『COVID-19』が教えてくれたこと (第5回)
今回は、いよいよ「人体の免疫システム」の仕組みについて、概要をお話しする回です。
簡単に書きましたが、人体の免疫システムは非常に複雑かつ巧妙にできています。
私達の目的は『COVID-19との闘いに打ち克つ』事です。
なので、その目的に即してできるだけ簡潔に整理してみましょう。
さて、まず最初に、今回この様な少し回りくどい書き出しから始める理由を説明させて下さい。
実は、この一週間で私自身の認識に大きな変化が芽生えました。
私自身が、このシリーズ記事を書き始めた理由の一つは、
「東京オリンピック・パラリンピックは来年開催できるのか?」
と云う素朴な疑問です。
そしてその疑問に対して、とうとう「できる!」と確信しました。
つい先日まで、私は『ワクチン開発は間に合うのか?』と云うアプローチでこの問題を考えておりました。
実際この原稿は、その方向から既に8割がた書き終えていたのです。
そして、この面でも、とても喜ばしいニュースが飛び込んで来ていました。
それが、つい先日の事なのですが、随分と久しぶりに夢を見たのです。
それは、『人体が自然のワクチン製造機』だと云う夢です!
早朝目覚めて、それが余りに有意義な夢だと感じたので、Twitterに書き残しておこうとパソコンを立ち上げると、偶然、某お医者様のツイートが目に入りました。
それは、そのお医者様の「集団免疫」に関する見解です。
私は「これだ!」と閃きを感じて、そのお医者様にコメントする形で、自分の夢をリツイートしたのです。
その夜、驚いたことに、結構な数の「いいね」が入っておりました。
さらに、そのお医者様からも「コメント返し」を頂きました。
私は感染によって『重症化』する人の事が気になっていたので、その旨丁寧にコメントをお返ししたのですが、実際イギリスの失敗事例を知っていたからなのです。
その様な経緯で、私は本格的に「集団免疫」について調べ始めたのです。
この動画からご理解されるとおり、コロナウイルスは変異が早いので、新型コロナウイルスに関しても、その変異型がとても重要な意味を持ちます。
最近の第2波とも呼ばれる流行拡大でも、単に感染者数の増加だけではなく、重症者数や死亡者数を観ていく必要があるのです。
さて、前置きはこの辺にして、そろそろ本題を始めましょう。
人体の免疫システム
まず最初に知っておいて頂きたい事は、私達の体内を流れる血液が、赤血球と白血球、さらに血小板に分けられる事です。
赤血球はご存じのとおり、私達の体の隅々に酸素を届ける役割を果たしており、血小板は、血栓の形成に中心的な役割を果たします。
つまり、血管壁が損傷した時に集合してその傷口をふさぎ(血小板凝集)、止血する作用を持つのです。
そして、白血球は人体の免疫システムを構成する免疫細胞の塊です。
白血球は分類するとさらに、マクロファージ(単球)、顆粒球、樹状細胞、リンパ球に分けられますが、これらの免疫細胞を役割(機能)によって分類すると、大きく「自然免疫」と「獲得免疫」とに分けられます。
「自然免疫」は、病原体の撃退方法として「食べる」という方法をとります。
自然免疫の主な仕事はこれで、マクロファージなどが主役で、外来性の異物なら何でも「食べて」しまいます。
しかし、自然免疫ではカバーしきれないものがあります。
それは、血液中に溶けて流れている毒素分子や小さな病原体、また細胞の中に入り込んだ病原体などです。
「獲得免疫」は、こういう事態に対処します。
SARS-CoV-2 に対抗するには、こちらが主役になるのが解かるでしょう。
獲得免疫の主役はリンパ球で、リンパ球はT細胞とB細胞に分けられ、T細胞はさらにキラーT細胞とヘルパーT細胞に分けられます。
「体液性免疫」においてはB細胞が、「細胞性免疫」においてはT細胞が主役になるのですが、『抗体』とは、このB細胞の事です。
そして、細胞表面の抗原受容体(レセプター)という分子が『特異性』をもっているのですが、T細胞やB細胞でも、抗原受容体(レセプター)を表面に出しています。
抗原受容体(レセプター)は、いわば T細胞やB細胞が抗原を調べるときの「目」のような働きをします。
さて、SARS-CoV-2 の場合、スパイクと呼ばれる部分が抗原受容体 (ACE2)に特異的に結合して、細胞内に侵入して増殖するのですが、この事からも『抗体』(B細胞)及びキラーT細胞の役割が重要である事が分ります。
ざっと、免疫システムの構成要素の働きを概説しました。
次回は『COVID-19との闘い』に焦点を絞った形で説明を続けましょう。
また、是非読んで下さいネ♥
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