型月円卓好きに贈る『アーサー王物語』のススメ(241):円卓の崩壊~カムランの戦い~
前回までのあらすじ:ガーウェイン卿死亡。
カムランの戦い(第3~4章)
アーサー王は味方側の手当や葬儀を行った後、馳せ参じた者たちと共にソールズベリーに向かった。
そこで聖霊降臨祭の次の月曜日にモードレッド卿との会議が行われる事になったのである。
これでモードレッド卿に復讐できるとアーサー王は喜んだのだが、会議前日にこんな夢を見た。
アーサー王が豪華な衣装で座っていると、はるか下に気味の悪い黒い湖があり、蛇や虫や怪獣が湧いていた。キモ……。
すると突然アーサー王が湖に落ち、怪獣たちが群がってきて助けを求める。
ここで王は騎士たちに起こされたが、王は夜明けまで結局ウトウトしていてまた幻を見た。
ガーウェイン卿が美しい婦人をたくさん従えて現れたのだ。
アーサー王「もう死んでしまったと思っていたのに、よく来てくれたな、姉上の息子よ。このようにそなたに生きて会えるなんて、全能の神イエスさまの思し召しなのか。それにしても甥よ、そなたといるこのご婦人たちは、いったいいかなる者たちなのかな?」
ガーウェイン卿「王よ。これらのご婦人方は、みなわたしが生前、この方々のために働いたご婦人たちです。わたしはすべて正義のために戦ったのでした。
それでこの方々ゆえに戦ったのだからと、神はこれらの人々の心熱心な祈りを聞き届けられ、これらの婦人たちがわたしを、王のところまで連れて来るのをお許しくださったのです。
そして神は王が死ぬかもしれぬから、次のように繋告するようにと、わたしが来ることをお許しくださったのです。
明日、取り決めどおりにモードレッド卿と戦ったなら、きっと王は殺されるでしょう。そして両軍ともほとんど全滅するでしょう。
ですから全能の神イエス様の王へのご慈悲と広いお心により、また王と戦死することになる多くの善良な兵士を哀れんで、神は特別のご慈悲を垂れさせたまい、わたしを王の許に遣わしたのです。
そして明日は決して戦わずに、双方の条約は一か月の間として結んだほうがよい、と警告されたのです。ですから、明日は戦いを延期なさる条件で、余裕のある物言いをなさってください。
そうなれば一か月のうちに、必ずやラーンスロット卿が優れた騎士を引き連れて駆けつけ、王をお救いするのに成功するでしょうし、モードレッド卿の軍勢を全部やっつけてくれるはずです」
こう言い残し、ガーウェイン卿は婦人たちと一緒に消えてしまった。
アーサー王は人を呼んで夢の話をし、ルーカン卿とベディヴィア卿と司教2人をモードレッド卿のところに行かせ、一ヶ月の協定を結ばせる事にした。
長いこと交渉が続き、見事交渉成立。中間地帯で会見を行う事になった。
<ツッコミ>
「わたしはすべて正義のために戦ったのでした」……。
そうだっけ? じゃあうっかり婦人を殺した時に散々罵倒されたのはなんだったんだ???
出発時、アーサー王は全軍にこう言った。
アーサー王「もし剣が抜かれるのを見たなら、よいか、すぐに駆けつけ、あの裏切り者モードレッド卿をすぐさま殺すのだ。私はあの者をひとつも信用していないのだからな」
一方、モードレッド卿も出発前に全軍にこう言った。
モードレッド卿「いいかおまえたち、どんな剣でも抜かれるのを見たなら、すぐに駆けつけ、前に立ちふさがるものは誰でもいいから殺すのだぞ。
こんな条約なんか、わたしはちっとも信用していない。父がわたしに復讐したがっているのを、わたしはよく承知しているのだからな」
こうして会見が終わり、皆でワインで乾杯した。
<ツッコミ>
おいおい失敗フラグしかねえじゃねえか。
まあ実際失敗するんですけど。
微妙に役に立たねえな、ガーウェイン卿の予言……。
なんとここでマムシ登場。とある騎士が足に噛みつかれる。痛いのでマムシを斬ろうと剣を抜く。
はい、カムランの戦いが始まりました。
アーサー王とモードレッド卿は馬にまたがって自らの不幸を嘆きながら味方の方に駆けていったのだった……。
<ツッコミ>
最終決戦の始まりがこれかあ……(頭抱え)。
まる一日殺し合いに明け暮れた結果、死体が10万体ほど地面に転がっている有様だった。
さすがに10万は盛りすぎじゃないかな。テルモピュライの戦いのペルシャ軍くらい盛られてない?(適当)
アーサー王はこの有様を知って怒り狂った。
なんと確認できた生き残った味方はルーカン卿(重傷)とベディヴィア卿(重傷)だけだ。
たったの3人は少なすぎでは?
アーサー王「何とまあ、わたしの気高い騎士たちは、皆どこに行ってしまったのだろうか? ああ、このような悲しい日が来ようとは!
今となっては、私ももはやこれまでだ。このすべての災いを引き起こした裏切り者のモードレッド卿は、いったいどこにいるのだろうか?」
ここでアーサー王は、剣に寄りかかっているモードレッド卿の存在に気がついた。
どうやらモードレッド卿側も味方が相当死んだらしく、周囲にモードレッド卿の味方はいないようだ。
アーサー王「さあ、槍を渡してくれ。こんどの災いを引き起こした裏切り者を、あそこに見つけたぞ!」
ルーカン卿「王よ、あの人をそのままになされよ。というのは、あの人は不吉な人ですから。だからこの不吉な日をやり過ごしさえすれば、充分に復讐がおできになると思います。
だから良き王よ、昨夜の夢のことを思われ、ガーウェイン卿の霊が言われたことを思い出してくだされ。神は寛容の御心から、今まで王を守ってくださったのです。ですから王よ、どうか彼をそのままになさってください。
神のご慈悲によって、王はこの戦いに勝ったわけですから。なぜならこうしてわれわれ三人は生き残っておりますが、モードレッド卿のほうには、一人だって生きている者はおりません。もしこのままで手を引けば、この運命の嫌な日は過ぎ去るのです」
アーサー王「死のうが生きようがままよ。あそこにモードレッドが立っているのを見たからには、この私の手から逃しはしないぞ。彼を捕らえる、またとない機会だ」
ベディヴィア卿「ではご成功なさるよう、祈ります」
アーサー王「この裏切り者め! 今こそそなたの終わりの日だ」(モードレッド卿を殺しに行く)
アーサー王はモードレッド卿に槍で致命傷を負わせたが、モードレッド卿は自分から突進しアーサー王の頭を剣で叩きつけ、絶命した。
<ツッコミ>
致命傷を負ったにも関わらずアーサー王に攻撃したこの逸話が、モードレッドのスキル「戦闘続行」の元ネタである。
FGOではオミットされているのでアポを見ないと、このスキルを持っているとわからないのだが。戦闘続行、あってもいいと思うんすよ……今からでもつけてくださいよ……。
あと生き残り4人だったのが爆速で3人になったのもすごい。そしてすぐに2人になりそうだ。
ルーカン卿とベディヴィア卿はアーサー王を抱きかかえて礼拝堂まで連れて行った。そこで戦場から叫び声が聞こえてくる。
アーサー王「さあ、行って見てきてくれ、ルーカン卿よ。戦場でのあの騒ぎは、いったい何なのか、知らせてくれ」
<ツッコミ>
え、ルーカン卿重傷なんですけど???
手当してからの方が良くないですか???
行ってみると、強盗やら追い剥ぎやらが楽しくお仕事中(意味深)であった。
急いで戻ったルーカン卿は、この事をアーサー王に報告する。
<小ネタ>
お願い、死なないでアーサー王!
(中略)
次回、「アーサー王死す」。デュエルスタンバイ!
……はい、そういう事です。
では、また次回。
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