人間の創造知性とでもいうものであり、
そしてこの韻律であり八つの父韻で表されるものなのです。
主体と客体を結び付けるバイブレーション(霊動)はこの八種しかありません。
この八つの父韻が四種類の結び付きを生むので合計32個の子音を生むことになります。
詳しく書きますと、
キにアが付いてカ、シにアが付いてサといった具合で、チ・ヒ・ミ・リ・イ・二それぞれにアがつくので、タ・ハ・マ・ラ・ヤ・ナであり、キにウ、キにオ、キにエと母音をつけて行けばカ行ができますが、こうしてチ・ヒ・ミ・リ・イ・二のそれぞれに同様の方法で母音をつけていけば
32個の子音になるということです。
”1語に対して1音”で決められているのも改めて驚きます。
主体である人間の心のありようと、客体である世界の全ての現象の最小単位を見極め、それに完全に一致させた言葉である五十音。
世界の全ての事象を本質から見定めて、五十音を並べた結果がその名前として決められている日本語。
この点こそまず理解しておきたい事なのです。
追記
私の学んでいるコトタマ学は
島田正路さんの「古事記と言霊」を基本書とし、「コトタマ学入門」を読みながら基礎を学んでいます。
また小笠原孝次さんの「言霊百神」の初版本も傍らにし、学びの進みに従い「山口志道 水穂伝(岡本天明・口語訳)」も早く読めるようになりたいものです。
生前の島田正路さんは小笠原孝次さんに師事し、島田さんからコトタマを学んだ人達がそれを生活に活かす事で、やがては市井に広く伝わる事を理想とし、古来より伝えられて来た言霊学を守ろうとした人です。