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『アソビ人のススメ』装丁デザイン裏話 #EXODUS

2020年1月10日現在、EXODUSより出版される『アソビ人のススメ』(著:Kiyoto)のお届けが当初の予定より遅れており、最短発送日は1月20日となります。
支援者の皆様におかれましては、お待たせしてしまっており、大変申し訳ございません。

今回、お待ちいただく間の小噺として装丁デザインの裏話を紹介させていただければと思い、このnoteを書きました。

少しでも『アソビ人のススメ』を手に取った時の楽しみが増しますと幸いです。

***

まずはじめに自己紹介をさせていただきます。

EXODUSにて編集を担当している篠原舞と申します。

幻冬舎 箕輪厚介さん主宰のオンラインサロン「箕輪編集室」にて、書籍編集のお手伝いをさせていただいているのですが、編集者として装丁を一から担当するのは『アソビ人のススメ』が初めてでした。

なんとなくの流れは把握していたものの、依頼するデザイナーさん決めから発注、納品に至るまで全て一人で行うのは未経験。

しかも、記念すべきEXODUS出版第一弾。
しかも、著者はあのKiyotoさん

薄れゆく意識の中、私の頭には、戸倉さんしか浮かびませんでした。(意識は無事回復した)

トサカデザインの戸倉巌さん

『ゴング格闘技』などの雑誌や、『お金2.0』『メモの魔力』『ハートドリブン』をはじめとしたNewsPicksBookなどの書籍のデザインをされている方です。


すぐに戸倉さんに依頼メッセージを送ると、「是非お願いします!!やりましょう!!」と快諾。さらに「EXODUSの仕事には普段とは違う何かがあると思ったので、やってみたかったんです」という嬉しいお言葉もいただきました。

発注する前に、まずはKiyotoさんに装丁イメージがあるかを伺います。

Kiyotoさんからいただいたイメージは、

「LEONや東京カレンダーのギラギラしたダサい都会の遊び人と、SafariやOceansのサーフライフの間ぐらいの世界観。ヒロミさんとか、坂口憲二さんの生き方みたいな」

というものでした。

てっきり、EXODUSのクラファンページに載っている装丁の世界観をイメージしていた私は、「間ぐらい…?」と混乱しました。

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(これはどちらかと言うと「LEONや東京カレンダーのギラギラしたダサい都会の遊び人」のイメージ)

でも、確かにLEONや東カレを目指すと「すでにメディアによって作られたアソビ人」になってしまい、それでは芸がなく、ダサい。

あくまで今回伝えたいのは、Kiyotoさんの提唱する「アソビ人」です。


ちなみに「ギラギラした都会人(LEONや東京カレンダー)」のイメージはこんな感じ。

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「サーフライフ(SafariやOceans)」のイメージはこちら。

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Kiyotoさんのオファーは、これらの「間ぐらいの世界観」。


そこで、「アソビ人とは」について掘り下げることにしました。
アソビ人の定義そのものが「間ぐらいの世界観」だと考えたからです。

本文を読み込むのはもちろん、ヒロミさんや坂口憲二さんのインタビュー記事を読んだりしながら「アソビ人」を立体的に定義し、戸倉さんに伝えます。

そこから、戸倉さんが
「これって最終的に目指しているのはこういうこと?」
「ターゲットの読者層はこういう層だよね?」
「つまりアソビ人ってこういう人のことだよね?」
などといった問いを投げかけてくれ、アソビ人に対しての認識を擦り合わせていきました。

ここを外してしまうと、世界観がぼやけてしまい、中身の価値が正しく伝わらなくなってしまいます。

とにかく世界観を明確に伝える。それを意識しました。


ちなみにこの時、箕輪さんが編集者のデザインについて話していた内容をめちゃくちゃ参考にしました。

編集者のデザイン力とは、明快な旗を立てること。抽象的すぎても具体的すぎても駄目。それだとデザイナーさんのクリエイティビティを阻害してしまう。

大事なのはこだわりを指し示して、あとは丸投げすること。制約だけ設けて、その中でデザイナーさんに遊んでもらう。

良いデザイン、良いライティング、良い編集というものはそもそもない。けれど、”良い本”はある。良い本を作るためには総力戦なので、中身が良くなかったらデザインも良くならないし、中身が明快じゃなかったらデザインもぶれる。だから編集者は、明快な旗を立てることが必要。

明快な旗をバシッと一発で立てられたかというと正直まだまだだなと思いますが、戸倉さんの力を借りながらなんとか発注が完了。

もうあとは戸倉さんに丸投げ。お任せです。


こうして戸倉さんが出してくれたデザイン案がこちらです。

・1つ目

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・2つ目

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実はデザインを進めてくれている途中、戸倉さんからこんな相談を受けました。


ご相談。今回、書店売りではなく直接手元に送られてくる事を考えると、普通の本の仕様でも悪くはないんだけど、手にしたときの満足度を少し上げられないかなと思いました。本は本なんだけど、普通に売っているのとはなんか違うよね、という感じが出せないかな〜と思いました。そこで2つご提案です。可能かどうか知りたいです。

★四六版だとちょっと白々しい感じがしたので、判型をB6(128×182)にしてみるのはいかがでしょうか? 

★カバー巻き無しの上製本にすることは出来ますか? カバーの意味があまりない気がしているので、雰囲気のある紙で仕上げたら存在感があると思いました。


四六版とは、いわゆるビジネス書に多いサイズのこと。それにしないということで、『アソビ人のススメ』はサイズとしても一般のビジネス書と一線を画します。

カバー巻きなしとは、普通、ビジネス本だけでなくほとんどの本にはカバーが巻いてありますが、それを巻かない試みをするということ。かわりに『アソビ人のススメ』は紙の質にこだわります。

そして上製本とは、表紙が分厚い本のこと。多くのビジネス本は並製本という上製本に比べると表紙が薄いものになっています。そのため、『アソビ人のススメ』は手にした時の重厚感が違うのです。


もちろんこれらの提案事項については可能です!と即答。そして提案されたデザイン案が先ほどのものでした。

改めて戸倉さんのコメント共にご紹介します。


・1つ目

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夜っぽい雰囲気は出さないようにしました。そのかわり質感で雰囲気がさせればと思いました。
カバーのパール調の紙は高級感。トレペは洒落た余裕感。
金や銀を使えばもっと大人っぽくなるのですが、夜っぽいかったりお金の匂いがしてくるので止めました。


・2つ目

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もうすこし大人っぽく。帯は無いです。


どちらのデザインも最高すぎる、というのは大前提で、私の中では「絶対1つ目の方!これ以外ない!」と心が決まっていました。

箕輪さんに共有したところ、「1つ目がかっこいい!上質だし特別感ある!」とのことだったので、そのままKiyotoさんにも1つ目のデザイン案をご提案させていただきました。

Kiyotoさんは即断即決。

こうして『アソビ人のススメ』の装丁が決まりました。

カバーはパール調の紙で高級感。帯には透け感のある異素材を用い、洒落た余裕感を。こんな提案、戸倉さんしかできない…!


本当は2つの案を見てもらった方が良いのでは…とも悩みましたが、「まずはこの案を見てもらい、必要ならカラー違いを提案し、それでも別案をと言われたら2つ目を出すようにしよう」と決めて1つ目だけの提案に。

それだけ、アソビ人の世界観を体現しているのはこれだ!という自信があったのです。(…と言えばかっこいいんですが、その時はドキドキでした笑)

そのため、本当に、自信を持って支援者の方にお届けできる1冊が出来上がりました。


ぜひ楽しみにお待ちいただけますと幸いです!


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