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次に来るのはドリョパ【コスパとタイパの次】

コスパ、タイパと来て、次に来るのは努力パフォーマンス、つまり「ドリョパ」だろう。

どういうことか。説明する。

日本人がどんどん貧しくなっているのは皆さんの実感通り。

その兆候は2000年代からあって、その頃からコストパフォーマンス、略して「コスパ」が叫ばれるようになった。

コスパはもはや一般語となったので説明は省く。

リーマンショックが起きた2000年代からこのコスパという単語が新たに出てきたのは、みんなが貧しくなったことと無関係ではないだろう。

貧しくなったがゆえに、コストに見合う価値があるかどうか?が重視されるようになったのだ。

このコスパという概念は、当初は賛否両論あった。

コスパ重視の考え方に対して、「良いものに高い値段がつくのは当たり前」「デフレを助長するな」という反対意見さえあった。

しかし、ご存じの通り、コスパはすでに一般化した価値観となっている。

さて、サブスクサービスが台頭し始めた2010年代後半から2020年代にかけて、「タイパ」という概念が生まれるようになった。

タイムパフォーマンスの略である。

これも説明は省くが、かけた時間に対する満足度を表すことである。

どうしてこのタイパという概念が生まれるようになったのか?

世の中に安いコンテンツが溢れかえっているからである。

スポーツ、芸能、アイドル、ライブ配信、音楽、ドラマ、ゲーム、アニメ…

サブスクサービスによって、これら「面白いコンテンツ」に、超低コストでアクセスできるようになった。

時間が有限資源である以上、面白いコンテンツを厳選したり、倍速再生で楽しんだり、切り抜き動画やまとめサイトで済ませようとする。

タイパという概念は現在、絶賛「賛否両論バトル」の最中である。

アニメ好きからすると「倍速再生?ちゃんと見ろよ。作品に失礼だ」というわけである。

しかし倍速再生をしている側からすれば、貴重な「時間という資源」をいかに配分するかが死活問題なので、倍速再生せざるをえない。

コスパという概念が出た初期のころ、賛否両論の嵐になったように、タイパもまた、同じ道をたどっている。

そしてやがて、タイパという概念も、社会の一般的な価値観となっていくだろう。

コスパ、タイパと来て、次に来るのは努力パフォーマンス、略して「ドリョパ」だろう。

これは筆者が作った単語で、「かけた努力に対する結果が良いこと」を表す。

10の努力をして20の結果を得ることより、5の努力をして15の結果を得るほうがいい、という考え方である。

なぜドリョパが流行ると思うのか。説明する。

近年、日本では「成功した人に対する風当たり」がとても強い。

一攫千金を成し遂げた事業家、登録者が国家人口並みとなったYoutuber、超有名なアイドル。

こうした、人並みならぬ努力をして成功した人たちが、しょうもない理由で炎上し、血祭りにあげられている。

こういう炎上騒ぎを見て育った子供たちは、いったいどんな大人になるだろうか?

簡単だ。なるべく努力をせず、ほどほどの成功でいいやと考えるようになる。

だって、頑張って頑張って頑張って努力して成功をつかんでも、しょうもないことで炎上して努力が水の泡になるのだ。

それなら、「目立たない成功」を手に入れるため、必要最小限の努力で済ませた方が良い。

だから、努力パフォーマンスが高いことをするようになる。これが、ドリョパである。

(筆者の周りもそういう人が多い。大学で一番優秀だった友人たちは、市町村の公務員になっている。彼らは本気を出せばそこそこのベンチャー企業の役員になれただろうし、国家公務員もいけたはずだ。一発当てることもありえたはずだが、そういうリスクはとらない。皆さんの周りにも、そういう人、いないだろうか。きっといるはずだ。)

このドリョパという概念も、浸透し始めるとまた賛否両論が巻き起こるだろう。

努力するのは当たり前、努力しないと成長しない、などなど…

そして賛否両論が静まると、社会に価値観として受け入れられるのだろう。

なんとなく、そんな風に予想している。

考えてみれば、コスパもタイパも、ドリョパに含まれる。コストを払うのはお金という努力の結晶だし、映画やアニメをたくさん見るのも結構疲れるので努力と言えば努力だ。

既にわれわれは、ドリョパという概念が生まれつつある世界に生きているのかもしれない。

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