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建設業社会貢献活動推進月間中央行事 発表事例 SNSを中心としたSUNAGO流デザイン戦略~建設業界のイメージアップに向けて~

株式会社 砂子組(北海道空知郡奈井江町)
http://www.sunagonet.co.jp/

1.はじめに|取り組みの背景
 
砂子組の行うSNSを中心とした企業ブランディング活動は、2017 年に行われたWeb サイトリニューアルをきっかけとして開始しました。
 2016年、弊社でi-Construction対応型第1号現場を施工し、社内全体で砂子組の特色である「ICT」「技術力」を強くアピールしていく必要を感じたことが、時代の中心となっているWeb上での企業アピールを改めて見直す機会になったと感じています。
 Webサイトをリニューアルしたことにより「まず、やってみる」という砂子組の社風や、技術面を中心として新しいことを絶えず続けていく弊社の挑戦を広く知ってもらいたいという思いが生まれたことが大きな転機となりました。
 そういった考えのもと、これまで以上に幅広く砂子組という企業、建設業の魅力を見てもらう入り口として選んだのがSNS開設です。
 当時入社3年目であった内勤の女性社員3名が中心となり、2019年9月に砂子組公式インスタグラムを開設しました。これまでになかった視点で様々な取り組みを続け、現在では砂子組の広報活動の一つの柱となりました。

2.SNSを中心としたイメージアップ活動
○砂子組公式インスタグラム
 砂子組公式インスタグラムのアカウントは2019 年9 月に開設し、2023 年9 月15 日時点で1,025名の皆様に見ていただけるようになりました。SNS運用担当者は、開設当時入社3年目の女性内勤社員のみでしたが、若手の意見を取り入れ、より活発な更新を行うことを目的としてメンバーを増員し、現在は20代の若手内勤社員8名で更新や写真撮影を行っています。
 インスタグラムの開設に至ったのは、時代の変化に伴った採用活動状況の動きから、興味を持った方に情報を見に来ていただくのみではなく、こちらから次々に発信する新たな情報媒体を活用する必要があると感じたことにあります。若年層へ向けた人材確保のための認知度向上の手段として、建設現場で働く社員の姿、雰囲気を感じ取ってもらうため「現場で働く人」にフォーカスした投稿を意識しています。またインスタグラムの主な利用者層である10~20代へのアピールとして更新担当者の姿も定期的に投稿することで「顔の見える広報」を目指しています。
○SUNAGO流デザイン戦略
 砂子組で行っている情報発信は、Webサイト・インスタグラム・採用特設サイト・写真紹介を主にしたPORTFOLIOページを中心としています。ターゲットの異なる各媒体から「人、会社、業界」の魅力をアピールするとともに、各媒体間をリンクで繋げて双方向に行き来できる媒体間連携を構築することに重きを置いており、Webサイトの訪問者のみに届く受け身の情報発信に限定することなく様々な面からのアプローチを試みています。
 今後も媒体間のみならず、積み重ねてきた取り組みすべてがそれぞれにつながりを持ち、また新たに展開していくという体制を推進していく所存です。

 また、弊社のデザイン戦略のひとつとして、2020年に企業認知度の向上・
理解度を深めるためコーポレートアイデンティティ(CI )を見直し会社ロゴマークのリブランディングを行いました。創立60周年を目前としたタイミングで、それまで長きにわたり使用してきた砂子組ロゴマークに込められた想い、親しみあるアイコン自体はそのままに、より洗練された形でシンボルを一新しています。
 規格を統一したロゴマークはWebサイトやインスタグラムはもちろん、現場で使用する安全用品や着用物、ポスターへの掲示など各所で幅広く活用することで視覚の統一を図り、各ツールに一貫性を持たせることで企業の特性、独自性を強調し浸透させていくCI 戦略を進め
ています。

○Web媒体を利用した取り組みと創意工夫
・技術力のアピール 
 砂子組の技術力をより広く知ってもらうためインスタグラムにて「現場リポート」という企画投稿を不定期に行っています。更新担当者は現在、内勤社員のみで構成されているため、現場社員とは違った視点で業界外の方にもわかりやすく建設業の面白さや魅力を伝えることができるのではないかと考え企画を開始しました。
 ICT建機を使用して作成した雪の滑り台や雪上アートの作成過程、ハーフプレキャストの開発実験など普段一般の方の目に触れる機会の少ない部分を写真、漫画形式などを用いて紹介しています。

・安全面のアピール 
 写真撮影を兼ねた現場の品質・安全性向上の取り組みです。写真撮影と共に内勤社員の視点で現場の安全管理に関する項目を作成し、現場の印象や安全性をチェックしています。「インスタパト部」として活動に名前を付け、オリジナル腕章を着用することで撮影に行った際の現場社員の安全面の意識の向上も感じられています。現場業務を行っていない更新担当メンバーにとっても、土木・建築現場の違いや現場で注目すべきポイントを学び知識、安
全意識を身に着ける良い機会となっております。

・認知度拡大に向けて 
 国土交通省インフラメンテナンス大賞優秀賞を受賞し、国内外の第一線で活躍している写真家・山崎エリナ氏に砂子組施工現場の撮影協力を依頼しプロ写真家による認知度拡大を目的に現場の魅力を最大限に訴求しました。撮影していただいた写真はインスタグラムへの投稿に使用するだけでなく、Web上に写真を展示する「PORTFOLIO」ページを作成することで、Web
サイトのコンテンツ拡充を図りました。

 そのほか、インスタグラムを更新していく中で生まれた企画として、同じくSNSを用いた活動を行っている他社広報担当者様と「SNS向上委員会」を立ち上げ異業種間での広報課題の共有や情報交換を行い、視野を広げるとともに情報発信力の強化に努める取り組みを行っています。双方のユーザー層へのPRとしてコラボ投稿を行い、互いの企業としての取り組みを見学するなど現在も委員会活動の展開を進めています。
 また、2022年度からは地元プロバスケットボールチームとインスタグラムを活用したタイアップキャンペーンを企画・実施しており、ハッシュタグを利用した情報拡散を試行するなど新たな属性を持つユーザー層へのアプローチにも挑戦を広げています。

3.取り組みの効果・反響
 
これらの取り組みを続けてきた中で感じられる変化や反響も増えていきました。最初にはっきりとSNSによる広報活動の影響が感じられたのは入社希望者からの弊社の志望理由のひとつとしてインスタグラムについての意見があったことです。
 『貴社のインスタグラムを拝見して、職場の温かな雰囲気を感じ建設業の印象が大きく変わった。この様な取り組みをしている企業を今まで見たことがなく、貴社の“まずやってみる”という言葉と社員の笑顔がとても印象的だった』といった声をいただき、インスタグラムを始めるきっかけとなった「人材確保のための認知度向上」という目的に手ごたえを感じることが出来ました。また、様々な取り組みを経て社内での広報活動への視線も変化したことが感じられています。
 SNSの取り組みを始めた頃は社内でSNS活用が浸透していなかったこともあり、現場に写真撮影に行くと撮影に消極的な態度の社員がいたことや、現場対応で相手にしてもらえないなど導入初期の苦労が多々ありました。
 インスタグラムの取り組みを無理なく自然に、かつ長く継続できるものにしていくためには社員の積極的な関わりが必要不可欠と考えました。
 そこで社内に取り組みを浸透させるため、グループウェアの掲示板機能を使い、毎回の投稿通知のほか、撮影現場への訪問報告や取材のお礼
その際撮影した写真を都度添え、こまめな社内周知を今日まで徹底し「取り組みの可視化」に注力してきました。社内周知のほか、Webサイト内でのアピール、投稿内容の工夫を続けていった結果、開設から2年経過したことを機に社内でSNS広報の印象についてアンケートをとったところ以下のような反応をもらうことができました。
○ 砂子組の魅力の一つになっている、毎回の投稿が楽しみ
○ 現場でもお客様、業者さんなどから見たよという声があって会話の糸口にもなる
○ 普段分からない会社内部の表現としてよいイメージアップコンテンツになっている
等々、好意的な反応が大半を締めるようになりました。現在では現場側から取材の声を掛けてもらえるようになったことや、広報に興味を持った若手社員が自ら手を挙げインスタグラム更新担当者としてメンバー入りするなど、社内への着実な浸透を実感しています。

4.おわりに|今後の展望
 
広報においては、外部への発信はもちろんのこと、社内での協力体制の構築や皆で会社を一緒に盛り上げているといった空気感の醸成が非常に重要であると考えています。
 この約4年間、インスタグラム更新担当メンバーを増員しながら取り組みを進める中で見えてきた課題が大きく2つあります。
① 奈井江本社、札幌本店のメンバー間の拠点(物理的距離)による意識格差
② メンバー以外の社員が本活動へ干渉しにくい状況
 本課題の対策として、①については対面でなくともやりとりができるよう社内ネット上でのやり取りの仕方を見直すことでメンバー間の接触回数を増やしています。また、メンバー間での活動のフィードバックの実施を月に一度に定め、Web会議システムなどを活用して、毎月言葉を交わす意見交換の場を設けています。②については、今後定期的に全社アンケートを実施し、所属に関わらず社員それぞれが持っている活動に対する意見や所感を聞きとり、更新体制に反映していく予定です。
 課題①・②ともに社員の意見を吸い上げる仕組みと場づくりに努め、社内の誰もが広報に参加し、一緒に会社や建設業界の魅力を発信し、取り組みに自分たちも参画しているという空気感の醸成をさらに進めていきたいと思っています。外部へのアピールはもちろんですが、新たな取り組みを行うには内部で広報面の重要性を共有することも企業の姿勢として必要であると感じています。そのほか、今後の姿勢としては積極的に社外とも取り組みを広げ、自社のみの活動にとどまらず、周囲を巻き込んでの建設業界における広報的な取り組みの活性化を目指します。また、企業ブランディングの展望としては、定期的な情報発信を引き続き継続し、ユーザーへ安定した情報を発信し続けることで信頼の獲得、ひいてはロイヤルカスタマーの獲得にもつなげていきたいと考えています。
 先般の建設業社会貢献活動推進月間中央行事では、一部同業他社様との交流を深めることができ、建設業界の中での広報連携を進めていく試みについてお話させていただきました。事例発表のお時間をいただくことができたことから、弊社の取り組み活動に興味を持ってくださる方々や賛同くださる方々にお会いできたことはとても嬉しく、また心強く感じたところであります。建設業界の魅力発信拡大に向け、企業コラボレーションという取り組みの中で一社のみではできない、横のつながりを活かした「伝え合う」広報をともに実践して、広報活動が建設業界の中でより活発になる一助になれればと考えています。
 これらの目標を実現するために、この先も社風である「まず、やってみる」という意識を掲げ、立ち止まることなく試行錯誤を続けていきます。
 最後に、私たちが広報活動を継続しつつ、新たな取り組みへ挑戦を続けることができているのは、発信した情報に興味を持ってご覧くださっている皆様あってのことです。SNSで発信を続けている中では特に、コメントや「いいね」などの反応をいただけることが活動を続けていく中での励みとなっています。自分たちの伝えたいことだけでなく、ご覧くださっている皆様の知りたいことをリサーチしながら、今後も継続して情報を発信し、楽しんでもらえる広報を続けていきたいと思います。

<砂子組インスタグラム>
https://www.instagram.com/sunagogumi/

<砂子組ウェブサイト>
http://www.sunagonet.co.jp/

<砂子組PORTFOLIO>
http://www.sunagonet.co.jp/effort/photo/

[全建ジャーナル2023.10月号掲載]

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