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ライザのアトリエ2 批評 ①ライザのアトリエについて(未完成)

それでは批評を始めていこうと思います。前回、投稿した構成の通り一回目は『ライザのアトリエについて』をしていきます。今回の構成は以下のようになります。

①システムについて
②キャラについて
③シナリオについて
④改善点について
⑤結論

とりあえず、簡単に10段階評価で総評を行いたいと思います。
ゲームシステム:7
キャラ:9
シナリオ:9

それでは、『①システムについて』を行います。この章は前回の投稿でも申し上げた通り軽めにだけ扱います。
基本的にライザのアトリエのゲームシステムについて不満はありません。MAPも面白かったですし、調合も面白く、全体的に自由度も高かったのでストレスなく楽しむことが出来ました。強いて言えば最初の段階で宝の位置と何が採取できるかを視認することが出来なかったのと戦闘システム位ですかね。しかし、2になるとMAPが酷く、遺跡探索とかいうゴミ要素が出てきます。とにかくこれがゴミです。考えたやつはA級戦犯です。

次に『②キャラについて』をしていきます。私はこのキャラという要素がライザのアトリエを最も売れたアトリエシリーズにした一因であると考えています。プレイした方ならわかると思いますが、巷では太ももばかり注目されているライザですが、このキャラの魅力はお色気的な要素ではありません。とりあえず、この作品の主要人物を公式サイトから引用してみようと思います。気になる方は少し目を通してみてください。

ライザリン・シュタウト(17)
平凡で特徴がないのが特徴の少女。奔放で男の子っぽいところもあり、正義感が強く、自分が正しいと思ったことは簡単には曲げない。
ある「出会い」によって、“いつもの毎日”に変化が訪れる———

レント・マルスリンク(18)
ライザとタオの幼なじみ。とある事情で村では冷遇されており、いつか大きな手柄を立てて、村人を見返したいと思っている。
調子がよい若者に見えがちだが、友情に厚く、お人好し。常識人としての感覚も持っており、破天荒なライザの行動を止めることもしばしば。

タオ・モンガルテン(15)
ライザとレントのなじみ。家の地下書庫にあった難解な古書をつねに持ち歩き、独自の解読作業を続けている。そのため村人からは変わり者として扱われている。
小心者で人付き合いも苦手だが、友達を見捨てるようなことはしない。
また、執念にも似た知的好奇心があり、情人離れした集中力を持つ。

クラウディア・バレンツ(17)
ライザの住む村にやってきた商家のお嬢様。行商を営む父親と一緒に旅をしているため、親しい友達を作る機会に恵まれなかった。
おっとりしている性格だが、引けない一線を秘めており、意外にも度胸も据わっている。

アンペル・フォルマー(?)
ラーゼンボーデン村を訪れた、流浪の錬金術師。
遺跡に対して並々ならぬ探求心を持ち、村に住居を借りて日々調査を行っている。
若い外見に反して不思議な貫禄があり、所作も大人びている。
過去に起きたある事件により、高度な錬金術を扱えなくなっている。

リラ・ディザイアス(?)
アンペルとともにラーゼンボーデン村を訪れた、流浪の女戦士。
ミステリアスな外見と高い戦闘力を持ち、ライザたちに実践的な戦い方を教えてくれる。
冷静沈着で、性格にも飾り気がなくぶっきらぼう。ある目的のために、アンペルとクーケン島内の遺跡を調査しているようだが———?

ボオス・ブルネン(18)
ラーゼンボーデン村の水源を握る有力者、ブルネン家の一人息子。
取り巻きを引き連れ、事あるごとにライザたちに絡み、自分の強さや優位を見せつけようとする。
傲慢で自尊心が高く、腕っぷしもそれなりに強いが、実は頭脳労働の方が得意。

これを見てもらえば分かると思いますが、主人公たちは少年少女です。そして、それぞれが現状に不満を抱いています。今作では、それぞれが葛藤しながらアンペルやリラとの出会いを通じて成長し、その不満を解決していきます。そしてこのキャラ達のバランスと構図が上手く用いられ、シナリオと絡められています。これによってライザのアトリエは面白いアニメを1クール見終わったような後のような感動が得られるのだと思います。それでは一つ一つ紐どいていこうと思います。

まずは主人公のライザです。少し活発で平凡な農家の娘です。この作品の冒頭でもライザ自身が言うように、「なんてことない日々」を変えたいと願っています。この平凡さはプレイしている人々の何者でもない若い頃の自分の探求心やもどかしさを思い出させ、懐かしさや共感を呼び込んでいると考えます。これはこの作品を語る上で最も注目しなければならない要素であると私は思います。そして、ライザはこの我々の共感を得つつ、親や周りと四苦八苦しながら成長していきます。そしてこれにより今度は強い愛着を抱くようになります。この身近さこそがライザという主人公の魅力であると私は考えます。

次にレント、タオ、クラウディアですが、このキャラクター達も共感と成長を感じることが出来ます。そしてなにより、ライザとの関係性が素晴らしいです。

次にアンペルとリラです。このキャラたちと主人公たちが出会うことで大きく物語は動き始めました。そして、この二人は成長を与えるという要素だけでなく、二人にも葛藤がありライザたちと出会うことで解消することに繋がりました。そして、ライザたちとの関係性は師弟関係でありながら、互いに感謝を持ち合わせている関係性で見ていて微笑ましいものでした。しかし、2ではこの関係性が上手く利用されておらず、このキャラたちの魅力を下げてしまっているように思いました。具体的な話をするとアンペルとリラはかなりライザに感謝していると思うんですね。アンペルの腕を直し、リラの故郷を取り戻したのですから。しかし、2ではその恩義を感じさせることもなく、他のキャラたちに対する愛着も持ち合わせているはずなのにそれをまったく出さない。これは、日常の物語での面白さの本質であるキャラたちの関係性を上手くいかせていないように思います。アトリエシリーズは日常でのやりとりというものも大きく期待されている作品であると思います。それゆえにこのキャラたちの関係性というもの如何にうまく扱うことが出来るのかで作品のクオリティは一段階も二段階も変わることがあり得ると思います。この点、無印はよく出来ていましたが2は酷いもんでした。これは別にアンペルとリラだけに当てはまることでもないんですけどね。

ここまでを見るとなぜキャラの評価を10にしなかったのかって感じなんですけど、これはボオスの扱いに違和感があったことです。話の都合に任せてボオスの人間味を剥いでしまったこと。重要人物なだけにこれはあまり良くない持っていきかたであったように思います。詳しくは後で扱います。


次に『③シナリオについて』を行います。とりあえず、簡単にライザのアトリエの話の流れを説明します。

①導入
②成長
③急展開
④解決
⑤お別れ

のような感じになっています。急展開は、古城でフィルフサの存在を知るあたりからですね。本作ではこの展開に上手くキャラたちの行動原理が絡められていました。それでは一つ一つ見ていこうと思います。

まずは導入なんですが、これが非常に丁寧であるように思いました。日常がよく演出されていたように思います。加えて、しっかりと急展開までの伏線を張っていました。個人的に良いと思ったのが親たちとの会話ですね。あれは共感やノスタルジーを演出するのに一役買っていたように思います。

次に成長です。これはどのキャラにも成長している証みたいなのがみることが出来て愛着を持つことが出来ました。

次に急展開です。これは非常に面白い。面白い物語を作る上で、日常からの急展開はよく用いられると思うんですが、ライザのアトリエの急展開は最後までしっかりとロジカルでこれといった矛盾点やご都合主義みたいなのが見当たらなくて気持ち良いです。詳しくは後で話します。

次に、解決です。これは蝕みの女王を倒すところまでです。

次はお別れです。これは蝕みの女王を倒し、島の動力を直し最後のところまでですね。個人的にこのお別れパートが良かったと思います。なぜなら、蝕みの女王を倒してから動力の復活や古式秘具の返還をする場面を持ってくることでプレイヤーはしっかりと余韻を感じ気持ちよくお話を終えることが出来るからです。余韻を上手く使うことはプレイヤーの満足度に大きく影響すると考えるので素晴らしい終わり方であったように思います。

最後に個人的によく出来ていたと感じる急展開パートの推理パートについて話していこうと思います。まず、伏線が日常パートで散りばめられていました。これは、ルベルトさんが借りている家での地震とフィルフサの登場シーンですね。では詳しく見ていきます。


島の動力が切れかけて、沈没しかけている
   ↓
異界を繋ぐ門が開いてしまった
   ↓
対フィルフサの竜の召喚装置が起動した
   ↓
竜の登場

これが流星の古城までの原因結果です。


なぜ門が開くまで放置されていたのか
   ↓
村には禁足地や、禁忌が存在していて誰も入ることが出来ず島の動力を戻すことが出来なかった
   ↓
王国は再び繁栄することを目指して関連する記録を消して、近づけないようにしていた

これが全体の原因です。


なぜ門があり、異界の水はなくなったのか
   ↓
過去のクレント王国の錬金術師が国の繁栄のため作り奪った

これが根本的な原因です。

逆算するとよく出来ていることが分かります。これといった矛盾点は見つかりませんし、情報が小出しされていて最後に全貌が分かるスタンダードなものではあるのですが、先ほどからも述べているようにキャラクターたちの行動原理と合致して話が進んでいるのが違和感なく話が進んでいました。

それでは各々の行動原理とはいかなるものであったのか。これをこれを見ていこうと思います。

まずは、ライザですがこれは「なんてことない日常」を変えたいですね。錬金術を通してこの目的は達成されるのですが錬金術が上達したことで各々の目的を達成できたことに大きな意味があったように思います。

次にレントですね。彼の目的は強くなりたいですね。そのために、塔へ行って町の連中に強さを誇示したかったんですね。その欲求の根本にあるのは、父親が家で横柄な態度を取っていて母が出ていった時に何もできなかった自分を許せないからです。この欲求を彼は冒険を通して満たしていくことになります。そして塔への到達。そして到達した後に彼はこう口にします
「冒険は、楽しいことや嫌なことに出会う俺のもので他人に認めてもらうためのものじゃない…気がした」
冒険を通して彼はものすごく成長をしたのだと思います。しかし2ではこの成長を見ることが出来ませんでした。というのは、戦士の心得を忘れた原因が認められなかったからという原因だったのですが、これは先ほどの発言に矛盾していると思います。なぜなら三年前に彼はこのことに気付いているからです。その上、彼の戦士の心得とは守りたかったという母への思いが根本的なものであったように思うのですがそれすらも扱かわれません。多分2ではシナリオ担当の方が変わっていると思われるのですが、キャラへの理解度やなにが魅力なのかというのが分かっていなかったのだと思います。レントの扱い方一つでもだいぶ違和感がありました。

次にタオです。彼は自分の家のおじいちゃんが残した古書を翻訳することが目的だったのですが、これを達成しつつ彼は島の動力を直すことにも一役かいました。これも、行動原理と物語の絡みの一致の一つですね。

次にクラウディアです。彼女の目的はフルートを父親の前で演奏するでしたね、、、(?)よくよく考えると、もう少しクラウディアはキャラ付けを考えた方が良かったかもしれないですね。そうしないと、異界で命がけで戦うほどの覚悟というのはなかなか持てるものでもなかったと思うので。

次に、アンペルですが彼の行動原理は「命の限り、錬金術師の犯す罪に抗う」です。これは今回の話の中心であった門の封印ですね。これはリラの「故郷を取り戻すという」行動原理の上、行動が一致していますね。

次に『④改善点について』を行います。
個人的にはやはりボオスの扱いが丁寧でなかったことくらいですかね。上記に書いたようにボオスは18歳の青年です。それでいて、プライドの高い彼があそこまで幼稚な行動をとるでしょうか。極めつけはキロとあった後の変わり様です。ボオスは頭の良い人間であると思われるので自分に対するメタ能力も高いはずであると考えます。故に、あの行動はリアリティというものを欠いていると思われます。別にリアリティが欠いているのが問題なのではありません。ありえないことが断続的に起こる世界観で描かれているのであるならば問題はないでしょう。しかし、ライザのアトリエはかなりリアルに寄せている作品です。最後から最後までロジカルです。そんな作品にリアルさを欠いている要素を入れ込むと違和感が生まれます。この原理はライザのアトリエだけでなく様々な作品に見ることが出来るので脚本家はこの点は考慮して書かないといけないと私は思います。というわけでボオスの扱い方を少しだけ考えてみたいと思います。しかし、そんなに大きな変更が必要であるとは考えません。ほんの少しいじるだけで違和感を消すことが出来たと考えます。それでは細かく説明していきます。

まず最初の方ボオスはライザたちに小言を言う役で登場します。これは、ボオスのプライドが高い割に臆病な性格がよく表せていて違和感はなかったように思います。しかし、プライドが高いのを表すシーンとして勉強等に励むシーンなどは入れてもよかったと思います。
とりあえず、ここまでは良いとして次からが問題でした。最初の問題シーンはライザたちとバレンツさんの提案として競争するシーンですね。このシーン自体にもリアリティというものが欠いていて今作にはあまり必要なかったようにも思うのですが、それ以上にむきになり過ぎるボオスが流石に違和感ありありです。そして、竜退治は流石にボオスの性格上無理があったように思います。
そして、次にランバーを使って錬金術を否定し、排除しようとするシーンです。これは個人的に良かったと思います。この時に「これで全部元通り」的なこと言ってたと思うのですが、これが彼の本心で望んでいたものであったように思います。
そして次は、異界に一人で行ってしまうシーンですが、これも違和感があったように思います。拗ねてボオスがどこかに行ってしまうとこまではいいと思うのですが、プライドの高い彼が書置きを残すでしょうか。また、キロにあっただけであそこまで様変わりしてしまうのでしょうか。15歳以下の少年であるならまだしも、18であれは流石に変です。
そこから、紆余曲折があってレントに剣を学び、2ではずっと勉強に励む彼ですがこれはボオスっぽくて良かったと個人的に思います。

そして、”何を変更すべきであったのか”なんですが、これは違和感のあったシーンを消すだけですね。まず競争と竜退治です。このシーンは普通に出さなくて良かったと思います。そのシーン減らしたら登場シーン減ってメインキャラとして成立しないのでは。という声もあるでしょうが、普通に揉めるシーンも多かったので、そこまで変わらないし、異界に行く前でも少しだけ楽しそうに会話するシーンもあったのでそういうのでカバーできたように思います。また、錬金術を排外しようとするシーンはあの島の人々とボオスの本質が見えた良いシーンだったのでもう少し際立たせるという感じでもよかったと思います。そして、キロに会ってからですがあそこまで様変わりさせなくても別に物語は成り立ったと思うので加減してほしかったです。
これ位すれば違和感は消えたと個人的には思います。
オタク特有の解釈不一致だと言われてしまえばそれまでなのですが。

最後に『⑤結論』です。
ゲームシステムが初心者に優しかったことなど、様々な要素が重なった結果ではありますが、個人的にはライザのアトリエをアトリエシリーズで最も売れた作品にしたのはキャラたちの魅力であったように感じました。そして、このキャラ達の成長を活かしつつ盛り上がる骨太な物語。本当に良く出来ていたと思います。それでは、これらのキャラたちの成長を重視していたことを象徴していたような発言が、ライザがアンペルの腕を補助する機械を渡した時のシーンにあったのでこれを紹介して今回の記事を終わろうとします。こんな雑なnoteを最後まで読んでくださってありがとうございました!

「二人がここまで旅をしてきてくれたから、ここで出会ったあたしたち全員が、変われたんだよ」


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