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虹ヶ咲 3rd Live!を色んな視点で振り返る


 振り返りって、その人が作品を追ってきた目線が一番出るところだと思います。

ライブ前にラブライブ!シリーズファン目線で「虹ヶ咲の好きなところ」を書いてたので、きちんと振り返って締めくくっておこうと思います。

シリーズを通した目線で書いていたので今回もライブの進行(ミクロ)より一歩引き気味な視点(マクロ)で思いついた順に書いてます。進行に沿った話も一杯書きたいところですが、細かく書くとその後ろの着眼点を忘れて自分で辿れなくなるので今回位の粒度が好きなんです。


原動力へと吸収されていた初期の停滞と新しい道

 もともとリリース延期やスローな展開で読めない虹ヶ咲に対して運営が最大のアンチと揶揄する声もありましたし、私もその思いは引き摺ってるところはあります。アニメ化も努力で勝ち取ったと表現され個人的にその側面を最大限尊重していますが、一方で企画開始はスクスタリリース前と考えられるため、むしろ現状打開策や切り札としての側面も感じているところがありました。

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それでも田中さんや大西さんをはじめとしたMCから一歩一歩の歩みが攻めの姿勢に繋がって発露されたのは、結果論にせよ安心と感激が止まらない瞬間でした。ようやく初期の頃を忘れることが出来るような気がします。

先代であれば目標のレールである東京ドーム・紅白に乗りたい意気込みと、虹ヶ咲しかできないことも両方やりたいと欲張っていく姿勢、虹ヶ咲のこれまでを形容する「一歩一歩」や「ゆっくり」と対極にあるそうした発言をずっと待っていました。

鮮明になった虹ヶ咲とLiella!の違い

 「始まりはみんなの空」を交えて再確認できたこととして、虹ヶ咲とLiella!は同時期に展開するスクールアイドルとしてはとても対照的です。

スクールアイドルに対する純度を追い求める姿勢と先代が築いた成功の枠組みを再構成しながらラブライブ!らしさを探る道のりを歩みつつ予定外のテレビアニメとドーム公演に辿り着いた虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会。一方で先代ラブライブ!のスタッフを受け継いで怒濤のロケットスタートをしていくLiella!。

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「あなた」と「私」の違いを取り込んだ2つの「叶える物語」が30分程度で往来できる舞台で走って行くのはとても面白いことです。リリイベを通してLiella!にはロケットスタートにかかる重力に負けないだけのポテンシャルが求められ、そこへ食らいつく5人を感じられました。

そして2グループの先には、今もシリーズの旗艦であるAqoursがその実力と積み重ねがなければ挑戦できなかった実写MVでラブライブ!の新しい世界を拡げているところも面白いですね。

ただ、一方でユニットCDの試聴ツイートには制作陣を押し出す珍しい戦略も感じました。ここから先へ進んで新たなファンを得るには、これまで守っていたスタイルを崩す必要もあるのかもしれません。

ライブに向けたファンの心労の蓄積

 掴み取ったアニメとドームライブ開催を何としてもやり遂げて欲しいと思いながらも、日々感染状況が悪化していることもあって気を揉む日々が続いていました。その個人的な葛藤はこのnoteに書いたので割愛するとして、開催2週間前に静岡県側の見解を踏まえてAqours 5th Anniv.ライブが延期となり、緊急事態宣言によってLiella!リリースイベントの無観客化も決定。状況の理解不足や行き場のない感情から何故虹ヶ咲だけが...と内ゲバ的な声も目にするなか、埼玉県のまん延防止措置による制約を満たす形で実施されました。

実際に西武球場前駅から座席に至るまで警備員の監視や密回避の指示があり、荷物を出すためにちょっとしゃがむだけで座らないよう指摘される位には徹底していました。

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ただ、作品が好きなファンほどこうした気を揉んだ日々に疲れて距離を取ろうと思う方もいるのではないかと思います。ライブ後に燃え尽きたファンのなかには少し距離をとるなどして休養するインターバルがあっても良いのかもですね。

Aqoursと異なるストーリーライブの形

 Aqoursのライブのように劇中を振り返りながら演出するライブを予想しましたが、幕が上がった途端にライブタイトルの「スクールアイドルフェスティバル」に込められた意味をわからせられることになります。

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それは同じくストーリーをなぞる進行でありつつも主人公高咲侑と上原歩夢の物語にウェイトを置き、そこへ沿うように第13話で描かれたフェスティバルを再現するような9曲が続くものでした。ユニットもB面曲も寄り道しない純度の高い進行ですが、それでいてステージには劇中の映像も挿入されることで振り返りとフェスティバルを両立した構成になりました。

異なる世界線が混ざる混沌の先に見る概念のようなライブ

 DAY2ではアニメーションパートが終わった後は2ndアルバムのメドレーが披露されました。

虹ヶ咲は大別してアニメとスクスタの2つの世界線が基軸になっています。アニメではスクスタを含むそれまでの虹ヶ咲をデータベースとして様々な場所で取り込んでいましたが、ライブでは2つの世界観が1つに混ざった混沌と概念のようなものを示してくれたように思います。

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その背景には奇しくも2ndアルバムは自己紹介的な1stアルバムから一変して1人1人の物語へ踏み込んでいく曲が揃っていることが挙げられるでしょう。それはテレビアニメのソロ曲のテーマとも非常に親和性が高いものでした。その結果、

・本当の桜坂しずくの誕生を描いていく「Solitude Rain」と本当の私を見せたことで自分らしさを探す「オードリー」
・侑に背中を押されて優木せつ菜を取り戻す「DIVE!」と自らスクールアイドル優木せつ菜を認めてもらう「MELODY」
・自分を隠すことを止めるアプローチがまったく違う「VIVID WORLD」と「Wish」
・理想郷(ワンダーランド)を目指す「Poppin’ Up!」とその世界を歌う「☆ワンダーランド☆」

同じキャラクターが2つの世界を通して対照的であったり、同じでも違う景色が見られたり、共通するテーマを介して繋がっていたり。キャストの演じ分けはもちろんですが、メタな目線で2つの虹が混ざり合って白色にクラッシュしそうなひとときが最高でした。

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一方でトキメキをキーワードにそれぞれの夢へ向かって行く姿勢は共通しているので虹ヶ咲のテーマ性や概念めいたものを感じられる場でした。不意打ちで混沌でありながらも2つの虹ヶ咲に通底したテーマを感じ取れる、ある意味で欲張りなライブだったように思います。

再来した2日目の魔物とステージの距離

 「夢がここからはじまるよ」のイントロでピアノ演奏を披露した矢野妃菜喜さん。

そのDAY2では弾き始めが分からなくなってしまったところを大西亜玖璃さんのマイクに入った「がんばれ」に後押しされて乗り越える一幕がありました。Aqours 1st LoveLive! DAY2の逢田梨香子さんを彷彿とさせた方も多いと思いますが、改めてDAY2にいる魔物の存在を意識するエピソードでした。

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とりわけ今回は観客側から見る高咲侑だからこそ、構造的に万が一でもキャストは駆けつけられず、声で繋ぎ止められたところは後ろ向きに見れば不幸中の幸いでもあり、前向きに捉えると夢ここらしさ全開のエピソードとなったように思います。


「仲間でライバル」のライバルを描くステージの行方

 振り返れば1st LIVEのヘッドライナー総選挙とアンコール企画は虹ヶ咲らしいライバルの側面を押し出した尖った企画でした。その結果9人一体となって叶えていく物語のイメージが強いファンをはじめ反発心を抱くものであり、自分も反感を覚えたツイートをしてます。

その声に応えたように例えばマンスリーランキングはアンケートに取って代わられ、競い合う側面はなりをひそめ多彩で自由な同好会が前面に出ています。テレビアニメでも相対主義的な作風が目立ちライバルとしてぶつかり合う部分は朝香果林さん回を通して描かれるような個人回に根ざした側面が強くなりました。アニメーションPVのタイトルが「未来ハーモニー」であったように、あのとき思い描かれた現在の形は明らかに調和を意識する方向にあるでしょう。

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最近のスクールアイドルチャンネルを通して人気が偏る現実が露見していますが、そうはいっても校内シャッフルフェスティバルのような当初の虹ヶ咲から変わってきた今だからこそ何かしらの形でライバルの側面にフォーカスしたライブやイベントが今後もあると嬉しいですね。もっとも、スクスタがストーリーの調理に大失敗したことで調和路線が加速するかもしれません...。

お台場と登場する舞台の話 - 入れない場所と消える舞台

 めでたく2022年放送予定となったTVアニメ第2期。

ところが当のお台場はオリンピック開催に伴い立ち入れない場所が多く、東京ビッグサイトまでもがゴールデンウィーク後から立ち入れなくなりました。一応これらは今年の大会後から冬にかけて順次原状復帰される予定でいます。

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アニメ1期の企画開始から放送開始までが約1年数ヶ月だったことを踏まえると2期は順当に行けば2022年夏〜秋放送開始の可能性が高いように思います。ロケハン時期的には閉鎖期間はあまり影響なさそうに思いますが、まだ出ていない場所にも良い場所がたくさんあるので色々なところが出てきてほしい自分には若干動向が気になるポイントだったりします。

 さらに、2023年からはパレットタウンの再開発が着工するため1期で登場した場所は姿を消すことになります。解体に向けた工事を含めれば2022年内に閉館する可能性もあり、2期の放送時期によってはギリギリのタイミングになるかもしれません。2023年以降にはまだ登場していない区画での新規開発も始まる為、お台場にいつもあった景色が変わり始める時期にさしかかろうとしています。虹ヶ咲がお台場の記録映像になっていくのも意外と早そうですね...。

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終わりに - 一歩一歩と言いつつ怒濤の進撃をはじめていた虹ヶ咲

 そんなこんなで思いついたところから書いてきましたが、4年間の中でここまでゆっくり一歩一歩進んできたと言われる虹ヶ咲はこの1年半のライブ実施回数を踏まえれば怒濤の勢いで取り戻すように進撃しています。それが3rd Live!のMCにあったように、意識的に攻めていくスタンスになったことは新たなニジガク史の転換点と感じられてこれからの展開が一層楽しみになりました。

まずはファンミへ行きたい...。

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