2024/01/30 RealBlendで知ったアカペラの魅力(2005)

今回も、私が2005年当時に初めて体験したアカペラライブで感じた魅力について、思い出しながら語っていきます。
なお、ここに登場する「RealBlend」は、この頃に実在し神戸を中心に活動していたプロの混声アカペラグループです。
現在は解散しておりますが、メンバーの皆さんはそれぞれの分野で活動されております。
当時の音源や映像があるのかわかりませんが、興味のある方はぜひインターネットで検索してみていただければ、と思います。

1:全員、リードボーカルができる歌唱力

ステージの時間が1時間以上あったのですが、これがそもそも珍しいことに、アカペラを経験してから気づきました。
アカペラだけでなく、人間にとって音楽って基本的に、音だけに集中して聴ける時間は15分~20分と言われてます。
1時間近いステージをアカペラだけで飽きさせることなくやり続けて喝采を浴びるには、観客を引きつける仕掛けをいくつも設ける必要があります。
RealBlendの強みは、異なるボーカル特性を持ったボーカルのメンバーが、それぞれリードをこなせる高い歌唱力を持っていた、ということにあります。
トップの女性(kikiさん)は、キレッキレのハイトーンを武器に、アップテンポな曲をガンガンリードしていきます。一方、アルトの女性(tamaさん)は、独特のうねりを持つ艶やかな低音で、しっとりとしたバラードを中心に聴かせてきます。
ハイテナーの男性(nikoさん)も伸びやかな歌声で歌唱力が高いのに加え、テナー(ko-sukeさん)がピンポイントなハモりをきっちり合わせて、某男性ギターデュオのような形も見せてくれます。
リードを代わる代わるチェンジしながら進むステージは、異なる3つのグループを見ているような感覚になり、長時間でも全く飽きがこなかったのです。
ポジションチェンジやリードボーカルのローテーションはアマチュアのアカペラライブでもよく見られますが、個々の歌唱力が残酷なまでに露呈されてしまうため、全員の歌唱力が一定以上に高くないとこのレベルには到達できず、ただただ残念な感じになります。(経験済)

2:コーラスの分厚さ

会場が、演者と観客の距離が近く臨場感の高い200人規模のライブハウス(吉祥寺のPlanet K)だったことを差し引いても、ベースボーカルを含めた4声のコーラスには声量以上の迫力を感じました。
プロならではの声量、ピッチの安定感に唸らされたのはもちろん、何より実際にアカペラをやってみて気づいたのは、抑揚(ダイナミクス)が絶妙だったことによる迫力の相乗効果、という点です。
アマチュアのアカペラライブでも、ダイナミクスにまでこだわってサウンドを作っているグループは多くなく、これが意識的にできているグループとそうでないグループとのサウンドには明らかに違いが生まれます。

3:ボイスパーカッションの存在感

初めてアカペラを見る人にとっては、まず気になって仕方ないであろうボイスパーカッション。
私も同じで、そのパフォーマンス自体が珍しく、思わず見入ってしまいました。
アカペラグループは、ボイスパーカッションがいるかいないかで、サウンドが大きく変わります。
良く言えば、パーカッションでリズムが立つことでグルーブがうまれる形になり、悪く言えば、コーラスがミュートされアラが誤魔化されてしまい、雑に聞こえる形にもなります。
RealBlendのボイスパーカッション(zigenさん)は技量もありつつ、一方で不要に前に出すぎないバランス感覚みたいなところもあって、今思い出しても素晴らしいパフォーマンスをされていたと思います。

4:ベースボーカルの重厚感

RealBlendのライブも終盤に差し掛かり、場慣れ・音慣れしてきた私は、あることに気づきます。
「この人、いつ息継ぎしてるんだ?」
「この人」とは、ベースボーカル(Take-Oさん)のことです。洞窟のようなライブハウスに薄暗く灯る電球のように、地味ながらも途切れることなく、男性ならではの低音を出し続けています。
この時感じたベースボーカルの存在意義は、「一番低い音を、いつも絶やさず出し続ける」つまりサウンドに重厚感を与えることだと思っていました。
元々声が低い人が生きるためのポジション。
野球でいわば、太った子がキャッチャー、みたいな(失礼)認識でした。
しかし、数ヶ月後、自分のその先入観は見事に覆されます。
この時はまだ、自分がアカペラをプレイすることも、ましてや自分がベースボーカルを専門にしていくことも、全く想像さえしていませんでした。

アカペラやってみるか、とはならなかった

そんなこんなで、アンコールも含め1時間超のアカペラライブショーが終わりました。
帰りの小田急線で男友達と、
「zigenさん(ボイパ)がすごかった」
「圧倒的だった」
といった会話をしつつ、心では、、
「楽曲ができなくても、歌と声だけでこれだけの音楽を作れる」ということに大きな可能性を感じていました。
その時はまだ、RealBlendのスケールが大きすぎて、「自分もアカペラやってみよう」という気持ちまでは起きませんでした。
しかし3ヶ月後、ある出来事をきっかけに突如アカペラをやろうと決意し、行動を起こすようになります。
次回はこのあたりの思い出を綴ってみたいと思います。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました😊

余談

小田急線を降りた僕と男友達は、その後地元で居酒屋→カラオケに行き、「Zigenごっこ」で朝まで盛り上がりました。
これもアカペラあるある、ですかね笑

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