変愛教室 9

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しかたなく金魚を見ていると、わたしたちが入ってきた方とは別の扉が開き、男が姿を見せた。
男は茶色の短髪で、紺のスーツを着ている。白ワイシャツに赤ネクタイで、生命保険会社の営業員のような見た目だ。歳は、30くらいだろうか。
男は、竹田さんに言った。
「おふたりの部屋、できてますよ。ぜひご覧になってください」
竹田さんは、
「部屋。見る」と答えた。
男は、行きましょうとわたしたちを部屋の外に導いた。
金魚の部屋を出ると、20畳以上はありそうな、リビングだった。
「親子丼、どうやってつくる」
竹田さんは、先ほどと同じことを聞いてきた。

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