食べて健康になるお野菜について

note読んでいるとオーガニック(有機栽培)野菜に強い安全性があると誤解している記述が目立つ。日本の有機栽培(有機JAS)はその点特に問題が多いので盲信しない方が良いのだけど。少し前に紹介したページだけど問題点をまとめたページがあるのでもう一度紹介しておく。

引用部分を『』で括る。
『日本の有機農業生産基準の法的格付けが主要国に比べて驚くほど低い』
『新JAS法でも有機農産物,有機加工食品,有機飼料および有機畜産物の生産基準をそれぞれ農林規格として,告示に位置付けた。』
『告示は,「国民へのお知らせ」 であって,「法律」(国会が制定する法規範)と「命令」(国の行政機関が制定する法規範)の総称である法令ではない。他の先進国が有機農業について独立した法律を設けて,有機農業の定義や生産基準を規定しているのに対して,日本は,有機生産基準を告示に位置付けているにすぎない。』

『有機JASの農林規格には環境保全のために遵守すべき具体的規制がない』
『有機農業は,「農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業」と規定している以上,環境負荷を減らすために遵守すべき条項を,有機JASの農林規格に規定すべきであるが,全くない。これに対して,欧米の有機農業規則は下記を規定している。』

『(1) EU:家畜飼養密度と糞尿施用量の上限』
『舎飼いや放牧であれ,家畜の飼養密度を高くしすぎれば,排泄物中の養分量が作物の養分吸収量を大幅に超えて,環境汚染が生ずる。このため,EUは,農業による水質汚染を防止する「硝酸塩指令」に合わせて,有機農業においても,飼養密度および糞尿資材施用量を,家畜糞尿窒素で年間170 kg/ha未満に規定している』
環境汚染の問題は地下水汚染経由で水道水を通して健康問題にもつながる。実際一部の農業地域では地下水由来の成分により生活習慣病罹患率が高まったりしている地域がある。
また、肥料の与え過ぎは作物の硝酸イオン濃度が高まる事やビタミン・ミネラルの減少にも繋がる。

上記ページには野菜のビタミン・ミネラルが減っている例が幾つか紹介されている。私も書きページでそんな話を少し書いている。

『現代人の求める自然とは大きく乖離してしまったミカンは菓子として食べる食べ物に変わってしまっているのではないかな。食品成分表にでているビタミンCの量は1950年頃最初に調べられた時の1/20になっているとか。昔は酸味のあるミカンが食べられていたけど今は酸味を感じるミカンなくなっている事から味からもビタミンCの消滅は納得できると思います。宣伝材料として糖度(甘さ)が表示されていたりしますが現代人の口に合い選ばれる(買ってもらえる)作物を追求するあまり食べて健康にという面は放棄してしまった印象を受けます。しかも農薬・肥料由来などの問題成分も増えているし。』

日本の有機JASは糞尿施用量の上限を設けてないのでそれが無制限に使えます。慣行栽培から有機栽培に切り替えた農家さんの中には慣行栽培の生育が普通だという感覚の方が多く思っているより生育が悪いと増やしがちです。その為過剰施肥になりより品質が悪化している場合があります。硝酸イオン濃度が高まったり、よりビタミン・ミネラルが減少したり、腐り易くなったりしている場合があるという事です。
美味しく栄養があり香りが良いのは健康に育った野菜です。適肥でのんびり育った野菜が良いのです。慣行栽培の野菜でも健康に育っていればそうでない有機JAS野菜よりずっと良いのです。
日本の畑は過剰施肥されたメタボ畑がほとんどなどと云われますが、畑をそんな状態に変えない適肥で栽培する農家さんの野菜が健康にも良いのです。

現代では無施肥で栽培されている方も少しはいらっしゃります。無施肥栽培を続けて自然に還った畑でできた野菜はビタミン・ミネラルが豊富で香りが良いです。無施肥で栽培するのと肥料を与えて栽培するのでは育ち方が全く違います。茎葉が成長するには窒素が必要です。窒素が豊富な施肥している畑では植え付けた直後から茎葉がどんどん大きくなります。それに対して無施肥の畑では最初茎葉は伸びず根が伸びます。土壌の窒素肥料分密度が8倍だとすると無施肥の作物は施肥している作物の2倍(縦・横・高さそれぞれ2倍になれば8倍の根の容積になります)大きくなれば施肥している作物と同等の窒素が得られる様になり遅れて生育が同等となります。
ここで、そういう形で育った作物の栄養状態を考えて見ましょう。自然に育った作物は根が10倍の容積に張っているので10倍の容量の土から土壌にある様々な養分が吸収できます。その為体の代謝が正常に行え健康に育ちます。施肥している作物は自然な生育をしている作物の1/10しか根の容量がないので肥料として与えられている数種類の成分はしっかり吸収できますが他の成分は非常に少なくなります。現代人が精製食品を食べ過ぎて健康を害すのと同じ構造になるわけです。蛋白質・炭水化物・脂質位はそこそこ作れるでしょうがビタミン・ミネラルは多いに減少して当然でしょう。

有機JASを盲信して安心して選んだら安全ではなく体を壊したなんてオチになるかも知れません。
腐り難い作物、香りの良い作物、形の綺麗な作物、自然な色の作物(不自然な濃い緑色の作物は避けるなど)など実際の作物をみて選びましょう。不自然な苦みえぐみのある作物は良くないです。有機だから特別栽培だからと選び安心するのは悪くないですが安全なものを選ぶのは別の話だと思います。

『②硝酸塩の残留の少ないものを選ぶ』
有機JASにも多い作物はたくさんあります。
『・葉物野菜は葉脈の出来具合が規則正しいもの(乱れの少ないもの)』
本来の野菜の香りがしっかりあるもの。葉脈が細かいもの(毛細血管の発達しているという印象)
『・葉の緑色が薄いもの程、硝酸塩の濃度が低い』
色の淡い品種は解り難いけど薄くても濃度の高い作物は少なくない。生で少しかじってみて不自然な苦みえぐみがあるものは加熱調理するなどするのが良いかな。ドレッシングなどの濃い味付けでごまかすと質を調べる事にならないし生で食べると身体にも良くないのでそれを避ける為に調べるという意味で何も付けずにかごく淡い塩味で。
『③近くでとれたものや国産品を選ぶ
人間の身体はその生活する風土と繋がっていることから細胞との親和性があり、また栄養価の観点からも近隣の産地から選びましょう。』
自然な作物が入手できるならその通りなのですが、現状はそれが非常に難しくなっているから変えた方が良さそうな感じを受けました。

『化学肥料は河川湖沼へ流出し飲み水への汚染の原因となっており、地下水の硝酸塩窒素濃度が10ppmを超える地点の検査をするようになりました。
水への汚染は農業汚染や自然生態系破壊の原因となっています。』
有機質肥料も同様の問題を抱えています。有機栽培の方がより悪い事も少なくありません。化成肥料は肥料成分が明確で影響が予想しやすいですが、有機質肥料は家畜の餌に混ぜている薬剤などの問題もあり有害物質の内容がより複雑で解り難いです。

『化学合成物を使用せず、永続的な地力増進を基盤とした有機農業を完成させることが課題です。
(環境汚染により優秀な農地を枯渇させてきた許されない失敗もしています。)』
硝酸塩を増やさない為の規制が行われているEUと違い日本は大量に使えるし使っている農家さんも少なくないです。日本の有機栽培は必ずしも環境に優しくなどないし健康に良くもないです。
硝酸イオン濃度に関しても日本の市場に出回っている野菜の多くがEUの規制値より高いとか余り健康に過ごし易い生活環境とはいえません。

健康に過ごすためには有機栽培野菜を選ぶとかそういう分類で選ぶのではなく野菜自体を見て選べる様になる事が安全な野菜を食べる為には必要な事だと思います。

『1977年アメリカでは増大する医療費と国家財政危機により上院機関設置、
世界規模での調査研究を7年間数千万ドルかけて5,000ページにおよぶ報告がなされました。』
誤解を与える記述に見えました。俗にマクガバン報告といわれる報告書の事だと思いますが、1975年から調査が行われ1977年に報告書が公刊されています。

『安全と健康を願う有機農業が次代の主役として本来の役割を発揮する時代となりました!』
日本の有機は安全や健康、環境破壊防止などと無縁です。お店で有機JAS野菜見てもはっきり体に悪そうな野菜も少なくない。生産者に生育が悪ければ肥料を増やすという方が多い(有機栽培でも)ようだし、作物見れば過剰施肥状態でも肥料を増やす方が多い。
東京に福島屋というスーパーがあるそうで、そのお店では硝酸イオン濃度を測定して作物に記載しているそうです。

『二種類の固定種ナスを二つ割りにし、切り口の色の変化を見てみました。
 驚いたことに、無肥料ナスは、丸一日以上おいてしなびてきても、切り口が真っ白いままで、黒く変色しませんでした。』
ビタミン・ポリフェノール・ファイトケミカル等の抗酸化物質が多く酸化して黒くなる前に還元されるのではないかな。

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