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32.長期運用は本当に得なのか?

⬜︎「長期運用」の効果と欠点
 
長期間お金を貸し出すことで、利子所得の獲得が期待できますが、長期物価上昇と比較して物価上昇を下回るような利子所得では、お金の保蔵は発揮できず、むしろ腐っていくと言えます。
 
長期間企業の株式を保有することでその企業の業績に応じた配当所得が期待できますが、常に業績が安定しているとも、常に企業が黒字とも限りません。
また、株式には値上がりという譲渡所得が期待できますが、逆に譲渡損失の可能性もあります。
 
「長期投資の最大の特徴は、投資家が短期的に株式売買を繰り返さず、企業の成長を長期間じっくり待ってから株式を売却すること(キャピタル・ゲイン)にあります。四六時中変動する株価を気にかける必要がないので、日常多忙を極める勤労者のライフ・スタイルに適した投資スタイルだと言える」と多くの専門家や販売に従事する方々はおっしゃられています。
 
 しかし、大幅な株価上昇による値上がり益(譲渡所得でありキャピタル・ゲイン)は株式の発行企業の成長が前提となったシナリオであり、株式購入時の見込みに反して企業の業績が伸びなかったり、最悪の場合は倒産してしまったり、株式相場が大暴落するような想定外の世界の突発事件に直面することも長期保有の間にはあり得る話です。
 
株式を長期間保有し、単に値上がりだけを期待するという運用は、こうした不測のリスクを負う可能性もあることを忘れてはいけません。
 
 
⬜︎価値の増大を期待する運用(キャピタル・ゲイン)の「欠点」
 
①売却益(譲渡所得・キャピタル・ゲイン)はすぐに得られない。
②投資期間が長くなればなるほど予測が難しい。

③運用コストが大きくなる。
④銘柄(投資先)選びで失敗するとお金と時間のロスが発生する。
⑤現金化(オフ・バランス)する際、元金部分を取り崩すことになる。
 
 一般的に言われている「長期運用」は、あくまで「値上がり=成長」前提の資産運用ですので、育たないケースがあることと、現金化して使う時に、元金と利殖部分を取り崩して使う点が最大のデメリットです。
 
運用期間が長期に及ぶため、数十年前に勧めてくれた担当者はもういないとか、何十年も経過していざ使う時には目減りしているとか、期待通りの運用ができず気が付いた時には老後資金の準備が間に合わないなど、「取り返しのつかない失敗」につながる可能性が高いことが難点です。

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