「面白くなりました」と言われたとき、本当に作品は面白くなっているのか?

※最近批評でも同じことを言ったと思いますし、かなりの人にも似たような話をしていますが、個々人の話ではなく一般論として聞いてもらえれば幸いです。

こんにちは。yzkrtです。突然ですが、最近カレー作りに凝ってまして、色々なカレーを作っています。今日はあの、最近流行りのカレーを作っていこうと思います!まず材料は……

失礼、友人から電話がかかってきました。一度出ます。

友人A「ねえねえ、カレーのレシピについて聞きたいんだけど。いいかな?続きが分からなくなっちゃって……」
yzkrt「いいよ。どこまでやった?」
友人A「野菜を炒めて、味噌で味付けをするところまでやったんだけど、ここからどうしたらカレーの味になるのか分からないんだ」
yzkrt「まず、炒めた材料は諦めてもらって、レトルトのカレー粉でも買ってきてもらえるかな」

失礼しました。最近カレー作りに凝っているという話をしたせいか、友人からカレー作りに対する相談がよく来るんです。ちなみに友人Aは今度、カレーの大会に出るらしいですよ。

さてさて、話が脇道にそれました。カレーの作り方の話をしましょう。用意する材料は……

失礼、今度は違う友人から電話がかかってきました。一度出ます。

友人B「ねえねえ、ご飯が作りたいんだけど、いいかな?野菜を味噌で炒めるところまではやって、友達からは美味しいと言われたんだけど、もっと美味しくしたくて」

はて、今度は味噌野菜炒めの質問でしょうか?カレーではないですが、僕を頼ってくれてるのはとてもうれしいことです。出来るだけ美味しい野菜炒めができるようアドバイスしてみましょう。

yzkrt「味の素って知ってる?美味しくなるよ」
友人B「味の素だね!わかったよ!」

いいアドバイスができたみたいで良かったです。そういえば、B君も今度カレーの大会に参加すると言っていました。今度美味しいカレーを食べさせてほしいですね。

ええと、どこまで進めていたんでしたっけ。

思い出しました。批評の話ですね。

批評をしていると、時々、こんな意見を受けることがあります。「ここの部分は、他の人に面白いと言ってもらえたので、できるだけそのままで行きたいのですが……」と。確かに、面白いと言われた部分を大事にすることは重要です。しかし、それが記事にとって有用な役割を果たしていない場合があります。

例えば、あなたがカレーを作りたいと考えているとします。肉や野菜を炒めて、友人に試食してもらいました。すると、友人はこう言いました。
「味がないからとてもじゃないけど食べられないよ」と。困ったあなたはとりあえず沢山味噌を入れて、味付けをしました。もう一度同じ友人に試食してもらい、「さっきと比べてどう?」と聞きました。今度は友人はこう言いました。「味のなかったさっきより、味噌の味がしてとても美味しい!」と。

さて、これはカレー作りをしているあなたにとって、喜ばしいことでしょうか?そうではありませんよね。では、アドバイスを求めた友人が味オンチだったのでしょうか?

いいえ、友人はあくまで、さっきと比べて味を評価したにすぎません。もしかしたら、他の人なら、「君はカレーを作りたいはずだと思うのだが、そのままだと味噌野菜炒めになってしまうよ」と的確なアドバイスをしてくれるのかもしれませんが、そういう人はなかなかいないですね。

批評も同じです。「前回よりも良くなりました」という言葉をよく見かけますが、それが作品に対してどういう役割を持っているのか?というところまで俯瞰して再確認することが大事です。「前回よりも良くなりました」という言葉は「味がしないよりは、みそ味がしておいしい」という批評である可能性があることを念頭においてください。時々、「前回よりも良くなった要素を外したら、作品の質がまた下がってしまうのではないか、ここを残す形でもっと面白くできないか……」という方がいらっしゃるのですが、思考の袋小路にハマっていて、良くないなと思います。批評を受けた際にはできるだけ、物語の要素を分解して(これも大分抽象的な要求ですが)、その部分がどういう役割を持っているのか考え直してみましょう。

そして同時に、批評を求める際には「私はカレーが作りたいんだけど」と相手にしっかり伝えることが大事です。こうすることで、要素の分解をするほど批評が得意でない人でも、「多分なんですけど、味噌を入れたらカレーではなくなるとは思います」と批評することができます。

なんにせよ大事なのは、作者自身が作品をできるだけ俯瞰してみることです。何を書きたいのか、何が面白いのか、そのためには何を追加して、どの批評を参考にすべきなのか……まで考えることが大事です。これは作者の役割なので、各々頑張ってください。

ちなみに、ベテランの人に頼めば安心!?かというと、そうでもありません。前の履歴と比べるのは誰しもやってしまうことなので慣れている人ですら、間違えることがあります。こうして文章を書いている僕も、(メタ認知できている分マシとは言えるのでしょうが)どちらかというと前回の内容を引きずりがちだなぁと感じています。

最終的な落ちどころとしては、どの批評を採用するか含めて、作者の技量ということです。それも練習だと思って、やってみましょう。

https://free-materials.com/%e3%83%93%e3%83%bc%e3%83%95%e3%82%ab%e3%83%ac%e3%83%bc01/

さて、美味しいカレーの作り方を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?みなさんもぜひ試してみてくださいね!

次回はシナモンと一緒にロールキャベツの作り方を学びます。また来週もぜひ見てね!

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