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第2回鯛巻めきめ記念杯結果発表

1.初めに

 前回同様に一ヶ月の期間を設けて開催された第2回鯛巻めきめ記念杯ですが、今回は前回より4点増の9点の応募がありました! ありがとうございます!

 今回は前回よりも若干落ち着いた雰囲気の作品が多く、読む方としてもしっかりと腰を据えてじっくりとお相手させていただきました。

 優勝作品及び特別賞受賞作品については最後のセクションで発表されます。まずは各作品への講評からどうぞ。


2.講評

 講評の順番は応募順です。なお、作者名についてはいずれも敬称略とさせていただいております。

(参)金属泥を鼻から吸って(作者:鯛巻めきめ)

 参考作品として鯛巻めきめ先生に一筆お願いしたのですが、「なんか気持ちがレイムになってしまった」とのことで結局完成することはありませんでした。腰抜けが!

 めきめ先生曰く、「スラッジ小説のイメージが前回のポストパンク小説よりもキャッチしにくいとの反応を受けて書いたスラッジ小説としてのサンプルである」、とのこと。伝わっているでしょうか?


(1)(果汁入り『本物』ドロップ一缶三千五百円)(作者:山盛り怪文書)

 今回最多応募の山盛り怪文書さんですが、相変わらずエロい描写に強みがあり、中盤の【恋人ごっこ】なんかは美男子とオッサンのイチャイチャにも関わらずなかなかのエロさでした。うむ……。

 う~~んだがしかしSF的な部分がもっと強ければいい位置に行ったかもしれない! 惜しい! 審査員は面倒なSFおじさんなのでそのあたりがうるさいのです……。


(2)泥濘の夢(作者:佐々木匙)

 まさか「スラッジ小説」で募集したら伝奇ホラーをブッ込んでくるとは……。佐々木匙さんはカクヨム界隈でこういった雰囲気のホラー作品を中心に書いている方なんですが、完全にいつもの感じで筆力でブン殴りに来たかたちです。なんてことを……。

 そう、あの、完全にいつもの感じなんですよ! ぜ、全然杯の雰囲気に文体をチューンするとかしてないじゃないですか! いや良かったは良かったんですけど!


(3)安全ピン、ハンガー、その次は?(作者:差オム)

 正調SF! で、多分元ネタはデイヴィットスンの「あるいは牡蠣でいっぱいの海」だと思うんですが、実は当該作品を読んでおらずワッハッハ。

 うだつの上がらない主人公とその同僚の会話を中心に色々あって食えるモノが牡蠣ぐらいしかなくなってしまった世界のお話が組み立てられているんですが、文体がいい! 今回の投稿作品の中では一番読んでて気持ちよかったです。


(4)マーク付きエンジェルネスト(作者:山盛り怪文書)

 山盛り怪文書さんの二発目は、えー、ゲームブックです。ゲームブックて! こ、このあからさまな特別賞狙い! 申し訳ありませんが、ゲームブック方式の投稿は次回以降禁止させていただきます! でもこの作品は初めての投稿だからOK。なんでも最初にやるやつは偉い。

 で、これまでのsetsuさんの書いてきた文章の中では、リズム感と雰囲気が一番好きです。こ、この感じで完全に訳の分からない小説を書いてきていたらもしかしたらもしかしていたかもしれない……うむ……。


(5)虹の空と銀の怪物と向こうの旅(作者:犬山ソーセージ)

 人類文明がほぼ崩壊した世界であるミュータントと出会ったスカベンジャーの話を描くSFなわけですが、いい塩梅のポストアポカリプス感で世界設定は好きです! けれども、ああ、もうちょっと文体が乾いていたらぴったり好みにジャストだったかもしれない……お、惜しい……。


(6)「アイ・ソウト・オブ・ガン・アンド・マイ・デッドボディ・ビフォア」(作者:ヤラカシタ・エンタテインメント)

 はいはいはいはいいいですね、まず人が死んでいますね、その時点でいいですね。やっぱりヴァイオレンスはいいですよね! ちょっと前にあった映画「ハードコア・ヘンリー」を思わせる殺し具合で爽快ですね! これにホットなベイブ足したらもうゴリゴリのパルプになりますね、いやはや……。


(7)『話す男の話』(作者:山盛り怪文書)

 こ、これ! この感じですよ! これでいいんですって! これが強みですよ! 客観的に! このドライヴ感ですよ!

 え~~もう、なんでこのお話を1万字書けなかったのか、え~~みたいな感じなんですが、あ~~もうという感じで、まだ講評セクションでネタバレをしてしまうんですが、もしこの作品がこのままのノリで文字数規程をクリアしていれば特別賞を受賞していたでしょう……。 おや? ということは?


(8)ザ・ウィッシュボーン(作者:マツモトキヨシ)

 はーー上手い……。 いやうまいっすわ。ポストリアリズム的メタメタ文体といい世界観といいいやー参りましたね……。いやちょっと色々ありまして。

 まあいいか?


(9)メトロノーム・クラッシュ(作者:noraosamu)

 残念ながら時間オーバーです!文字数もちょっと足んない!残念!ざんねーん!


3.優勝作品は?

 う~~~~~~ん今回の優勝は!

ザ・ウィッシュボーン(作者:マツモトキヨシ)

 に決定しました! おめでとうございます!

 いやもう、前回も思ったんですが、やっぱ圧倒的に文が上手いですよね………何食べてるんですかね本当に……。これを優勝にしないと自分の中で嘘になるので優勝にしました。もうあの……好きです


4.特別賞は……?

 で今回から増えた特別賞についてなんですが、審査基準を「なんだかよくわからないけど破壊的にブッ飛んでる小説」にしようと決めていました。その点で言えば山盛り怪文書さんの『話す男の話』が対象になるんです……が! 文字数が足りない! ああ! ああーもう!

 ということで残念ながら……

該当作なし

 あーー!!!

 ということになってしまいました。残念……。


5.最後に

 今回は早くも鯛巻めきめ文化圏が成熟の度合いを見せてきたのか、皆さん応募作の雰囲気が落ち着いていましたね。でももっと暴れてもいいのよ! とも思いました!

 もっとこう……情欲だとか情念だとか衝動丸出しの文章……そう言ったものを……鯛巻めきめ記念杯は求めています!

 第三回目の開催は今のところ未定ですが、来るべきその時まで、皆様牙を磨いてお待ち下さい。

 それでは!

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