型月円卓好きに贈る『アーサー王物語』のススメ(165):ラ・コート・マル・タイユ卿の冒険~もう主役を乗っ取られる~
前回までのあらすじ:せっかく見直されたのに主役回が終わった。
もう主役を乗っ取られる(第5~6章)
ラ・コート・マル・タイユ卿が頑張っていた頃、宮廷にラーンスロット卿がやってきて彼が騎士になった経緯や冒険に出た事について聞いた。
ラーンスロット卿「ああ、何たることだ。あんなに若い騎士を破滅させるような、そんなたいへんな冒険を許可するなんて、高貴な騎士みなの名折れだ。
みな知っていることと思うが乙女マルディサントが、あの盾を何日も持ち歩いたのは、老練な騎士を探すためだったのだ。
ブルーンズ・サン・ピティがあの盾を奪ったが、その後にリオネスのトリストラム卿が奪い返して、それを乙女の手に渡したのだ。
あれはアイルランド王とわたしの甥ブラモー・ド・ゲイネスの間に争いが起こり、トリストラムが甥と戦うことになる少し前のことだったと思う」
<驚き>
言われてみればあったわ、そんな話。伏線だったんだあれ……。
たくさんの騎士たちが悔やんでいるのを見て、ラーンスロット卿はこう言った。
「まったく。ラ・コート・マル・タイユ卿の後を追って行こう」
そして7日で追いついた。モードレッド卿はラーンスロット卿が来たのを見るとどこかに行ってしまったため、ラーンスロット卿が代わりに同行する事になる。
乙女がラ・コート・マル・タイユ卿を罵倒した時に弁明する役もラーンスロット卿に引き継がれた。
ところで時を同じくして、トリストラム卿はラーンスロット卿へ手紙を送った。
内容はこんな感じだ。
白き手のイソードとの結婚を許してほしい、だが結婚後も真の騎士として、決して夫婦の交わりはしていない。
いつまでも自分とコーンウォールの美しきイソードの良い友達であってほしい、 彼女に会う時があったならば、自分のことを弁護してほしい。
そして神のお恵みがあれば、近いうちに美しきイソードやラーンスロット卿に会いたいと思っている。
ラーンスロット卿は返事を書くため、一時離脱した。
また2人きりとなったラ・コート・マル・タイユ卿とNEW暴言女王は、ペンドラゴンと呼ばれる城にたどり着く。
そこから騎士6人が立ちはだかり、徒歩で戦うか槍で戦うか選べと迫ってきた。
ラ・コート・マル・タイユ卿は即刻喧嘩を売って一人を馬から落としたのだが、残りの連中にやられて捕虜になってしまった。
翌朝、ラーンスロット卿はトリストラム卿へ手紙を出し、ラ・コート・マル・タイユ卿に合流すべく馬に乗った。途中で馬上槍試合を挑んできた騎士はサクッと倒した。
騎士「騎士どの、どうかお名前をお聞かせいただけませんでしょうか。何か他人のような気がしないのですが」
ラーンスロット卿「いや、今わたしの名前をいうのはよしましょう。あなたから先に名乗るなら別ですが」
騎士「たしかに、おっしゃるとおりです。わたしの名はネロヴュースといい、主君ラーンスロット卿に騎士に任命してもらった者です」。
ラーンスロット卿「ああ、ネロヴュース・ド・ライルか。こんな立派な騎士になったとは、嬉しいことだ。今なら明かそう、わたしの名前は湖のラーンスロットだ」
ネロヴュース卿「ああ、悲しいかな。何てことをわたしはしてしまったのだろう」
一通り再会を喜んだ後、突然湧いてきたラーンスロット卿の従者ネロヴュース卿は、ペンドラゴン城について教えてくれた。
ネロヴュース卿「というのは、その城の主はとても手強い騎士であり、そのうえ多くの腕に自信のある騎士たちを抱えております。
そして今夜、乙女とともに旅をしていた騎士が捕らえられたと聞きました。その騎士は円卓の騎士だということです」
ラーンスロット卿「ああ、その騎士はわたしの仲間だ。助けなければならない、この命と引き換えにしても」
<ツッコミ>
おわかりいただけただろうか……ラ・コート・マル・タイユ卿、ヒロインになってる……。
ラーンスロット卿はすぐさまペンドラゴン城にやってきて、襲ってきた例の6人騎士と戦った。全員をあっという間に倒して城に入っていった。
今度はブライアン・ド・レ・アイルズという立派な騎士かつ強火アーサー王アンチである城主が武装してやってきた。倒した。ブライアンは降参した。
ラーンスロット卿は城に囚われていた人々(アーサー王の宮廷の騎士30人、婦人40人)を解放して自分の冒険に戻っていった。
ヒロインことラ・コート・マル・タイユ卿は解放されるとすぐに武具や乙女を取り戻した。
ブライアン卿始め城の人たちは自分たちをボコして去っていったのは誰なのか疑問に思っていたが、ネロヴュース卿が遣わした乙女(ラーンスロット卿の活躍を知りたかったらしい)によって正体がわかった。
それを聞いてブライアン卿たちは喜んだ。そんな相手なら負けても仕方ないからだ。
<ツッコミ>
もう「災害」じゃん……こわ……。
一方ラ・コート・マル・タイユ卿は一緒にいたのがラーンスロット卿だったと知り(なんと自己紹介していなかったらしい)、乙女がラーンスロット卿を罵倒していたのを知って気が重くなった。
<ツッコミ>
ラーンスロット卿、ほぼ初めての体験だろうな……乙女に罵倒されるの……。
では、また次回。
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