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マネーロンダリング

アメリカ・ペンシルベニア州ピッツバーグに住む夫婦が、銀行で下ろしたばかりの現金4000ドル(約58万円)を飼い犬に食べられてしまったというニュースがありました。
この夫婦は自宅フェンスの工事代として業者に支払うお金を銀行で引き出し、家のカウンターの上に置き外出していました。その後、30分ほどして部屋に戻るとカウンターに置いたはずの札束はなく、粉々になった紙幣が床一面に散らばっていたのですから大変です。そして、その悲惨な現場には夫婦の飼い犬「セシル」しかいなかったのですから、“状況証拠”的にはどうみても彼が犯人です。さらに「セシル」から出て来たフンの中に紙幣の切れ端という“物的証拠”が大量に見つかったのですからもう逃げも隠れもできません。しかし、この悪者は自分のしでかしたことを理解しておらず尻尾をぶんぶん振って寄ってくるのですから可愛いやら憎らしいやら。
夫婦も「セシル」がヤギだったら“紙のお札は食べられてしまう”と用心したのでしょうが、まさか犬が紙を食べるなんて思いもよらなかったようです。大金を失った夫婦は藁にも縋る想いで銀行に相談すると「お札の左右に印刷されている通し番号が残っている紙幣を持ち込めば新しいものと交換できる」と言うではありませんか。
すぐに「セシル」のウンチから紙幣を取り出す、文字通りの「マネーロンダリング(お金の洗浄)」を行ない、部屋中に散らばった紙幣の切れ端をかき集めテープで貼り合わせて銀行に急ぎました。通常、紙幣の交換は札の端が少し破れただけのものがほとんどですから、ここまでバラバラのものは珍しく、持ち込まれた銀行員も「なんか臭いな(いろんな意味で)」と思ったことでしょうが、なんとか3550ドルを新札と交換することに成功しました。ほっと一安心の夫婦はもう二度と犬の前に現金を置くことはないでしょう。
「セシル」はゴールデンレトリバーとプードルのミックス犬でしたが、ちなみにラブラドールレトリバーやゴールデンレトリバーなどの“レトリバー”とは猟銃で撃った水鳥などの獲物を回収してくる犬のことです。そんなレトリバーにもかかわらず自分のいたずらで飼い主の方にウンチの中から現金の回収を強いるとは「セシル」は本当に困った犬です。

百田尚樹のニュースに一言 令和6年1月26日号より

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