広島県農業ジーンバンク2023.03末で廃止

広島のジーンバンクは在来種が失われる危機感から1989年に県主導で設置した。それ自体が誇るべき特徴で、農業改良普及員の経験者が県内をくまなく回り種を集めた。その数1万8千点余り。

広島市の観音ねぎや笹木三月子(ささきさんがつこ)大根などの普及、福山市の青大きゅうりなどの復活はジーンバンク抜きには語れない。

廃止に伴い伝統野菜を含む約6千点は農研機構に譲渡し、県が有用と判断した135点を県農業技術センター(東広島市)で保存。それ以外は廃棄する。

広島県ジーンバンク廃止 農の将来見据え再考を
中国新聞 社説2023.2.26

中国新聞の記事では広島地域の農家が育てていた作物が凄い数あってそれらを集めた様に誤解するが(実際には700品種ほど)、実際の所は収集家が収集していた多数の種も集めたので数が増えたそうです。(下に引用している文書をご覧ください)

当初は、県内にある在来品種を集めようとしました。農業改良普及所に聞けば集まるだろうと思ったら、全然集まらんのです(笑い)。それで考え直しました。広島県には、かつて市町村に出向している駐在員という制度がありました。その人たちは、農業関係を中心に、慶弔や親戚関係など、地域のことにも非常にくわしい。そういう人たちが県のOBになっている。この人たちにお願いして、ようやく700品種ほど集めました。

大学がもっている遺伝資源を分割してもらいました。九大、京大、茨城大などです。これらは、個別の先生が興味をもっている作物を世界から集めたものです。しかし、集めた先生が辞めてしまうと、あとの引き継ぎが難しいことがある。種子の貯蔵庫も、大学管
というわけではなく、学部がもっていたり、あるいは研究室単位だったりします。広島の農業ジーンバンクは、現在1万8000品種もっていますが、その8割から9割がたは大学から集まったものです。

広島県農業ジーンバンクの始まり
広島県農業試験場を定年退職し県農業ジーンバンクの嘱託に
という方の公開されている文章から

ここに収集されている遺伝資源の多くは奇跡的に集まったといって良いもので、一旦失われれば再収集される事はないでしょう。未来の日本の気候が過去とは全く違う状態になった時にも外国から集まった遺伝情報から将来の気候で育つ作物に繋がる可能性もありそうだし。
現在の状況を考えると世界中でここにしかないという種類も相当数含まれていてもおかしくない。
なんとか可能な限り多く残していただきたいですね。

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