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型月円卓好きに贈る『アーサー王物語』のススメ(124):聖杯探索(ボース卿編)~VSライオネル卿~

前回までのあらすじ:ライオネル卿に何の恨みがあるのか。

VSライオネル卿(第14~15章)

ボース卿は修道院長と別れて出発し、その夜は老婦人のもとに泊まった。翌朝谷間の城に向かう道中、城で勝ち抜き馬上槍試合が行われている事を知る。
プレーンズ領主が東軍、ハーウィンズの女領主の甥が西軍らしい。
兄や仲間に会えるかもしれないと考えたボース卿はそこに向かう事にした。
すると、礼拝堂の入り口にライオネル卿が座っていた。試合までそこに滞在する事にしていたらしい。
ボース卿は生きている兄を見てそれはもう喜んだ。


ボース卿「優しい兄上、いつこちらにおいでになりましたか?」
ライオネル卿「ああ、ボースよ、そなたは自分を恥ずかしいと思うべきだ。わたしはそなたのために殺されるところだった。
二人の騎士がわたしを打ちながら連れ去ろうとしていたのに、そなたはわたしを見捨てて女を助けに行ってしまい、わたしを見殺しにした。
自分の兄弟にこれほどの不誠実を働いた者は、いまだかつていなかったろう。その悪行に対し、わたしはいまそなたに死を約束する、その行為がそれにふさわしいからだ。
だからわたしから身を守るのだ。わたしが武装したら、すぐにそのことを身をもって知るだろう」


<ツッコミ>
殺したいなら不意打ちで殺しにかかればいいのに……騎士らしくないからダメなのかな?

ボース卿はライオネル卿が怒っているのに気がつくと、地面に跪いて詫びた。


ライオネル卿「いや、駄目だ。ありえないことだ。わたしはお前より強いぞ。もうわたしは神に誓ったのだ、そなたを殺すとな。そなたがこれ以上生きていることは忍びない」
(ライオネル卿、武装して馬に乗る)
ライオネル卿「ボースよ、覚悟はよいか! わたしは悪党や裏切り者に対すると同じように、そなたにたいして振る舞うからな。
そなたは父のボース・ド・ゲイネス王のような立派な家系の出身者としては、もっとも不要な騎士なのだ。さあ、馬に乗れ、そうすれば有利な立場になる。
もしおまえに戦う気がなくとも、そなたが徒歩でいるところを馬で襲うぞ。そうなるとわたしは汚名を受けるが、傷つくのはそなたなのだ。だがそんな汚名なぞものの数ではない」


<ツッコミ>
汚名をかぶってでもボース卿を殺したいならやっぱり不意打ちで殺せばよかったのでは……。
いや、ボース卿を殺してほしいわけじゃないけど気になって……。

兄と戦うか死ぬかしかないとわかっていても、兄と戦う気がおきないボース卿はまた跪いた。


ボース卿「優しい兄上よ。わたしにお慈悲をかけてくださり、殺さないでください。そしてわたしたちの間にあった大いなる愛を思い起こしてください」


だが、この懇願はライオネル卿には通じない。悪魔がライオネル卿に殺意を持たせていたからだ。

<ツッコミ>
ボース卿に対してだけすんごい精神攻撃してくるじゃん……。マロリーってそういう趣味の人? その気持ちは正直わかるよ(小声)。

ライオネル卿は馬に乗ったままボース卿に襲いかかり、仰向けに蹴倒したため、ボース卿はひどい怪我をして気絶してしまう。
そんなボース卿の首をはねるため、ライオネル卿は馬をおりて兜をはいだ。ボース卿大ピンチだ。

だがそこに、突然湧いた高齢の隠者が走ってきた。2人の会話を聞いていたらしい。
隠者はボース卿をかばいながら言った。


隠者「ああ、騎士どの、わたしとあなたの弟君に慈悲をお与えください! あなたが弟君を殺せば、その罪で死ぬことになりますが、それはとても悲しいことです。
あなたの弟君は、この世でもっとも優れて気高い騎士の一人なのです!」
ライオネル卿「司祭どの、弟から身をひかれよ! さもなくばあなたも殺すことになる。だがそれで弟が早く自由になれるというわけでもないのだ」
隠者「確かにボース卿が殺されるよりわたしが殺された方がいいでしょう。わたしが死んだところで大した損害はありません、彼の半分もないでしょうね」
ライオネル卿「さてそれは賛成だ」


ライオネル卿は隠者の首をはねた。

<ツッコミ>
と、突然湧いた隠者~~~~~~~!!!
なんてこった! たぶん惜しい人なんだろうけど急に湧いてきたから全然そうは思えない人をなくした!

邪魔な隠者をさくっと始末したライオネル卿は、今度こそボース卿の首をはねようとしたが、またも邪魔が現れる。
それは円卓の騎士、コルグレヴァンス卿だ。彼はライオネル卿をボース卿から引き離してこう言った。


コルグレヴァンス卿「ライオネル卿、あなたはこの世でもっとも優れた騎士である弟を殺そうとしているのですか? よい人が見たらそうはさせませんね」
ライオネル卿「おや、邪魔をするのですかね? それならあなたのことも殺さざるを得ない。弟の始末はその後だ」
コルグレヴァンス卿「なんですって。ほんとうにあなたは弟を殺すのですか?」
ライオネル卿「わたしは彼を殺す。誰が反対したところでやる。彼は死に値することをわたしにしたわけだからな」
コルグレヴァンス卿「あなたがそこまでやろうとするからには、戦わざるを得ないですね」


ここでライオネル卿は剣を抜き盾を構えて何者かと尋ねた。
コルグレヴァンス卿は自分の名とボース卿の仲間である事を名乗った。

<ツッコミ>
同じ円卓の騎士なのに名前知らんの?
コルグレヴァンス卿はライオネル卿の事知ってるっぽいのに?
コルグレヴァンス卿、影が薄いのかな……ここまで全然出てきてないし……。

こうしてライオネル卿VSコルグレヴァンス卿が始まった。
2人は割と良い戦いをしているので、気絶していたボース卿も目を覚ます。
ボース卿は戦いを見守りながら気が重くなっていった。
兄が死ぬのは嫌だし、かといって兄がコルグレヴァンス卿を殺したら恥辱は自分のものになるからである。
そのため2人が引き分けるようにしようかと思ったのだが、立つ力もなく、動けない。
そうこうしているうちにコルグレヴァンス卿は負けてしまった。


コルグレヴァンス卿「ああ、ボース卿よ、なぜわたしを死の危険から救いに来てくれなかったのですか。わたしは今にも死にかけていたあなたを助けるため、この死の危険にわが身をおいたのに」
ライオネル卿「まったくそれは無駄だな。おまえら二人はおたがいに助けるなんぞということはできないのだ。この手で二人を殺してやる」


ここでボース卿は起き上がり兜をかぶったが、そこで隠者が死んでいるのを見つけて悲しんだ。

<ツッコミ>
急に恨み言ぶちまけてくるじゃん!?
ボース卿にメンタルアタックしすぎだろ! やっぱりマロリーそっち系の性癖の持ち主なんじゃないのか!?

ボース卿とコルグレヴァンス卿が大ピンチだが、どうなるのかは次に回させていただく。

では、また次回。

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