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シリアスな笑い~初代トランスフォーマーのススメ~

『アーサー王物語』ツッコミ列伝(正式名称:「型月円卓好きに贈る『アーサー王物語』のススメ」)なるマガジンを好き勝手書いているのだが、この視点で物語を見るようになったのは初代トランスフォーマー(正式名称:『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』)の影響が大きいように思う。
今回はその初代トランスフォーマーの魅力を紹介したい。

前置きからわかるかもしれないが、初代トランスフォーマーの魅力は「シリアスな笑い」だと私は思っている。
まず初代トランスフォーマーのあらすじはこんな感じ。

機械生命体トランスフォーマーが住むセイバートロン星は長くサイバトロンとデストロンによる戦いが続いており、星のエネルギーが枯渇しようとしていた。
そこでサイバトロンは外にエネルギーを探しに出たのだが、デストロンに妨害される。
戦いの末、彼らはとある星に墜落し、機能を一時的に停止した。
それから400万年後、とあるきっかけで彼らは復活。とある星もとい地球で戦いを再開する。

こう聞くとすごくシリアスで真面目なストーリーに思える。実際登場人物たちは至って真面目だ。真面目に戦い、真面目に地球の平和を守ったり地球の平和を脅かしたりしている。それはわかるのだ。
でも……なんか……変。

・シリアスな笑いその1:作画ミス
なんかすごい作画ミスが頻発している。よく見ると指が6本あるとかそういうレベルではない。
同じキャラが同じ画面に2人いるとか、キャラの色が違うとか素人でもわかるレベルだ。
まあ、初代トランスフォーマーは姿同じの色違いが普通にいたりするのでややこしいのもあるだろうが……。
そのせいでスカイワープ色のサンダークラッカー声の誰かがワープしたりする事もある。
(スカイワープはワープができるのだが、サンダークラッカーはできないはずである。なお当人の名乗りはサンダークラッカー。誰だお前)

・シリアスな笑いその2:正義の味方……だよね?
サイバトロンたちは親人間派であり、自由を愛する。今作における正義の味方と言えるだろう。
だがこの連中、正義の味方と言うには少々問題がある。
めちゃくちゃ口が悪いのだ。
「血祭りにあげてきます!」「引きずり降ろして細切れにしてやる!」程度は序の口。
「お前は歳を取り過ぎた時代遅れのロボットだ!スクラップが似合うぞ!」とか「もういい!もうたくさんだ!ダイノボットを破壊する!」とか、よりによってサイバトロンの司令官が言う。ちなみに「時代遅れのロボット」云々は敵に言っているからまだマシだが、ダイノボットは暴走した味方である。
お前ら本当大概にせえよ。デストロンの方がお行儀が良いんじゃないかと思えてきたぞ。

・シリアスな笑いその3:悪役……だよね?
一方のデストロンは本当にお行儀が良いのかというも、正直そうだ。これはアメリカの放送規制のせいでもあるのだが、死亡描写や破壊描写が抑えられているためやたらお行儀が良く見える。デストロンの首領メガトロンは人は殺さないし(描写がないだけ)、リンカーンの像を丁寧にどかして代わりに自分が座る。スタースクリームがどれだけニューリーダー病(端的に言うと下剋上)を発症しても大概しばくだけで済ませる。そのせいで「破壊大帝」ならぬ「慈愛大帝」というあだ名すらつけられてしまった。おかしいな、一方のサイバトロンの司令官は後に実写で「顔面破壊大帝」とか言われるようになるのに。

・シリアスな笑いその4:やたら崖から落ちる
味方側の司令官は崖または高所から落ちる。これがトランスフォーマーの伝統である。
そんな事を言われるくらい今作の司令官――コンボイは崖から落ちまくるのだ。
コンボイが高所にいたらもうフラグと言って良いレベルでぼとぼと落ちる。
しかもその時に……。

・シリアスな笑いその5:何その叫び声?
コンボイ司令官は(主に転落する時に)独特な叫び声を発する。
「ほわあああああああああああ!」という玄田哲章ボイスは一度聞いたら忘れられない。
あとパーセプターの絶叫もすごいので是非聞いて欲しい。

・シリアスな笑いその6:オープニングテーマの中毒性
初代トランスフォーマーのオープニングテーマは「Transformer」だが、そういう時代だったのか何故かアイドル風ソングである。画像自体は本編の流用だ。その中に「まばたく宇宙のデスティニーそめて」という歌詞がある。
まずその歌詞が微妙に笑えるのだが、よりによってその歌詞で映し出される場面はコンボイ司令官がトラック形態のままゴロゴロ転がり落ちるシーンなのだ。その間の取り方が絶妙で、ついつい笑いを誘われてしまうのである。

・おまけ:個人的一番笑ったシーン
第15話『イモビライザー』にあるシーンである。サイバトロンの技術者が開発した何でも凍らせる「イモビライザー」を奪いに来たデストロンと戦い、川すら凍らせるイモビライザーをデストロンの首領メガトロンに奪われてしまった。凍った川の上で勝ち誇るメガトロンだったが、次の瞬間イモビライザーの効果が切れてしまい、凍った川に立っていたメガトロンとその一味は見事な川ポチャをやらかす。
もうね、こんなんね、笑うに決まってるでしょ。

ここまでシリアスな笑い成分ばかり紹介したが、もちろん初代トランスフォーマーはコント番組ではない。ちゃんとシリアスに戦いもやっているので、安心して見て欲しい。

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