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『デジタル人民元』の野望とは?

世界中で話題になっていた中国の『デジタル人民元』の実証実験が終了しました。
特段の問題が検出されていなければ、来年早々に運用が開始される事と思います。

日本国内では、中国の意図に恐恐としていて、「デジタル人民元の真の目的は何か?」と云った経済記事が大変多く見られます。
さらには、習近平国家主席が、中国の電子決済サービス最大手「アリペイ」を運営するアント・グループの株式新規上場延期を指示した事で、増々中国の意図に関する憶測が拡がりを見せています。

勿論、中国経済は各国の経済にとっても、他人事では居られませんので、当然の事なのですが、ここで、中国が本来共産主義国家である事を思い出して欲しいのです。

即ち、中国共産党は、本来的に計画経済を国是としているのです。

そして、この計画経済体制は、従来の紙幣中心の貨幣制度では上手く行かなかった訳ですが、『デジタル人民元』の貨幣制度の下では、貨幣流通の国家管理ができるので、大変上手く管理する事が可能なのです。
一般の経済人達は、もはや中国が資本主義制度と同質だと考えているので、この点をうっかり誤解してしまうのではないでしょうか。

中国の『デジタル人民元』では、『ビットコイン』などとは異なり、ブロックチェーンの技術を直接的には採用しませんでした。
中国の金融当局にとっては、あくまで中央集権管理が基本ですので、ブロックチェーンの分散技術は適当ではないのです。

さらに言えば、「アリペイ」などの民間の決済手段が、金融当局と連携をとらないまま、独自に流通している事は、本来望ましくはないのです。

では、金融当局による中央集権管理が上手くコントロールできると、どの様なメリットが生じるのでしょう?

まずは、一義的にGDPの直接コントロールが可能になると考えられます。

従来の貨幣制度の下では、中央銀行が通貨供給量と金利をコントロールする事で、間接的にGDPのコントロールを行っていますが、貯蓄や預金等で、市場に流通しない死蔵通貨では、GDPは生まれません。
貨幣は市場で流通する事を通じて、付加価値を生み出すのです。
GDPとは、その様に定義される概念なのです。

さらに、貨幣の流通速度を計測してコントロールする事が出来れば、同じ通貨供給量でも、GDPを増減する事ができます。
そんなに忙しく働く事などできない、と労働生産性向上の限界を労働者は訴えると考えられますが、これからのAI時代では、基本的に労働がAIロボットによって代替されるので、生産性向上に限界は無くなるのです。
GDPは、投入資源と生産技術の限界まで上昇させる事が可能でしょう。

唯一、経済成長を阻害する要因は、利用可能な資源量なのであり、此の為に人口の多い中国経済は、植民地獲得の為に、アフリカ等々に進出する必要があるのです。

勿論、需要量は生産量の増大に即応して、資金供給して流通させれば、インフレやデフレを生じる事なく、需要を満たす事が可能です。
要するに、『デジタル通貨の実現と適切なコントロール』によって、「理想的な計画経済」が実現される訳です。

デジタル人民元』の第一義的な目的は、ここにあるのです。

では、その他にまだ付加的な目的があるのでしょうか?

勿論、外国との交易は続けるでしょうから、外国為替相場は安定的である事が望ましい事でしょう。。。これは中国単独ではコントロールできません。
しかし、これも『デジタル人民元』はAIを駆使して可能にするでしょう。

安定的で、信頼性の高い『デジタル人民元』が実現されれば、各国はこれを国際基軸通貨として認める事になるかもしれません。
安定的で、信頼性の高い通貨は、各国の自国通貨にとっても望ましいでしょうから。

その結果、『デジタル人民元』は世界中で必要不可欠なものとなり、実際的には軍事力も優位になって、中国は覇権国家として完成するのです。

これが、習近平国家主席の野望なのでしょう!

そして、自由主義諸国の邪魔だての無い限り、それは実現可能であるのかもしれません。
問題は、世界中の自由主義国家がこれを快く許容するのか?
また、中国国内の自由主義勢力が、中国共産党の一党支配の政治体制を何時迄、許容して居られるのか?と云う問題であり、経済的には唯一、資源獲得の問題が残されるのみなのです。

これが『デジタル人民元の究極の目的』なのだ、と云っても良いでしょう!

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