『料理番組』
あらかじめ用意しておいたものがこちらです。
私はこの一言がとても好きだ。
まず具材を用意する。
具材を切り、下ごしらえをして、味付けをする。
それを煮ること30分で出来る料理。
テレビ番組では煮る時間を待つことは出来ない。
尺的な問題があるからだ。
そのまま待っていたらエンディングに入って、終了。
まさに煮え切らない。
それを解決する魔法が、
あらかじめ用意しておいたのがこちらです、だ。
番組が始まる前に、
具材を用意して、具材を切り、
下ごしらえをして、味付けをする。
そして30分煮ておくのだ。
そして完成した料理を、
台の下に置いておく。
そして、番組が始まり、
煮る工程に入ったところで、
あらかじめ用意しておいた
下に置いておいた完成品を出す。
この日も、同じ段取りで番組が終了した。
私 「はいお疲れ様です~。」
葉山「ありがとうございました。」
私 「今日の撮影以上です。
いや~葉山先生の料理を見ると、
お腹が減ってしょうがないですよ。」
葉山さんは、私がプロデューサーを務める料理番組「ミセス葉山のスリーミニッツクッキング」に出演をしてもらっている、プロの料理人だ。
葉山「あら、嬉しい。
来週も張り切っちゃうわ。」
私 「来週のメニューはもう決まってますか?。」
葉山「あ、レシピ持ってきたの。
夏野菜カレーとかどう?」
葉山さんはレシピを書いた紙を渡してくれた。
私 「ああ、いいですねぇ。」
葉山「でもあれ、作るのに時間かかるから。
3分じゃ無理かしら。」
私 「いや大丈夫ですよ。
事前にね、やっておくんで。」
葉山「それでもちょっと難しいかも。
かなり工程がおおいのよね。」
私はレシピを一通り見た。
私 「うん、大丈夫です。
来週の放送までになんとかして見せます。」
葉山「ほんとに?頼むわね。」
ー1週間後ー
葉山「さぁ始まりました。
今週のスリーミニッツクッキング。
今日のアシスタントは、注目の若手俳優、三島トオルさんです。」
三島「おはようございます。三島トオルです。」
葉山「普段は料理はされます?」
三島「いやぁ。自炊はなかなか。
コンビニで済ませちゃいますね。」
葉山「あら。じゃあ今日は栄養付けてもらうためにね、こちらのお料理を作っていきます。葉山特製、夏野菜カレーです。」
三島「おお~。僕、カレー大好きで・・・」
葉山「では早速作っていきましょう。」
三島「あ、はい。」
葉山「まずはこちらの具材を用意してください。」
葉山はテーブルの上の具材を指さす。
三島「あ、具材の紹介です!左から、にんじん・・・」
葉山「あらかじめ用意した具材の紹介文がこちらです。」
テロップに差し込む。
これで視聴者には伝わるはずだ。
葉山「それではこちらの具材を水で洗いましょう。
三島くん、お願いします。」
三島「はい!まず根菜はくぼみの土を・・」
葉山「あらかじめ洗っておいた野菜がこちらです。」
葉山さんが台の下から、
三島「あ、もうあるんですね。」
葉山「ではこちらの野菜を切ってください。」
三島「はい!」
三島は包丁を取り出す。
あらかじめ洗った野菜を切り始める。
葉山「あ、三島さん、野菜は乱切りでお願いします。」
三島「ごめんなさい。」
葉山「あらかじめ切っておいた野菜を見て勉強してください。」
葉山はあらかじめ洗っておいた野菜の横に、下の台から出したあらかじめ切っておいた野菜を置いた。
三島「あ、それもあるですね。」
葉山「さ、ここからが本番です。野菜を炒めます。」
三島「わかりました。」
鍋にあらかじめ切っておいた野菜を入れる。
葉山「優しくやって、強くかき混ぜてはいけません。」
三島「なるほど。」
葉山「あらかじめ強くかきまぜたのがこちらで、優しくやったのがこちらです。」
下の台から鍋を2つ取り出す。
あらかじめ洗っておいた野菜の横にあるあらかじめ切っておいた野菜の横に置かれた。
三島「なるほど。これは全然違いますね!」
葉山「そうでしょ?
じゃあ水を入れて、ルーで煮込みましょう。」
三島「わかりました!」
三島はあらかじめ洗っておいた野菜の横にあるあらかじめ切っておいた野菜の横にあるあらかじめ切っておいた野菜を強くかきまぜた鍋を取り出してルーを入れた。
葉山「ちょっと!それはあらかじめ切っておいた野菜を強くかきまぜた鍋です。あらかじめ切っておいた野菜を優しく痛めた鍋は、あらかじめ洗っておいた野菜の横にあるあらかじめ切った野菜の・・・」
スタッフからカンペが出る。
「残り10秒です。」
葉山がパニックになってしまった。
まだ段取りの半分も行ってないのだ。
動いたのは三島だった。
三島「ええ、時間がきちゃうので、あらかじめ用意した完成品を出したいと思います!」
下の台をのぞく三島。
世界地図、腐った生ごみ、古典落語のDVD、爪、エアコンのホース、色々なものが大量にあった。
何とか夏野菜カレーを見つける。
三島「ええと、完成品がこちらです!」
カメラが引きで二人を映していく。
エンドロールが流れ、CMに入った。
僕 「あの俳優さん、売れるな。」
~終わり~
なぜこうなった。
何もでないとはこのことだな。
読んでいただいた人に申し訳ない。
次回は良いものを書きたいと思います。
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