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ザ・タイム・トゥ・ブルーミング

 ネオ・コウベ・シティ、シアン・ゲート。赤と黄の色彩の洪水を搔き分けるように、ランターンの灯りの燈るメインストリートを人影が動く。辺りはシュリンプ・ボールやマントーの匂いが立ち込め、「ファンインゴンリン!」「イラッシャイ!」と道行く人々に声が飛び交う。値切る声、笑い声、それに嬌声。活気がある。
 やがて「塗るスゴイ効く」「動く!」「そのままマンゴー」などの猥雑なネオン看板に吸い込まれるように、人影はシー・ドラゴン・ストリートにたどり着いた。角を曲がると、そこにあるのは「成龍」のカンフーマネキンが配置された雑貨屋「コン・ロン」。
 「ルオーシインション……ゼンマッナンブドンジーモォ」店に流れる英雄歌。 


 無造作に置かれた泥人形や唐辛子、「本国で流行ってる!草の頭飾り」を押しのけ、人影は一冊の本を店主に突きつける。「この小説に似合うフア・チャアをくれ」
 濃いサングラスを描けた店主は入れ墨を入れた少女の表紙絵を一瞥し、「黒蓮……は今は無い。東方明珠はどうだ」「それをくれ」「マイド・オーキニ」
 店の滞在時間は僅か1分。人影はパックを片手に速やかに店を出た。
 コンの締め切りは今夜まで。それまでにこの一粒の「オリエンタル・ジュエル」を花開かせなければならない。


◆「物理書籍&飲み物写真」部門 投稿作 「花の茶、東方の宝石」
 中国茶には、飲む人の喉だけではなく目をも楽しませる茶として、熱湯の中で花を咲かせるよう花を加工した工芸茶というものがあります。
 今回はキンスレイヤーの表紙のビビッドな赤・緑・黄の色彩に対し、「オリエンタル・ジュエル」という工芸茶を選びました。
 まるで水中花のように咲く東方の宝石が、毒花〈血ノ蓮〉に翻弄されるユキコ=チャンにひと時の安らぎを与えることを祈っています。

 正面からの一枚。四層になった花茶が見える。

上からの一枚。花の塔の天辺で咲く白い花が見えるカット。

広げた表紙と花茶。

 表紙を剝いだキンスレイヤーと花茶。まるで銀のパッケージングのように

最初の写真に色調補正とノイズを入れたもの。


#DHTPOST #キンスレイヤー #花茶

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