種採りの話

有名な無施肥栽培農家さんのお一人に関野幸生氏がいらっしゃる。無施肥栽培を行う方の中でも独特な方法で行われている。草も載せないし補いの様なものも全く使わない。とにかく土を清純にといった感じでされている。
そういう方法が最も早く良質な作物を得る事ができそうな気もする。たけうち あつのり(竹内 孝功)氏が著書の中で書いていたのはオクラの種を購入して最初に撒いた時、膝の高さ程度迄しか育たなかった。翌年、種を採って撒いたら2mに育ったという話。関野氏もそんな経験は多いそうだし。
野口種苗研究所の野口勲さんの奥さんが色々美味しい茄子をいただいているがそんな中でも関野さんに頂いた茄子が一番美味しいとおっしゃったとかで野口さんは関野さんの畑を訪問されて訪問記をお書きになっている。野口種苗研究所さんのウェブサイトから関野さんが代表の自然栽培生産者団体Nicoへのリンクが目立つ所につけられているし。
関野さんが話されている動画がYouTubeに載っているが、その中に種採り株の選び方について話されている動画もある。

上記動画の中で話されてた中から少し書く。
先ずは、タネ屋さんで買ってきたマクワウリを育てたら全く味がしなかったという話。母本選抜について話されているが、固定種であっても海外採種されている種類って外国人(採種を委託した委託先農家さん)が選抜しているのだよな。マクワウリを知らない者がマクワウリの特徴を選べるのかな。そんな事を考えながら、海外採種作物については同じような状況が普通にありそうな印象を受けた。
樹上完熟した作物を収穫し更に追熟させたら普通には痛んでいる様な印象なんだけど、それを味見して母本選抜に生かすというのはなる程と感じた。
上記2項目から、固定種の種を買ってきて育てても、最初数年は本来の味とは違う状態が一般的な印象を受けた。何回か種採りして本来の作物に戻していかないと本来の作物は食べれない時代なのかなとも。
動画の12分30秒位のところから作物にアブラムシがつく事への解釈とその事への対応が話されている。アブラムシが来るのは畑の土に問題があるのだから根本解決に向けた対処をしようという話だった。木村秋則氏監修の季刊自然栽培にも類似の話がでてたな。関野氏はアブラムシが来る部分で使った過剰養分を吸い上げるソルゴーは畑の外に持ち出して処分されてたそうです。

売っている有機質肥料等の実態について等話されている。日本の場合、畑をごみ箱にしている。有機野菜などは有害物質が含まれてても不思議ではない状況だという事を改めて確認できる話もされている。
故・岡田茂吉氏系の自然農法団体がまとめた動画が下記。

野菜の腐敗実験で施肥して育てた野菜は腐る。その話は様々な無施肥栽培関係者によって語られている。それに関して、関野氏が話されていた動画では野菜の硝酸は抗酸化物質で毒性が無効化されるから有害とはなり難いと話されていた。それは確かにその通りなのだろうけど。有害にならなければそれで良いのかとも感じた。良くお肉の3倍野菜を食べれば良いという言い方がされる。それって野菜に抗酸化能力の余裕があるからという話でもあると思うのだ。硝酸含有の非常に少ない無施肥野菜では含まれている多めの抗酸化物質が全て他の食品でできた酸毒の中和に使える。過剰施肥で硝酸含有の増えている野菜はそれでなくとも減っている抗酸化物質の多くを自身に含まれる酸毒の処理に使わざるを得ないと考えれば。肥料の問題は多岐に渡り、食べ物全体に関わっている。例えばグラスフェッドビーフが良いというが。穀物飼育の畜肉肥料で硝酸過剰な飼料を使っている事で問題がより深刻化しているのだろうし、牧草飼育だとしても肥料で素早く育てた牧草を食べさせていれば不自然に硝酸分を増やした草を食べている事になるのだし。
この直上で紹介している動画を見ると無施肥栽培では施肥栽培に比べて根が大きく育っているという説明と実際に育っている様子などを見せている。
もし、現代日本人が良質な野菜を食べられ手入れが、現代人の体調悪化は今よりずっと少なかったはず。現実には作物の品質が悪すぎ多くの人々が体調を悪化させている。畑が使えて自身作物を育てている人々でも良質ではない作物を育てている方は多い。自然農やっているつもりでも、自然農法やってるつもりでも、自然栽培やっているつもりでもできてないという場合は少なくない。例えばスギナは酸性土壌の或いは低肥沃度の指標植物の様にいわれるが誤解されている方もいらっしゃる。というのはスギナは適応酸度の範囲がそれなりに広い。要は酸性土壌だろうがそうでなかろうが元気に育つ。肥沃度についても同様。スギナしか生えてない畑が酸性土壌である、つまり他の植物が生きれない畑である可能性がある。或いは低肥沃度である、つまりスギナ以外肥料少な過ぎて育たない畑である可能背があるという話なのでしょう。地表に小さな双子葉植物がしっかり生えていてスギナが少し生えてるような状況なら、畑の状態は地表の双子葉植物が示してくれていると考えた方が正しそう。つまりそれなりに肥料分が少なくない場所という判断ができる。
補いは間違いなく肥料なので使い方を間違うと強く悪くする。そして肝心な部分の適応を妨げる。
一般的な無施肥栽培では続けるほどに自然が回復し土壌が豊かになる。また、そうなる事が大きな目標にもなっている。関野氏の方法はそれとはかなり異質に思える。野口勲氏と関野幸生氏の共著で出版されてる書籍

に書かれている関野氏の畑を土壌分析した結果は一般的な畑と比べて窒素肥料分が1/10程度だとか。木村秋則氏の畑は周囲の畑と比べて窒素肥料分が3倍程度だという。上記で埋め込んだ批判は正しくないと思うが。少し引用してみると、『一般的なF1種の作り方であれば単に特定の固定種と固定種を交配させているだけであり、これが危険だと言い出すと、個人の畑で固定種同士が交配してできた種や、そもそも固定種がほとんど無い果樹などは全て危険ということになって』種苗会社が雑種強勢を強く働かす為に行っている方法は単に固定種同士交配しているのではなく純系程度が高くかつ遺伝的に離れた種類を交配しているために多くの問題が発生している。家庭菜園に於いてもF1種が中心になる事でF1種向けの資材・育て方の方法論が中心になり固定種を育てる事が難しくなっている。例えば非常に生育の良いF1種向けの施肥方法はのんびり育つ固定種向けには過剰施肥となり易いし窒素過剰のバランスが崩れた状態になり易い。
現在一般的に云われる施肥方法はF1種向け施肥方法で固定種で多くの助言に従って施肥すれば過剰施肥による病害虫の増加や徒長などの害が強くでかねない。資材についても同様で培養土などは肥料濃度が濃すぎるし危険度も問題も内包している。それは香りの無さや色の悪さ、栄養価の低下、腐り易い等品質の低下などに直結する。採種地が海外の種が採り易い乾燥地域に変わっている事で日本の環境では育ち難い種となっている事、病害虫の発生し易い慣行栽培で育てている顧客へ病害虫が発生した時の責任回避の為に過度な消毒が行われている事なども問題。安全度を高めるためには自家採種した方が望ましい状況にはなっている。アブラナ科の様に母本を50本用意したいという様な種類は採種も簡単ではないのだけど。関野氏は菜園仲間と共同で種採り畑をと提案されていた。上で埋め込んだ関野氏の特別講演動画で語られている通り、畑がゴミ処分場にされていて有機肥料と称した有害物質入り肥料が普通に使われている状況では市販肥料を使わない事で危険を避ける事は行った方が良さそうに思える。店で売ってる有機JAS認証をとった野菜の多くもそんな肥料等使い育てられているものが少なくない。それを安全と思える人ばかりではなさそうに感じる。


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