12月08日と、12月08日と。

 15年前の2005年「12月08日」に、ゲームメーカーのセガから、PlayStation 2用ソフト、「龍が如く」が、発売された。
 極道の世界をテーマにし、主人公はヤクザの「桐生一馬」、新宿 歌舞伎町をモチーフにした街、「神室町」を舞台に、Vシネマの様な物語と、喧嘩アクションが楽しめる本作は、異色であるが故に、他に無い魅力を感じ、知ってすぐに購入してプレイをし、どっぷりとその世界にハマった。
 クリアした余韻に浸る間もなく、家庭用ゲームとしては珍しい早さで、ほぼ一年後の2006年12月07日に、続編「龍が如く2」が発売された。
 前作の評判に甘える事が無く、敵対する組織や、警察関係などの登場人物が増え、舞台も大阪 道頓堀をモチーフにした「蒼天堀」と神室町の二大都市を行き来する、前作を更に上回る内容を、ユーザーにぶつけてきた。

 以来、PS3、PS4とプラットフォームが変わり、映像表現も進化しつつ、シリーズ新作は勿論の事、龍が如くのキャラが、宮本武蔵の話を演じる「見参!」や、坂本龍馬、斎藤一の物語を描いた時代物「維新!」、神室町がゾンビに襲われたifストーリーの「OF THE END」などのスピンオフ。
 北斗の拳の登場人物を、龍が如くのキャストが演じ、龍が如くテイストで表現されたコラボ作「北斗が如く」。
 木村拓哉さんが、神室町の探偵を演じ、殺人事件の謎を解く、龍が如くのスタッフが制作した「JUDGE EYES:死神の遺言」。
 ゲーム以外にも、劇場映画、TVドラマ、舞台と、龍が如くの魅力が、年1を超えるテンポの速さで、発信し続けられてきた。

 黒田崇矢さん、釘宮理恵さん、山寺宏一さんなどの声優陣がキャラの声を演じる他に、渡哲也さん、徳重聡さん、藤原竜也さん、ビートたけしさんといった、俳優やタレントさんが、声で出演しているのも、龍が如くの特色の一つで、「見参!(2008年)」以降は、フェイスキャプチャで演者自身の顔が使用されたキャラも登場し、ゲームと実写の一体感が増した。

 「龍が如く」を彩る要素として、タイアップ楽曲もある。
クレイジーケンバンド、ZEEBRA、ケツメイシ、矢沢永吉、湘南乃風、氷室京介、ONE OK ROCK、稲葉浩志、山下達郎、SiM、[ALEXANDROS]、等々。
 作品の為に制作された曲も多く、JUDGE EYESの主題歌、[ALEXANDROS]の「アルペジオ」では、主人公を演じた木村拓哉さんが、MVに登場した事でも話題になった。

 今では、セガの代表作となった龍が如くから、大きく影響を受けて、出演した役者陣や楽曲アーティストの、龍が如く以外の活動にも興味を広げて、出演しているアニメや映画を観たり、過去に発表されたアルバムを購入したり、ライブ映像を観たりしている。
 龍が如くの中心人物だった桐生一馬を主人公とした物語は、「龍が如く6 命の詩。」として、2016年「12月08日」に発売されて、最終章を迎えたが、それまでの登場人物や、神室町などの舞台、出来事などを引き継いで、新しい主人公「春日一番」の物語を描く、「龍が如く7 光と闇の行方」が、今年、2020年01月16日に発売され、今なお、龍が如くは、続いている。

 「発信」し続け、前回を超える様に「進化」し続ける事は、並みの努力で出来る事ではないと思うが、それを重ねる事が、他に真似できない「ブランド」になり、多くの人の関心を引きつける「魅力」となる。
 世界の龍が如くフリークがそうである様に、私もまた、新たな刺激と驚きを期待して、龍が如くの次回作の発表を楽しみにしている。

 さて、前置きはこの位にして、斯様に気にいったコンテンツは、とことん楽しみたい性質の私が、2年前の2018年「12月08日」に、6人の女性声優ユニットと出会った時のお話。

 きっかけは、それより一週間ほど前の12月02日に放送された、文化放送「阿澄佳奈のキミまち!」を聞いていた処、その日にゲスト出演した「NOW ON AIR」というグループ名に、聞き覚えがあるなと思った処から始まる。
 当時は、超!A&G+の番組をよく視聴していて、何と無しに記憶に残っていたのが「NOW ON AIRのLOVE!おんえあ~」だった。
 興味がでたので調べ続けていると、龍が如く5の出演者・金子有希さんのTwitterなどで、「Kleissis」に参加している田中さんに見覚えがあったり。
 更に、現行の番組「NOW ON AIRがNOW ON AIR」を知り、YouTubeのアーカイブを観た処、背景のワロップのロゴを観て、驚く。
 前日の12月01日に、同じくワロップで放送している桃井はるこさんの「モモーイ党せーけん放送」を、現地 押上のスタジオで、公開生放送を観覧してきたばかりだった。
 幾つかの偶然と縁が重なり、加えて、翌週「12月08日」に、NOAのあの、公開録音イベントがあった事、私がその日予定が無く暇だった事。
 NOW ON AIRについて、YouTubeから得られた事以外に知らないまま、公録を観に行ったのは、押上の会場に、行き慣れていたからだったと思う。

 「12月08日」当日は、公開生放送と、公開録音の違いはあったものの、あまり気持ち的には変わらず、収録スタジオに入った。
 12月、クリスマス仕様と云う事で、サンタなどの装飾をした格好で、メンバさんが登場。岩淵さんは、文化放送のイベント出演で、収録には不参加。
 まず気になったのは、片平さんが着用していたサンタ眼鏡を、番組収録中に一度も取らなかった事。(NOAのあ第39回第40回
 恐らく、若い女性声優さんのかわいいお顔を観たくて、会場まで来ているお客さんが居るだろうに、ちらっとも見せない様子に、驚いた。

 番組内容の、投稿紹介や、回毎のコーナーは、自然とボケる人が居たり、突っ込む人が居たりと、思っていた以上に楽しめて、来て良かったなと思ったのだが、メンバさんだけで公録イベントが進行できている事、更に、2回分の収録で、前半後半のMC役が替わる事にも、驚いた。
 アニメなどの声優さんが出演するイベントだと、余程の面倒見のいいベテランが居る場合でない限り、進行役が別に居て、場を仕切る事が多い。そうでないと、会話に参加できない声優さん(主に若手)が居て、バランスが偏るから。
 この時点では、キミコエオーディションや、映画「きみの声をとどけたい」について知らなかったので、声優事務所の若い子を集めたグループにしては、よくできるなあ位にしか思っていなかった。

 公開生放送だと、番組の時間=イベントの時間なので、放送終了と同時に、イベントも終わりなのだが、NOAのあ公録が終わって、既に十分満足していた私は、アフターイベントがある事を知って、更に驚いた。
 舞台にキーボードが設置され、岩淵さんも別イベントから戻り参加、クリスマスソングを披露するとの事だった。
 NOW ON AIRとしての楽曲も、YouTubeでさらっと視聴した程度しか知らない私にとって、この時に鈴木さんが演奏をして、メンバ6人で唄ったクリスマスソングは、人生が変わる程の青天の霹靂だった。
 CD出すなら、まあそこそこ唄えるでしょう、キーボードが演奏できる子もいるでしょう位に思っていたのが、巧みな演奏、見事な個々の歌唱とコーラス、曲の構成も独自の物で、後で聞けば、鈴木さんがアレンジして、メンバさんに指導した、と。。。

 いやいやいやいやいやいや。。。え?なにそれ? さっきまで貴女方、面白可笑しく、しゃべっていたじゃない、若い割に、面白い話ができる人たちだったじゃない、なんでそんな、とちる事もなく、めっちゃきれいに唄うの? 曲と曲が混じっていたり、演奏もガッツリいけてんの? ずっとサンタ眼鏡していたじゃない。何で後から来て、今まで一緒に居たみたいに歌えているの? 普通こういうの、誰かミスしたり、ああなんか頑張ったのは解るけど、もっと努力しようか、みたいな奴を聞かされるんじゃない?
 NOW ON AIRを昔から知っている人には、唄も演奏も、当たり前の事なのかも知れないが、その日が、ほぼ初めてだった私には、大きな驚きだった。

 唄の後は、恒例らしい朗読劇のコーナーで、確かこの時は「君が好きで好きでダメだよ」を元にした内容のお話で、始めてNOW ON AIRの楽曲を生で聞けたのだけど、唄のコーナーが想定を超え過ぎて、呆然と聴いている内に、アフターイベントも終了した。

 グッズ購入者用の特典会もあったが、接近戦が苦手なので、発売されたばかりの「わたし的Progress」と、ブロマイドを購入して退散。
 帰ってから、じっくりと曲を聞き、「この声が届きますように」「キボウノカケラ」購入、映画「きみの声をとどけたい」を鑑賞、年明け、NOAのあ再観覧、ライブイベントにも参加する様になり、「RAINBOW'S BOX」が発売される頃には、NOW ON AIRが、生活の一部になっていた。

 私のこれまでの感覚だと、女性グループは、何人か居る内の1人2人興味ある人が居たら、CDを買ったり、ライブを観に行ったり、という事はあったが、NOW ON AIRは、飯野美紗子さん、岩淵桃音さん、片平美那さん、神戸光歩さん、鈴木陽斗実さん、田中有紀さん、この6人で唄っている事が、すごい意味のある事だし、6人で話している処を観るのが、とても楽しい。
 「箱推し」という言葉があるが、メンバの誰かが卒業したり、新メンバが加入したり、グループという箱があり続ける限り、応援できる人も居るのだろうが、NOW ON AIRは、誰かが減って、代わりに誰かが加わっても、NOW ON AIRとは成り得ない。
 唄っている時の振り付けも、コーラスも、トーク時の掛け合いも、ブルーインパルスの航空ショーの如く、見事な連携感と、間合いが秀逸だから。
 キミコエ・オーディションから始まる、6人の歩みは、恐らくこの先、どの様な放送局も、アニメ制作会社も、声優事務所も、真似ができないものだと思う。6人それぞれが、演者として活動の幅を広げ、人として厚みを増す事で、唯一無二の存在になると思う。既に、そう成っているかもしれない。

 そう思う様になってから、メンバさん個々のアニメ、吹替え、番組、イベント出演なども、チェックする様になった。コンテンツに飢えている身としては、メンバさん個々の活動が、嬉しくて、楽しくて、有難い。

 2020年は、地球規模で、全ての人たちに想定外のアクシデントが起きた。その為、労働、学習、家事と、一般の人たちの生活さえ、ままならない状態になったのは勿論の事、エンターテインメントで活躍する人たちにとっても、予定していた事が憚れて、もどかしい思いをしただろう。
 それは、ファン、視聴者、ユーザーにとっても同じ事で、好きな演者の姿を観られなくなったり、声が聴けなくなって、コンテンツや、演者への興味や好意が、薄れた人も居るだろう。残念に思う。

 しかし昔と異なり、幸いな事に今は、コンテンツや、会場だけに、発信の場が限られていない。
 自分の書いた漫画やイラストを、出版社に持ち込んで、編集者に気に居られ、本に載せて貰えなくても、たくさんの人に観て貰う事ができたり、音楽レーベルに所属してなくても、自ら作曲、演奏した曲を、多くの人に聞いて貰う事ができたり、一般人が動画配信で、有名人になれたり。
 インターネットの普及と、Twitterやブログ、YouTubeなどのツールによって、発信する事ができ、知って貰う事ができる。
 お酒好きな声優さんが、お酒を紹介する番組を担当したり、ゲーム好きな声優さんが、ゲームメーカーの宣伝番組のMCを担当したり、カメラ好きな声優さんが、地域をPRする素材の撮影を担当したり、ネイティブな方言を話せる声優さんが、特定の地域を舞台にした作品のキャラを演じたり。

 龍が如くのスタッフさんが云っていたが、制作準備期間の2000年初期、インターネット上に、サンプルボイスなどの素材が少なく、キャラクターのイメージに合う声を探す為に、声優事務所から提供された大量のCD-ROMを聞いて、声だけで演者さんを選定していたとの事。

 コンテンツを作る側も、全ての演者を把握している訳ではなく、知る事ができた素材の中から、イメージに合うものを選んでいるだけ。

 NOW ON AIRとしても、メンバさん個々の演者としての活動も、もっと増えて欲しいと願うが、自分にできる事は、精々それらを楽しんで、Twitterなどで発信したり、友人で集まった時に話題にする事位。
 しかし、それらが、これからファンになる人や、コンテンツを作る側の人に届くなら、伝達し拡散していきたい。
 メンバさんの趣味や特技、まだまだ知られていない個性が、何よりもその「声」が多くの人に届く様に、中継器としてできるだけの事をするので、これからも、「発信」し続けて貰えると、嬉しいです。

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