クルド人自治区の子供たち

2015年の私のノートより。

笑福亭鶴笑(国境なき芸能団代表)は、クルド人自治区にて子供たちを笑わせようとした。アートバルーンでうさぎを作ったり、切り絵でパンダを切って見せたが、子供達は全く反応しない。通訳が囁いた。
「子供たちは勉強をしていない。教科書も本もない。だから、うさぎもパンダも見たことがない」 
それは30年間笑いを忘れた街だった。それで、鶴笑はヘン顔をやって見せた。すると子供たちは大笑いした。何人かの子が彼の腕を掴んで離さない。通訳が言った。
「あなたを尊敬しているのです」
 別れの時、姿が見えなくなるまで手を振りながらバスを追いかけてくる子供たちがいた。


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