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取材日記 4月某日

この写真は今年の4月にブルージェイズの本拠地であるトロントのロジャースセンターの入り口で撮影したものだ。

50 50と書かれている。これは50/50ラッフルというもので、募金集めと富くじの要素を兼ね合わせたものである。

10ドルをブルージェイズ財団に支払うと、この財団が発行するチケットを5枚もらえる。25ドル支払うと25枚、50ドル支払うと100枚、125ドル払うと300枚のチケットをもらえる。

ブルージェイズ財団は集めたお金のうち半分を財団のお金とし、これらは財団の慈善事業に使われる。集めたお金の半分は、チケット購入者のなかから当選者を選び、当選者が受け取ることができる。

ホームスタンドのシリーズごと(例えば3連戦)に複数の当選者に1000ドルが支払われるものと、長期間にわたってお金を集めるジャックポット形式があり、当選者を年間に2-3人選ぶものがある。ジャックポット形式では1億から2億円の金額が当選者に渡される。

寄付とくじを組み合わせた50/50ラッフルは、メジャーリーグのほとんどで行っているし、わたしの見た限りではNHLの試合やカーリングの世界選手権でも行っていた。ただし、50/50ラッフルをやるには州からライセンスをもらわないといけない。いつだったか、うちの息子の高校運動部でもやることになり、ライセンスを申請したことがある。

アメリカだと、寄付を集めようとする団体が、この50/50ラッフルを使うことは珍しくない。

ここ数カ月、スポーツ賭博の問題がクローズアップされている。私はスポーツ賭博の依存症のリスクを考えると、日本でも安易に導入するべきではないと考えている。ただ、50/50ラッフルのようなくじならば、許容範囲ではないかと思ったり、50/50ラッフルを展開させたスポーツ振興くじのようなものであれば、依存症のリスクはそれほど高くないのではないかとも考えていた。

そう考えていたときにブルージェイズの入り口で冒頭の写真を見た。この50/50のスポンサーになっているのが、スポーツベッティング(賭博)会社だったのだ。

50/50ラッフルで慈善事業に協力しているつもりが、スポーツベッティングをはじめることの心理的なハードルを低くしてしまうということはあるのか、ないのか。この入口を通るたびに、もやもやする。

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