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Blue ocean

はじめに

たまには真面目な話を。

近年、高精度のAIが猛威を振るっている一方で、我々のような一般的な馬券購入者のレベルも年々上がっているように感じます。
一昔前ならもっと舐められていたような馬でも最近では当たり前に人気しており、妙味を取るのが難しくなっていると日々痛感させられます。

その中でも比較的AIなどの参入余地が少なく、まだギリギリ人力で妙味を取りやすいと思っているのがダートの下級条件
芝が主流である現代競馬においては大衆の逆をついていると言わざるを得ないかもしれませんが。

ここ数ヶ月、主に下級条件(未勝利,1勝C)ダートに資金を割くことで安定した的中/回収ができており、実際私の収支の9割以上を支えています。
あるフォロワーさんから「なぜダートの予想ばかりなのか」といった質問をDMでいただいたこともあり、一旦思考を整理するためにもこうして記事を書く運びとなりました。

この記事では主に、あらゆるクラスの中でなぜ″下級条件″なのか、そしてなぜ芝ではなく″ダート″なのかについて私なりの考えを書いています。
長くなりますが、興味がある方がいらっしゃれば(いないか…)どうぞお付き合いください。

1.オッズの乖離

まず初めに、とある日の1Rと11Rの売り上げを示す。

1R:計633,241,500円(6億3324万1500円)
11R:計2,224,355,600円(22億2435万5600円)

朝イチの1Rとメインの11Rではなんと約3倍も売り上げが違う。
しかもこの日の11Rは重賞ではなくOP競走である。これが重賞、さらにはGIともなればもっとこの差は広がるというのは想像に難くないはず。

当たり前の質問かもしれないが、土日の朝9時50分から競馬をやっているような層はどんな層か考えてみてほしい。少なくともメイン付近だけ参戦するようなライト層はあまり興味もないだろうし、そもそも起きてすらない時間帯かもしれない。

言い方は悪いが、せっかくの休日の朝から競馬を見てる時点で相当競馬が好きな人か、常にお金を賭けていないと気が済まないギャン中のほぼ2択だ。当然後者の占める割合が圧倒的に多く、そしてそのうちの多くが負け組だろう。
毎週重賞やメインレースだけ参戦するようなエンジョイ勢に比べてどうしても客層は劣る。

つまり、ただでさえ少ない売り上げの大部分を負け組たちが負担してくれているということ。
もっと簡単に言えば、買い手のレベルが低いため、オッズに乖離(≒妙味)が生まれやすく、売り上げが少ない分簡単にオッズが変動し得る。

本当に言葉を選ばずに言うと「雑魚狩り」状態というわけだ。
良い例えかどうかわからないが、例えば我々が野球チームに所属していたとして、太ったおっさんだらけの草野球チームと、筋骨隆々な若者ばかりのチーム、どちらと戦った方が勝算が高いか、というそんな次元の話。

そういうわけで、多くの競馬ファンが参戦し、売り上げの多い重賞レースに比べて、オッズが歪む局面が度々起こりやすい。

2.ダート替わり

未勝利戦においては、芝でスピードが足りず頭打ちになった馬たちがダートに替えて勝ち上がりを試みるパターンがよくあるが、芝で負けている分馬柱がいい具合に汚れているため過剰人気しにくい。

ダートで勝ち切れず今回も引き続きダートを使う馬と、芝でダメだったがダートで立て直しを図る馬を比べた時、前者は限界がある程度見えてるが、後者は無限の可能性を秘めている。

実際、未勝利ダートで圧勝したりするのは初ダートの馬が多かったりするわけで、不確定要素の大きいところに妙味を見出すことでこそ他者との差別化を図ることができる(猿でもわかるような強い馬を狙っても仕方がない)。

3.バイアスが顕著

未勝利戦というのは基本的に開催日の午前中(1R〜4R)に行われ、多くの人はこの間に午後のトラックバイアスを見極めるためこの時点であからさまにバレるということが少ない。
例えば超前残りの馬場で逃げ馬が過剰に売れる、ということが起こりにくい。

じゃあどうやって予想すればいいんや!って話になるが、結論から言うと「とにかく先行馬」
こいつ適当なこと言うなよ!と思うかもしれないがあながち間違いではない。
芝であれば馬場によって傾向が大きく変わるが、それに比べてダートは顕著ではない。

ダートの特性上、極端な追い込み馬場になることは少なく、基本的にはどちらかと言うと前にいた方が有利(例外もあるが)。
多くの場合、ダートでは当たり前にハイペースになり前半緩むということは少ない。芝でハイペースになれば普通は追い込みが決まりやすいがダートはそうでもない。
追い込みが決まるケースとしては、力の足りない馬がハイペースで逃げて垂れたところを地力のある強い馬が脚力でねじ伏せるみたいなパターンだがこれでは正直妙味に乏しい。
芝と違って物理的に追い込みが効きにくい。


これが未勝利ならさらに顕著で、成長途上の若駒にはそもそも追い込めるほどの脚力が乏しい上、砂被りを嫌うケースも多い。そう言った意味でも明らかに先行した馬が有利。
つまりスタートセンスとテンの速さ、たったこれだけで他馬に対してアドバンテージが取れてしまう。

4.逆張りが有効

2023年に行われたレースのうち、オッズが1倍台(1.0〜1.9倍)に支持された馬の成績を示す。

芝 204-75-38-79

勝率51.5% 連対率70.5% 複勝率80.1%




ダート 167-69-36-78

勝率47.7% 連対率67.4% 複勝率77.7%


ここから未勝利戦のみに限定すると、

芝 75-29-14-24

勝率52.8% 連対率73.2% 複勝率83.1%


ダート 86-37-22-34

勝率48.0% 連対率68.7% 複勝率81.0%


いずれにしてもダートの方が成績が悪い。
裏を返せば、圧倒的に人気な馬がいたとしても、その他の馬にチャンスが多いということ。
いやいやそうは言っても「全然逆らえないじゃん」と思う方もいるかもしれないが、言い換えると約3回に1回は連逸しているし、約2回に1回は勝ち切れていないということ(十分じゃない?)。

1倍台の馬が2回に1回しか勝てないということは1着固定でベタ買いすると当然回収率は100%を大きく下回るということである。(仮に全部1.9倍としても1.9×48=91.2%)
このことからも「ひたすら1倍台の単勝を買っても勝てない」ということは簡単にわかるはず。
単勝が買えないなら馬単・3連単を買えばいいや」、という人もいるがこれも結局同じ。
馬単・3連単も所詮は単勝の延長に過ぎず、収束スピードが違うだけで行き着く先は結局同じ。
つまり、「とりあえず1倍台の馬が2回に1回は勝つなら頭固定で3連単ハネ待ちしよう!」みたいな初心者がやりがちな買い方をしてしまうのは中長期的な目線で考えるとかなり危険。
そう簡単に跳ねないし、跳ねてもたかが知れている。たまたま一時的に勝ててもそれを続けていればいずれ収束する。


「過剰人気馬を嫌って、シンプルに能力の高い馬の単系を買う」というスタンスがいかに合理的か、ここまで読んだ賢い方なら理解に難くないはず。

5.能力差が大きい

当たり前のことだが、未勝利戦は新馬戦で勝てなかった馬はほぼ必ず通るルート。この中には後にGIを勝つ馬もいれば、1勝クラス止まりの馬もいるし、あるいは1勝もできずに地方に移籍したりそのまま引退する馬もいる。
それだけ異なる運命を辿る馬が同じレースを走っていると考えれば、将来勝ち進めるだろう馬を見極めるのは実は簡単なんじゃないかな?という発想になるのは突飛なことではないはず。

実際そういう明らかに抜けてそうな馬がいて、なおかつオッズがつくパターンが珍しくない。

補足しておくと、未出走馬が多い上、既走馬のレベルが低い時期の未勝利戦(3歳春〜夏)は難易度が高く、無闇に手を出すと痛い目を見る場合があるので注意。

6.情報が少ない

重賞、特にGIは毎週のように各紙や某競馬サイトのコラムで大きく取り上げられるぐらい話題性があって、その分我々の目に入る情報も多い。
承認欲求系のインプ稼ぎ競馬情報まとめ屋さんみたいなアカウントが我先にと取り上げてくれるのでありがたいですよね。

しかし下級条件になればなるほどそんな情報はほとんど入ってこない。

言うなれば芝重賞は釣り堀。目で見て魚が泳いでいるのが分かって釣り上げるのは容易だが、大物(≒妙味)は泳いでおらず、しかも他の客(=競合)が虎視眈々と狙っている。

一方で、水深数百mの沖合で釣りをしなければならないのが下級条件。船の上からは魚影は見えず、水深何mに魚がいるのかもわからない。
発走直前にチラッと馬柱を見て、「2,3着続きだから強そう」ぐらいの人は方位磁針ぐらいしか持っていない。
一方で過去走を見返して好走/凡走要因を見極め、今走さらに上昇が見込めるかを判断するための作業や下準備をしている人は魚探レーダーGPSを持っているようなもの。そもそも持っている道具が違うのでこれらをしない人との差は歴然。

あらゆる情報に溢れ、誰でもそれなりに正確な情報を得られる芝重賞とは異なり、情報が少ないからこそほんの少しの手間をかけるだけでいとも簡単に差別化が図れてしまう。

もちろん競馬に限らず言えることだが、情報で溢れかえった現代においては、情報を取捨選択する能力が問われる。

おわりに

以上、私の競馬観でした。
このやり方が正しいという主張ではないので、みんなそれぞれのやり方で競馬を楽しんでいきましょう。1つだけ絶対に言えることは「ギャンブルに必勝法はない」ということです。
まとまりのない文章になりましたが最後まで読んでいただきありがとうございました。
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fin.

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