note記事『なぜ自家採種って大切なの? 』を読んで

下記ページを読んだ。

記事を読んで感じた事などを書いてみる。引用部分は『』で括る。
『③F1種(交配種)
農家にとっては、効率よく収量が増え、病気に強く、味も良い作物ができ市場性がとても良い作物ができるが、逆に種を種は採れるが、バラツキがある作物ができてくるので、農家さんとしては市場性が悪い作物になってしまうので毎年種を買って安定的な作物を使うことをしています。

収益を安定化させたい農家さんにとってはとても使いやすい種なんですよね』
F1種も一種類ではありませんが。一般の種苗会社で交配・販売している雑種強勢を強く働かせたF1種について、まず書きます。F1種も魔法の様に良い部分だけを集める事はできません。交配対象を選ぶのに制約が非常に多いので味は妥協されてます。一般市場に並んでいる作物のほとんどが味は良くないので特別に売れ難くないだけです。消費者の味覚がそれに慣れてしまったから食べれる程度だと思います。自然農の作物美味しくありませんか。
とはいえ、美味しいから市場性が高いとはいえない部分もあります。F1の特徴で育ち良く揃って成長するというのは交配親の選択で決まります。雑種強勢が強く働いているからその性質が発現するわけです。その為、純系程度の高いもの同士、かつ遺伝的に遠い品種同士を交配させます。例えば、交配種の小松菜は片親は確かに小松菜ですが片親は小松菜でさえない作物を交配させています。遺伝的に遠い作物を交配する事で雑種強勢が強く働き肥料を与えればどんどん育つ交配種。「農家にとっては、効率よく収量が増え」というのはその通りです。
慣行栽培農家はなぜ大量の農薬を使うのでしょうかね。F1種が本当に「病気に強く」というなら農薬不要なはずじゃないかな。病気に弱くなり易いから肥料や農薬をしっかり使うのでしょう。純系程度が高いというのは近親相姦を繰り返して遺伝的に弱くしているからで。どんどん大きくさせるために病気に弱ければ農薬使えば良いから収量が大きくなる事を優先しているともいえなくはない。味の低下理由はそれだけではありませんが。昔のお野菜が美味しかったというのは今の野菜のように輸送できる強度を重視してはいなかったというのもあります。柔らかくて美味しいが、物理的には弱くて長距離輸送するのは無理(ポキポキ折れたり)という野菜なら今の品質基準では採用されないでしょう。昔、地域の八百屋さんで量り売りされていた野菜、買って帰る時に優しく扱うのが当たり前でした。でないとポキポキ折れたり結構傷んでしまってました。そうならない様に家畜用の硬い種類を片親として交配させたりして輸送に耐える強度を付けたりしています。味より商品性、市場出荷の為の利便性が強く反映されているのです。野口のタネの野口勲氏がみやま小かぶは美味しいけど優しく扱わないとポキポキ折れるので普通に出荷するのは難しいと書かれていますし。
F1というか交配しても美味しく食べれる作物も作れます。自家採種されている自然農の農家さんでも例えば複数種類の大根を近くに植えて交配したものも収穫利用されている方などもいらっしゃるし。極端な雑種強勢を強く働かすやりかたでなければ自然農法で使えるF1種もできるのです。岡田茂吉さん所縁の団体では自然農法用のF1作物のタネを販売されています。遺伝資源の多様性を確保するには良い種だという事で。

『そりゃ効率よく収量が増え、病気に強く、味も良い作物ができ、収益が安定するのであればそっちを選びますよね。』
市場出荷しようと思うと選択肢がないのでは。規格に合う作物を育てようとすると雑種強勢による均一で素早い成長を優先せざるを得ない。固定種・在来種では市場出荷は不可能に近いほど難しい。それ位生育は違う。しかし、病気に強い・味が良いという部分が同時に実現できているかと考えれば、そこは否定せざるを得ない。もっというと安全面にしても。今の一般流通している作物を食べて健康になれるかというと難しい。ビタミン・ミネラル減り過ぎてるし硝酸イオン濃度高まり過ぎてるし、農薬由来・堆肥由来の有害物質の心配も大きいし。

『F1種の問題点』
全体に意図的なのか解らないが奇異な印象を受けた。

『①農家は自分で種を取ることができない
(種は採れるが、市場性が悪い作物になるので実際は使えない)』
市場流通している種から育種を試みてる方が書いた文章からは製品に依るばらつきが非常に大きく育種には全く使えないF1種もあればそれなりに使えるF1種も多いとの事です。そもそも出荷は難しいし出荷先としても直販でしか売れないだろうけど。

『②種の多様性が失われる
(地域の在来種・固定種が失われていく)』
種採りする者がほとんどいなくなった現状を変える事でしか。F1種が増えている事とは無関係。

『③F1種は化学肥料を農薬がセット(土が劣化していく)
→F1種のほとんどが海外で作られていて、育つ地域が違うので化学肥料がないと作物は育たないい。
 つまり、化学肥料を使うので土が劣化していってしまう。』
全くの誤解。
土の劣化を避ける技術がないのか、意識がないのか。
雑種強勢が強く働くF1作物は生育が良い。それは肥料要求量が多いという事でもある。だから、効率良く一定以上の肥料を与える事が必要。ただ、それは土壌の劣化を防止できないという事ではない。また化成肥料を使うしかないという事でもない。そういう意味で記述は大きく飛躍していると感じる。
但し、現状田畑の状態が悪くなっているのは事実。それは腐植投入量の不足と過剰な施肥からくる。施肥量が圧倒的に多過ぎる事が非常に大きな問題。機械化に伴う耕し過ぎも大きな問題。
https://www.youtube.com/watch?v=avFe15j_Gv8
上記リンクは奇跡のりんごで有名な木村秋則氏の講演動画です。28-29分辺りで土壌分析の結果30年間無施肥の畑(木村氏の畑)が周辺の畑と比べて3倍以上の窒素肥料分があったという分析結果について話されてました。(グラフも映ってます)

『F1種が普及するのに伴い、この50~60年の間にタネの国内自給率99%だったものが、10%以下になってしまったそうです。。。』
今はF1・固定種関係なく種の国内生産は難しくなってます。F1だからというわけではありません。国内の種苗会社が委託していた国内の採種農家が高齢のためや死去されてどんどん減っています。

『もし種の会社が種を外に出すのを制限し始めたら?
F1種を買って作物を作っていた農家さんは種が手に入らなくなくなりますよね。』
日本の種苗会社が日本で種が作れなくなったために、外国の農家さんに委託して種を作ってもらっている。従来、日本で種を作ってくれていたのは山間地の林業者。林業者の副収入になっていたのだけど高齢化で種採りができなくなっているから種苗会社は仕方なく海外農家に委託して種を採ってもらっている。

『農家さんはF1種を買わないと作物を作れない状態で経営をしているリスクがそこにはあるということだし、
スーパーからしか野菜を買っていない、もしくは買うルートを持っていない、自家採種で栽培している農家さんと繋がっていない消費者は、野菜が手に入らないリスクも出てきますよね。』
自身で栽培しない限り「自家採種で栽培している農家さんと繋がって」いたってリスクはあります。例えば、本当にそうなった時、自家採種で栽培している農家さんは売ってくれるでしょうか。身近な方々(身内など)からどうしても売って欲しいとお願いされれば消費者より身内を優先する事も考えられるのではないかな。

『②固定種
在来種のいいものを選んで、良いところをかけ合わせて品種を作り出したもの
何代も、種を取り、育てていく、といった自然な育種をしていくうちに、自然とその野菜の個性が定着し、固定していったものをいいます。』
説明が解り難い。「在来種のいいものを選んで、良いところをかけ合わせて品種を作り出したもの」これなら交配種では。
「何代も、種を取り、育てていく、といった自然な育種をしていくうちに、自然とその野菜の個性が定着し、固定していったものをいいます。」育種に自然なものがあるとは思えないし、自然と個性が定着し固定していったというのも考え難い。人為的な選別を採り入れているはず。
https://note.com/akairotomato/n/n8c46826cd615
上記ページにも「今回は2つの特徴=2遺伝子に着目しましたが、実際には10や20の特徴について品種改良を行います」と書かれているように。農家さんの場合にはもう少し少ない特徴について固定されているのみかも知れませんが。

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