『らくごDE枝雀』

「100分de名著」の録画を見ていたら、伊集院光(元落語家)が、「笑いは理論化できない」みたいなことを言ってました。でも、桂枝雀師匠は理論化を試みています。
押し入れから引っ張り出してきたのが1993年の『らくごDE枝雀』。なんとも奇遇な。

枝雀師匠は神戸大学文学部(中退)で学者肌。
「物事を分類しようかちゅう時に、いちばん先にしとかなきゃならんことは、何やと思いなさる? 視点を定めることですわ。どの立場から、対象物のどの面を見て判断するかということを決めとかんと、あっちこっちから視点定めんと言うだけでは、統一性がおまへんがな」
と、まさに学者の態度です。
師匠の笑いの理論は「緊張と緩和」です。これだけでは不十分と考え、後年に「緊張と緩和の同居」も付け加えました。

で、この理論の信憑性を確認しようとした脳科学者がおりまして、『桂枝雀の「緊張の緩和」論を検証する:笑いを起こすひとつのメカニズムは計測・解明されうるのか?』というタイトルなんですが、読んでみると笑いに関する論文だけに、笑えまんねん。

たとえば「笑いを数値化する装置」いうのが登場します。「DLM笑い測定機(Diaphragmatic Laughter MeasuringSystem )」といいまして、「横隔膜の振動を体表面で計測し、笑いに特有の波動を識別しておかしみの量を解析する」というシロモノです。「緊張」「緩和」は、発汗と呼吸で数値化します。

いくつかの実験を経ての結論。「やっと緊張の緩和が笑いの起因になっていることが検証されたのである。」だそうです。枝雀師匠の理論は、脳科学的にも立証されたのでありました。


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