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私は母と不仲だ。

小さい頃からずっと頑固者同士、
言い合いになる事が多かったし
今も実家に帰ればすぐに喧嘩してしまう。

そんな母が去年の夏、乳癌になった。

病気は結構進行していて、胸の摘出やら
抗がん剤治療やらホルモン治療やら
これからやらなければならないと
何かの話の流れで、そういえば
という感じで連絡がきた。

あんな強い母が乳癌になるなんて
私は理解出来なかったし
そんなにさらっと報告することじゃない。

母が弱っていく姿を想像することもできず
私もその血を引いてしまったのかなんて
自分の身にもいつか訪れる恐怖を感じていた。

それから実家に帰れる時間も無く
母の抗がん剤治療が始まった。
治療が始まってしばらくした後、
実家に帰る機会があった。

私は母を心配していた。
優しくしよう、そう思っていた。

しかし母は髪は抜け落ちていたものの
いつもと変わらないパワーで
私に嫌味をぶつけてきた。

「お前が帰ってくると余計にストレスが溜まる」

煩い。悲しい。
でもそれと同時に、
なーんだ、母は辛い治療でも弱らないんだと
少し安心した自分がいた。

今思えばきっと母は私に心配かけまいと、
母なりの精一杯の強がりだったのだろうと思う。

そんな母の治療はあと1ヶ月で終わるらしい。

免疫力の関係で外出できず
内見も一緒に行けなかったし
卒業式も来れない。

まだ、生きられるか、死んでしまうのか
そんなところも教えてくれないからわからない。

大学に入学する頃はまさか
母がこんな風になるだなんて思ってもいなかったな。

ウェディングドレスは見せられるかわからないけど
せめて袴の写真くらいは見てもらいたいな。

母の大好きなディズニーの近くに住むから
いつか一緒に行けたらいいな。

そんなことを思いながら残りの学生生活を送ります。


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