『ぐっどらっくみきょく』制作後記

Med-1グランプリ2022に向けて制作したニコニコメドレー「ぐっどらっくみきょく」について、書きます。
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▶ 公式サイト : https://med1gp.netlify.app/2022/
▶ 公式Twitter : https://twitter.com/Med1GP
▶ 本放送 Day1 : https://live.nicovideo.jp/watch/lv336723687
▶ 本放送 Day2 : https://live.nicovideo.jp/watch/lv336723719
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■Med-1GP参加にあたり
本番の通話でも少しお話ししましたが、企画が発表された頃ちょうどいい長さになりそうなメドレーの素案が頭の中にあり、ぼちぼち打ち込みを始めるつもりでいました。しかし、当時はモチベーションが中の下という感じだったので、重い腰をあげるのにこの企画は渡りに船でした。
お祭りに参加するとなれば、生まれながらのお祭り人間、なるべく盛り上げの一端を担いたいという気持ちが膨らみます。ニコニコメドレーの可能性を示すために、場を揺さぶるために、自分にしかできないことをしよう!と考えました。
正直な話、動画の技術もなく、打ち込みでは到底太刀打ちできないような素敵な作品が集まるであろうことも目に見えていました。ならばもう、振り切るしかない。「審査員が好きなもの」と「自分が好きなもの」のどちらをもってくるか、という話がちらっと出ていましたが私は完全に後者のやつですね。やりたいこと、やったもん勝ち、青春なら〜♪
兎にも角にも、ひとつしかない“音源”とひたすら向き合うことに決めたのです。

■コンセプト
タイトルの通り、「幸運を祈る」「背中を押す」がテーマでした。元気をもらったと言っていただけることが多くとても嬉しいです。
GWは4月からの怒涛の日々に一呼吸をつくタイミング。慣れない場所でがむしゃらにやってきて、ここで心が折れてしまう人も少なくないと聞きます。だから、大好きな応援歌たちを届けたかった。それも、「頑張れ」ではなくて「人生も捨てたもんじゃないぞ、まあ生きてこう」、というスタンスで。

もうひとつ、裏のコンセプトとしては「恩返し」。私は、メドレー歌ってみたで独自の重ねや演出を考えるときもそうなんですけど、明確に「これは○○さんへ捧げる」と決めているパートや作品が結構あったりします。相手は影響を受けた人だったり、楽しい時間を共有してくれた人だったり、色々なんですが、面と向かって言うのは恥ずかしいので、届いていたらいいなと希望を込めて。
ひとつわかりやすい例を出すと、プリキュア(6曲目)は2人の娘に捧げたものです。彼女たちと音楽を通してコミュニケーションをとる中で、歌というものの原点を知りました。

この作品が完成したのは、あなた、あなた、そしてあなたのおかげなんですよ。

■制作の進め方
アカペラの正しい作り方がわからないので、とりあえず簡単なベースとコードをMIDIで打ち込んでから歌でカバーしていく、みたいな形をとっていました。いろんな音を足したり引いたり、「あー」と「うー」と「んー」を全部録って聴き比べたり、試行錯誤の連続でした。
特にボイスパーカッションはにっちもさっちもいかず、音の幅も出せない上にメトロノームをつけても改善されないリズム感に一時は諦めかけていました。結局は力技(手動で一個ずつタイミングを揃える)になりましたが、「自分の口から出る音」のみを素材として仕上げました。


■サムネイル、動画について
安直ですが幸運=クローバーかな、ということで、歌ってみたの仲間たちと作業通話をしているときに題字、副題とともに色鉛筆でガリガリとかきました。
市松模様の背景は鬼滅のパクリではなく、「かゆいところにてがとどくみきょく」でジョウソンタさん(@jousonta)が作ってくださった動画の雰囲気を繋ぎたいなと思い、採用しました。
曲名表示はメドレー作者としてもご活躍の8:51:22 pmさん(@pm85122)のフォントをお借りしています。たぶん全シリーズDLしてるくらい、やごいさんのフォントが好きです。

■使用楽曲について
こちらのスプレッドシートに曲目と歌詞をまとめました。

曲ごとに(なるべく)簡単にコメントを書いておきます。

  1. プラチナ / 坂本真綾 「カードキャプターさくら」OP
    この曲の入りって「予感」って言葉がぴったりですよね。
    「絶対大丈夫だよ」の呪文は最強です。
    主催の26Kさん(@26K_)は坂本真綾さんファンということで、始まりの人の始まりの歌。

  2. 冒険でしょでしょ? / 平野綾 「涼宮ハルヒの憂鬱」OP
    「答えはいつも私の胸に」。
    糸の交差を表す「綾」で繋げて冒険の始まりです。
    組曲の2曲目はハレ晴レでしたねぇ。

  3. キラメキラリ / 高槻やよい(仁後真耶子) THE IDOLM@STER 収録楽曲
    さあ、はなまるスーパースタート!
    目指せ、声だけで表情がわかる表現。
    真(平田宏美さん)が入ったライブでのパフォーマンスが大好きで、歌もそれを意識しました。

  4. We are the One 〜僕らはひとつ〜 「爆竜戦隊アバレンジャー」ED
    幼き日のニチアサは勇気の源。まず自分自身の世代から1曲。
    好きな主題歌は山ほどあるのですが、好き勝手やると決めたのでアバレンジャーを採用しました。Bメロが高らかで好き。
    最新シリーズが「暴太郎」なことに縁を感じるなど。

  5. 心絵 / ロードオブメジャー 「メジャー」OP
    (響けこの声よ)を心で貯めてからの歌い出し。
    説明不要の名曲です。ハモリ楽しかったなぁ。キットカットさん(@kitkat_0141)に刺しにいけて光栄です。

  6. ヒーリングっど・ プリキュアTouch!! / 北川理恵
    ニチアサ繋ぎで現代へ。娘たちが最初に覚えたプリキュアの主題歌でした。
    「大好きで重なる勇気は最強なんだから」、の歌詞とともに信じる「重ね」を実践したかった。
    不協和音を避けるために若干メロディーの改変をしています。

  7. DREAM SOLISTER / TRUE 「響け!ユーフォニアム」OP
    ひらけええええええええええええええええ
    引き続き「勇気」を推しつつ運動部と文化部をガチンコさせました。もうお分かりの方もいらっしゃるかと思いますが、ユーフォ大好きでした。
    上手くなりたいという想い。苦しいと楽しいは表裏一体で青春たりうる。メドレーを作っているその瞬間もな(ドヤ顔)

  8. ドレミファロンド / 40mP 初音ミクオリジナル曲
    かわいいリズムながら、しっかりした足取りで前へ前へと進むうた。PVもかわいいので、今回改めて娘たちとみたりしました。
    ABサビが終わり、雰囲気を変えたかったのでテンポやらなんやかんやしています。

  9. とんとんまーえ! / さつき が てんこもり 初音ミク・鏡音レンオリジナル曲
    ドレミファロンドを歌っていたら急に合いの手のような「とんとんまーえ」が降ってきたんです。ほんとうです。
    この楽曲だけ、応援歌か?と言われると歌詞で明確にそう言える部分はなく、迷いもあったのですが、肩の力を抜いてほっこりできる曲調はコンセプトにも合っていたのでそのまま採用となりました。「前に習え」と言いつつ「一番前は休めのポーズ」なの、いいですよね。
    せっかくなので声でしかできないリズムの取り方もしてみました。

  10. WAになっておどろう / AGHARTA NHK「みんなのうた」放送楽曲
    楽屋で「なっつ!!」「いやなついのよ」と懐か死む声がたくさん聞こえてきてニヤニヤしました。
    ニコニコメドレー自体に「輪になる」イメージもあり。
    余談ですが、「学校へ行こう!」が青春とともにあったので、昨年のV6の解散は結構切なかったですね。ところで「うじゃけた顔」ってどんな顔?(積年の疑問)

  11. なのです☆ / 羽入(堀江由衣) 「ひぐらしのなく頃に」イメージソング
    「信じてみよう」から「信じることはできるはず」。
    繋ぐのは絶望の中の光、ということでひぐらしに登場していただきました。
    声を使っているから、がっつり想いを込めて「2番の歌詞を採用」みたいなこともできるわけなんですね。

  12. you / dai 「ひぐらしのなく頃に」BGM
    隙あらば入れようとしてしまうんです。すみません、これニコニコメドレーなんですよという主張も兼ねて。
    昨年は業・卒のアニメがあったので、希望のメロディとも解釈できるな…とほくそ笑みながら採用。N’ MIXで歌ってるやつ(6:50-)ですね。
    重ねのために、なのです☆のベースを前半後半で変えていたりします。

  13. I WISH / モーニング娘。 TBS「シドニー五輪」テーマソング他
    からの、「人生って素晴らしい」。心の持ちようが大事なのです。加護ちゃんのソロを何度も聴いて近づけるように工夫しました。「ンたいせつにしたーい」。
    個人的なラブレターでもあります。

  14. 愛燦燦 / 美空ひばり
    「愛する人のために」の「愛」。
    人生のよろこび。

  15. 銀河鉄道999 / ささきいさお 「銀河鉄道999」OP
    「人は哀しいものですね」の「人」。
    人生のおもみ。
    二拍子っぽくしました。

  16. フリージア / Uru 「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」ED
    「希望の星」は「希望の花」へ、手に触れられる世界の話へ。
    随分昔にUruさんと歌声が似ていると言われ、色々聴いていた時期がありました。フリージアがメドレーでたくさん採用されるようになっておお!と思ったものです。音楽って巡り合わせがありますよね。だからよ…
    止まるんじゃねぇぞ…

  17. Sister’s noise / fripSide 「とある科学の超電磁砲S」OP
    「自分らしく生きること」!!!!!!!!!!この辺から自己主張が爆発していきます。テンポもぐわっと上げ、ラストに向かって畳み掛けたかったです。
    曲の候補が他にもあって悩んだのと、ツクツーツクツーみたいなやつまったく安定して録れなくて苦労しました。

  18. たった1つの想い / KOKIA 「GUNSLINGER GIRL」
    「燃え尽きるまで走り続けよう」
    クライマックスです。
    私といえばSound Horizonですが(唐突)、今回のコンセプトではサンホラからの選曲が難しかったのもあり、地平線が繋がっているガンスリから1曲、というのもありました。

  19. 朝が来る / Aimer 「鬼滅の刃 遊郭編」ED
    信じて愛して“燃え尽きて”いく。たった1つの〜の重ねはこれしかない、思いついたときにはかなりテンションあがりました。バランス的にここらで重ねたい、というのと、最新の音楽からひとつは取り入れたい、っていうのも両方クリアしてくれる曲でした。

  20. stone cold / FictionJunction 「セイグリッドセブン」OP
    ラストに向かって梶浦由記女史でバトンを繋ぐ。
    数年前トラックに轢かれて死にかけ、リハビリを乗り越えていったコンサート会場で聴いて泣いた思い入れのあるものです。リアルに生きる力をもらったので、外せませんでした。
    それとは別にまたこちらの楽曲もラブレター的側面もあります。単品でも歌ったものがありますが、そろそろ歌い直したいです。

  21. リンダリンダ / THE BLUE HEARTS
    個人的最強人生応援歌で締めました。ブルーハーツよ永遠なれ。


■本番、および審査について
元々は事前に送っていた作者コメントのみの参加の予定でしたが、Day2の9番目ということで、幼女たちを寝かしつけてから通話での出演が叶いました。ラスト3作品、休憩明けのタイミングというのもインパクトの強さに拍車をかけた感じがして、ただただくじ引きの運に感謝いたします。本家M-1でも勝敗を左右する「順番の妙」を体験することができた感じがします。

いよいよ「ぐっどらっくみきょく」が世に出て、視聴者コメント、楽屋でのみなさまの反応を浴びながら参加してよかったーーーーーと心で叫んでおりました。あの感覚は中々味わえるものではないですね。画面にクローバーめっちゃ降ってきてたのがフラワーシャワー(リーフシャワー?)みたいで嬉しかったなあ。
審査では、審査委員長のタイヤヤさん(@taiyaya20000)から「勇気が要る」「勇気をもらえる」という、込めたものをまるっと受け止めていただけた最高のお言葉をいただき感極まっておりました。キットカットさんの「採点殺し」で笑ってからの『ニコニコメドレーライブ+2019』(#NML2019)の話が出たのもめちゃくちゃ熱くてヒャーーーーってなってました。本当にありがとうございました。

〜ぐっときたことばを拾う〜
「嘘だろ」
「それもまたメドレーだね」
「メド歌勢からの刺客」
「調教うまかったな」
「いや皆さんもよかったでしょお」
「波乱を生み始めている」


■おわりに
賞レースではありましたが、前述のとおり賞を狙いにいく作品<<<自分が楽しく、お祭りを盛り上げる作品という考えでしたので、結果第3位という素晴らしい評価をいただき、驚きと喜びでいっぱいでした。ありがとうございました。
メドレーライブ+のときにも同じようなことを書いた記憶があるのですが(そしてブロマガは消えてしまっているので、ここにいつかあげなおすことになるかもしれませんが)、ニコニコメドレーにはご存知の通り様々なアプローチの方法があり、楽しみ方も千差万別です。この企画に関わったみなさまが何らかのエネルギーを得て、「次」に繋げていく、メドレー的に連鎖して、何かが生まれていく、そんなことを心密かに願い、楽しみにしています。
Med-1グランプリ、最高でした!


■二次会などからのQ&A
Q.「自宅に防音室を構築」とは?
家を建てる際にワガママを言って、半畳分の趣味スペースを作ってもらいました。自立するタイプの吸音材で4面を囲い、ラックにPCやインターフェイスを詰んで繋いで録音ブースとしています。
部屋自体は客間扱いなので、誰か泊まりに来るってなったら全て屋根裏に撤収しなくてはなりません。

Q.ベースも本当に1人で出してるの?
A.私の声ではありますが、オク上で歌ったものを-12キーしてます!ごめんなさい!でも逆に言うと、それ以外の補正はナシです。

Q.ゴスペル等の経験が?
A.特にありません。歌を習った経験でいうと、中学の頃人数が足りなかった合唱部に助っ人で参加したことくらいですかね。あとは、学生の頃一瞬ですが、バンドでシンセとコーラスしてました。

Q.音源はどこで買えますか?
A.そこになければないですね。幻ですが、その昔「ざいすっぽいど」というネタはありました。

Q.あの声で子守唄歌ってもらえるってこと?
A.「わたしがうたう!ママだまってて!」と言われます。




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