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虹ヶ咲 NEXT SKYの感想よもやま話

2023年6月23日に劇場公開された「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 NEXT SKY」。
公開から時間が経過し、整理が付いてきたので思い浮かんだトピックごとに振り返ってみようと思います。

いつものように後で当時を振り返るために書くと長くなります…。
目次を置いておきますね。

突き詰めれば、再び劇場のスクリーンが幕を開けるときにはもうちょっと成長できていると良いなぁ…と、共に歩んでイマを共有できる虹ヶ咲が改めて好きだとなりました。


前に進もうとしてぶつかる壁の話

配給はバンナム。松竹などの会社が挟まっていません。そして製作委員会も2期と同じPL!N 2022です。そのことから、体制的には2期そのものっぽいです。

そして、ストーリーも思ってた以上に13話を踏まえた内容でした。そういう意味では実質2期14話に近いように感じます。29分ながら今回も重層的な物語になっていました。

  • アイラを中心としたスクールアイドル活動を紹介する話 (ある意味、視聴者にスクールアイドルを紹介・振り返る物語も兼ねてます)

  • アイラと三船栞子を軸とした、自分で自分の限界を決めてしまう話  ※端的に言えば「限界を超えろ」をとても優しく描いているのがNEXT SKYの本質的な物語でしょう

  • 26話に渡る同好会の始まりやトキメキのきっかけを振り返りつつ、今度は始まりの地で13人でトキメキを与える話 (場所や物語のコンテクストが巧く乗って際立っていた部分)

  • メタな意味でUTXや沼津などを介して、他の舞台作品の実在性へ輪を拡げたこと (言い換えればラブライブ!シリーズとして描かれてこなかった部分に膨大な想像の余地を作っていったところ)

端的に言えば、2期で「次はあなたの番!」として背中を押された"あなた"にとって、壁にぶつかってもめげないで欲しいことが本作のメッセージだと感じました。その上で、他グループの実在性を予感させる余地を残すことで世界観を拡げられた作品だと感じます。

途中参加3人と初期10人のギャップを埋める物語

物語で中心的な役割を担った三船栞子はもちろん、栞子・ミア・ランジュの後発3人が際立つ演出がされています。
もちろんR3BIRTHについては2期で新曲がなかった点を反映したように感じます。強いて言うならばFeel Aliveの新規映像が欲しかったなぁとは思いつつ...。

そして、NEXT SKYでは次回作の予告があったことから、本作はアニガサキで初めて(?)次回作を前提に作られたと感じられます。
そのため、本作で後発3人に焦点を当てていたのは、メタな視点で言えば三部作で13人を同じスタートラインに立たせる意味合いもあったように感じました。部分的にはスクスタが敷いた道を再構築していた2期と対照的に、ここから更に未知の物語が加速していくようで楽しみです。

元気な三船栞子が好き

ランジュは2期序盤から侑と並行する形で描かれ、ミアもランジュとの絡みで描写されてきました。対照的に栞子は過去の自分や姉(すなわち同好会の外)を軸に物語が描かれてきたこともあり、これまで同好会内で栞子自身のプレゼンスは少し弱く感じていました。

そのため、満を持した主人公ポジションは嬉しい悲鳴です。
ヨカッタネシオリコチャン....

個人的にはこれまで多くの人を適性へ導きたい先鋭さ(と裏返しの一種の危うさも)を兼ね備えたスクスタしお子の方が好きだったりしますが、アニメで限界を超えていく姿を見て、違う栞子だけど栞子はひとつと再確認できたのも良かったです。アニガサキで再解釈され自分を真っ先に縛っていた栞子は、髪飾りを結び変えることで外見も中身も限界を乗り越える。甲乙つけがたい二人ですが、堅さや物腰の柔らかさを振り切った姿には、自分のなかでようやくスクスタ栞子とアニメ栞子が同じラインに並んだように思いました。
推し…羽ばたいてくれ……。

また、アニガサキは一義的には侑が主人公ながらも、今回のように栞子を軸に全員回を描けることが改めて虹ヶ咲の特殊性であり魅力だと思いました。

あと、しおぽむオタクとしては、いわゆる甘々な絡みではなくスクールアイドルに対する経験値の差で背中を押してあげる堅実な絡みがとても好きです。しおぽむを…ありがとう......。
2期で登場した会議棟エレベーターの地縛霊にならずに済みました。

スクスタが役目を果たした裏付けと、スクリーン前の"あなた"を取り込んだ物語

秋葉原、沼津、金沢、原宿、ダイバーシティ東京プラザといった虹ヶ咲に限らずシリーズおなじみの場所が登場する本作。
アイラがスクールアイドルの体験活動を通して見て触れていくものは、スクリーンの前の"あなた"にとっても、虹ヶ咲に留まらず様々なことを想起させていたように感じます。

だから新しいキャラクターであるアイラも優しい目で見守れましたし、作品を楽しむための土台を画面外へ拡げ視聴者を引き込める虹ヶ咲の強みが全開でしたスクールアイドルは良いぞ…。

一方で本作で描かれたスクールアイドルの世界は、改めてスクスタが役目を終えたことの裏付けを感じます。

スクスタとしての役割、それは大きく分けて3つあったと思っております。

1つ目は、μ’s、Aqours、虹ヶ咲という3シリーズが登場するオールスターストーリーをラブライブ!シリーズとして初めてあなたにお届けすること。

運営だよりvol.25

スクスタはμ's・Aqours・虹ヶ咲が同じ時間を共有する夢の世界でした。
そんなニジガクはアニメ化で独立したタイトルを獲得した代わりに、自分達
だけの世界を歩んで行くことになります。

NEXT SKYが描いたものは、3グループが同じ時間ひとつの画面に存在しなくなっても、遠回しに世界はいつでもALL STARSであると伝えたいように思いました。

その最たるものがUTX学園を登場させたことでしょう。この学校があるということはつまり…という示唆や可能性です。(そして高咲侑、お前は一体どこまで"知っている"んだ…)
原宿に至っては澁谷かのん宅があるブラームスの小径の入口まで登場しています。

少なくともスクリーン前の"あなた"は、言及こそなくとも秋葉原・沼津・金沢・原宿・ダイバーシティと言われればスクールアイドルの心当たりが浮かび、人によっては訪れたりライブへ行った体験を持っています。

物語と"あなた"の体験を掛け合わせれば、かつてのあなたちゃんがいなくても、アニガサキは否応なしに画面外の"あなた"を物語へ取り込んでくる。そして作品の垣根を越えた片鱗を"あなた"とスクリーンの相互作用で見せてくる。媒体は変われども、虹ヶ咲が"あなた"に呼びかけて歩んでいく物語であることに変わりはないのでしょうね。そんな描写の最たるものが、エンディングで直々に"あなた"を応援してくれたことと言えます。

スクールアイドルと同じ学生に限らず、様々なファンの頑張っていることが敷き詰められています。直前に栞子ちゃんが締めくくったように「こちらも負けられないですね。」となる二重構造が好きです。

これも仲間でライバルなのでしょうか?
いずれにせよ、1期から続いているキャッチフレーズの「今また夢を追いかけよう」の意味が可視化されているようで虹ヶ咲らしくて楽しいですね。

これは自分もそうですが、やりたいことをやるなら今が一番若いのでやりましょう。やりたいことがなければ自分の本音に向き合ってみましょう。

虹ヶ咲は終わらないって言ってるだろ!(劇場三部作バーン)

NEXT SKY公開→次回予告パートの衝撃→三部作発表で怒濤だった6月23日。

アクアシティ初日第1回の上映は、方々から響めきや息を吸う音が聞こえてきて初回にしか味わえない独特の緊張感も思い出になりました。(私もその1人)

ところでアニガサキ1期は2期の話がない中で描かれた物語であるとオフィシャルブックで語られていたように、おそらくそうした虹ヶ咲のプロジェクト展開の副作用だと思うのですが、

  • 古参にとっては虹ヶ咲が派生プロジェクトである負い目や"公式が最大のアンチ"と呼ばれていた空白時代

  • 毎回躊躇なくクライマックスを描いて終わるアニメやライブ

  • スクスタのサービス終了

  • 何故かμ'sと被せてくる色んなキャッチフレーズ

  • 後輩作品の登場 (=スクールアイドル戦国時代)

といったこれまでの要因が重なり、つまり虹ヶ咲のファンは相対的に不安を抱きやすいように思います。(実際は隣の芝生は青いとは思いつつ)

それは身も蓋もない言い方をすれば、周到な呼び水としても練られているヨハネや、構造上長期展開を予見しやすいスーパースター!!と比べればプロジェクトの様々な地盤や見通しが弱く見えるからでしょう。実際、三部作の発表で安心感を覚えた方も多いです。(※もちろん、ここについてはシリーズ共通ですけどね)

そうは言っても、虹ヶ咲が終わらない部分については、公式が口を酸っぱくする程に発信してきました。

5th Live!には「Next TOKIMEKI」と始まりを意味するタイトルが付けられてましたし、「あなたとTOKIMEKI Stories Project」の説明文、そして林鼓子さんの採用などなど...
つまり、公式的には全く終わらせるつもりはないことが度々発信されています。キャストさんも虹ヶ咲は終わらないと度々言及していたのも、少なからずファンの動向を気にしていたように思います。

こうした経緯を踏まえると、公式が一番懸念していたのは「幾ら説明してもファンが作品の今後を心配し続けている」なのかもしれません。
だから、そうした雰囲気を突破するために三部作のレールと"安心"を与える必要があったように感じます。

代償として、虹ヶ咲のその時々の一瞬を見逃さない心構えは薄まるのかもしれませんが、勝ち得た3作分の時間と体験は大切にしていきたいですね。

その上で、"劇場上映シリーズ"という見慣れない表現があります。
もしかしたらNEXT SKYと同様のスタイルなのでしょうか。

"限界"とライブにおけるコミュニケーションの"らしさ"

ファンと一緒に盛り上がれるよう自分を変えたいけど変われないーーー。
本作では、そんな悩みを抱える三船栞子も主人公でした。

栞子本人は悩みについて自分の"限界"とギリギリ言わないですが、後にアイラが"限界"と言うことで二人が持つ同じ壁を一本化してた構成はすごいと思いました。

振り返れば、スクスタでは薫子さんの子供扱い(=つまり外圧)に振り切れて「翠いカナリア」が誕生しました。それが「EMOTION」で自分の時間を進み始めたアニメ栞子にとっては、ファンの期待に応えるため引き続き自分(=いわば内圧というか自己)と葛藤を続けている対比が面白く感じました。

ファンが逡巡してから盛り上がる様子はもちろん滑った表現とも取れますが、同時に、逡巡したけど満更じゃなくて盛り上がったようにも見えます。
続けていけば栞子ちゃんの定番になるようにも感じもしますよね。

その点、4th Live!の「コンセントレイト!」で唐突にイエーイした小泉萌香さんが好きなので、6th Live!では逆に真面目な挨拶をしてほしくもあります。
(気をつけないとFirst Liveの楠木さんになるかもですが...)
渾身の「Hey Guys」に期待です。

林鼓子さんのせつ菜について

ここだけ「にじたび!」を含めた感想になります。
個人的には、林鼓子さんで良かったです。

それを踏まえた上でも、キャストさん交代の感想って、言葉にするのが非常に難しい…。

例えば優木せつ菜のベースを築いてきたのが楠木さんである以上、暗に楠木さんを土台にした比較論に終始してしまう気がして危うく感じています。
そう考えると、交代したキャストさんについてどのような感想を述べるのが適切なのか、未だに良く分かっていません。
でもそこにいるのは他ならぬ優木せつ菜です。
だから、林さんで良かったです。(出だしに戻る)

ただ、NEXT SKYを見ていると反射的に"なんか低音が強いな…"といった"違い"を意識してしまうこともあり、馴染むまでに自分はもう少し時間が必要なのかもしれません。(※私は元と同じである必要はないと考えています)
それは決して後ろ向きな話ではなく、つまり自分のなかで違いをどう捉えるのか、どう吸収あるいは昇華していくのか…といった課題ですね。

違いといえば、既にライブの方が顕著です。
ライブにおいて強さと身体性で優木せつ菜を体現する林さんと、様々な歌唱技術で優木せつ菜を表現してきた楠木さんという印象を受けます。それはどちらも優木せつ菜だと感じます。
では優木せつ菜的なものとは何なんだろう?…🤔
(そろそろゲシュタルト崩壊するので止めましょう)

抽象的な話に終始しましたが、今のところ、お二人を通して優木せつ菜が何であるかを見届けて行ったら、その先で優木せつ菜はいずれ1+1=2より大きい存在になるんじゃないかなぁと期待しています。

だから6th Live!と三部作、そして引き続き林さんのパフォーマンスが楽しみです。

あまり目立たなかった高咲侑

本作ではあまり侑が目立たなかったなぁ…という感想。

それも当然で、スクールアイドルと自分の限界の物語だったから挟み込める部分が少なかったように感じます。もしアイラを応援するペネロペも来日していれば、応援する者同士で絡みが増えていたのかもしれませんね。紫苑女学院とはもっと仲良くなれそうです。

強いて言えばアイラにとってスクールアイドルを応援する側の高咲侑がどう映っているか、同好会に厚みを作る意味でも話が欲しかったとは思いました。ペネロペでそこを描いているので侑を出すまでもなかったのかもしれません。
もっとももしかしたら侑もまだコンクールに打ち込んでいて、私たちに大きく出られるタイミングではないのかもしれません。

写真!!!動画!!!!!

めばち先生のイラストと写真・動画…アァァァァァァァァァァァァアアアァァ (終了)

ずっと見てみたかったものだったので、しばらくそれ以上の感想が出そうにありません…。
私がお台場の写真を撮っているのは、ひとつはアニメ化前にお台場の街を調べながら"ここにいたら良いなぁ…"と残し始めたのがきっかけだったりします。お台場を撮る理由のひとつが成就された気がします… 0('、q)_ヽ)_

夏は正面に陽が落ちます

みんなカメラを買ってお台場を撮ろう。

終わりに

結局アニガサキ2期の感想は書けずじまいでしたが、高咲侑に背中を押されて新しいことにチャレンジしている自分が感想そのものってことでいっかとなってました。
対照的にNEXT SKYはこれまでの総括と今後に向けた序章を兼ねていると感じたので、ちょっとずつ書き起こしてみました。

色々書きましたが、個人的にはNEXT SKYで改めて励まされ、再び劇場のスクリーンが幕を開けるときにはもうちょっと成長できていると良いなぁ…と思うのでした。

お互いに頑張ろうと直接背中を押してくれたり、一緒に歩んでいける。
そんなイマを共有できる虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会が好きです。

小難しいことを散々書いておきながら、この時期の夕暮れを見ていたらその5行で充分じゃない?となりました。

明日の青い空は今日と違いますが、写真を撮っていると、同じ空の写真だって日によっては違う空に見えることもあります。次の三部作に向けて、色々楽しみに出来る日を満喫していきたいですね。
ではでは。

「面白かった」「役に立った」など琴線に触れる部分があれば、スキなどのリアクションを頂けると今後書くモチベとテーマの参考になります🙏