『ネット右翼になった父』

『ネット右翼になった父』(鈴木大介・著 講談社 2023)

非常に丁寧に考察されていて、父親について、著者自身について、ネット右翼とリベラルの共通点について、いくつもの発見がありました。

鈴木氏の父は、「不正受給をする生活保護受給者と接したこともなければ、安易な考えで結婚と離婚を経て シングルマザーになった当事者と話したことなどもない」にもかかわらず、“ナマポ”という差別ワードを使ったり、シングルマザーを自己責任論で斬って捨てていました。鈴木氏の父親が批判していたのは、実在するかどうか不確かなバーチャルなけしからぬ者でした。

これはリベラル側にも言えるのではないかと思います。ひろしま平和ノートの『はだしのゲン』削除問題では、名の知れた学者が「日本会議が削除させた」と述べていました。しかし、そのような事実は確認できていません。『はだしのゲン』の引用された部分と、差し替えて掲載される『いわたくんちのおばあちゃん』を比べれば、明らかに後者が教材に適していると、私は考えます。

『はだしのゲン』排除に暗躍している保守組織は、生活保護不正受給者や在日特権行使者と同様、仮想の存在では?と私には思えます。

鈴木氏は、私が敵視しているようなレイシストで、ミソジニストで、排外主義で、不寛容で、歴史修正主義という、典型的なネトウヨ(著者はこのワードを使っていません。私が蔑称として使っています)は、複数の調査から,一般人の2%にも満たないマイノリティだといいます。たしかに私の知人には、玉川徹が大嫌いという自民支持者はいますが、ネトウヨと呼ぶほどひどい人物ではありません。

つまりは、SNS上での非難合戦は、ゲームです。あるいは、ネトウヨを非難する私は、お菊相手に刀を振り回す青山鉄山なのかも。

今般の統一地方選を見れば、SNSよりテレビの影響力が大きいのだと思います。奈良県で大阪以外で初の維新公認知事が誕生。となりの三重県は維新候補全滅。二県の違いはテレビ。三重には関西圏のテレビ局が映らない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?