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バスを利用する側も最低のマナーを守りましょう

神戸市長田区の県道を走行していた神戸市バスが急停止し、乗客の78歳の女性が前座席に顔を打ちつけ鼻の骨を折る重傷を負ったというニュースがありました。長田署によりますと、この事故は47歳の男性運転手がバスを運転中、左側からいきなり出てきた乗用車に驚いて急ブレーキを踏んだことで発生したそうです。バスの運転手は乗客を目的地まで運ぶことが仕事ですが、それには必ず“安全に”という前提が付けられます。ですから車内でケガ人がでたら運転手は社内規定によるものだけでなく、場合によっては行政処分も受けることになります。そのため以前の「降りる方は小銭など事前に準備してスムーズな乗降にご協力ください」という定時運転重視のアナウンスが、最近では車内でケガをされるくらいなら遅延するほうがマシとばかりに「バスが完全に停止するまで絶対に席を立たないで座ったままお待ち下さい」としつこいくらいの注意喚起に変わっています。
今回の女性は着席していたにもかかわらず前座席に顔を打ちつけたくらいですから立っている乗客の危険度はさらに高まります。しかし、ほとんどの客が“スマホに夢中”なのは困ったことです。左手にスマホを握り右手の指で画面をひょいひょいと誰もつり革、手すりにつかまっていません。その様子をバックミラーで見る運転手は気が気ではないことでしょう。
今回は急ブレーキにより乗客の1人が負傷していまいましたが、もし急ブレーキを踏まず乗用車と衝突していればさらに多くの負傷者になったかもしれません。運転手はできる限りの安全措置をとったのにも関わらず処分の対象となるのはなんとも釈然としません。
全国でバス路線の廃止が相次いでいますが、これは運転手不足が原因です。会社からは安全運行を指示され、それにより遅延すれば客に文句を言われ、万一トラブルが発生いたら全責任をかぶらされて処分される。こんなリスクの大きい職業なんてなり手がいないのもわかります。利用者は路線廃止に文句を言う前に、自身を守るためだけでなく運転手のためにもスマホから顔を上げて安全確保に協力する必要があります。

令和6年2月9日号 百田尚樹のニュースに一言より抜粋

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