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岸田内閣の定額減税に伴う欺瞞的政策

6月から始まる定額減税で、政府は民間企業に対し給与明細に所得税の減税額を明記することを義務付けるというニュースがありました。すっかり忘れていましたが、昨年11月に国は1人あたり4万円(所得税3万、住民税1万)の定額減税を決めました。その理由を急激な物価高による家計負担を軽減するためだとしていましたが、物価高は今年6月から始まるわけではありません。すでに当時から国民は家計逼迫に喘いでいたのですから、すぐにでも実施すればいいものをなんだかんだと理由をつけ半年も先延ばしにしていたのです。
もちろんその間、国民が晩御飯のお肉を牛肉から豚肉に替えたり、ビールを発泡酒にするなど日々のやりくりに追われ続けたことは言うまでもありません。その“定額減税”の金額を今度は受け取り手に「はっきりわかるようにせよ」と言い出したのです。その理由を官房長官は会見で「国民のみなさまが政策の効果を実感できるようにすることが重要だ」と述べています。すなわち「ただ減税しただけでは国民はありがたがらないだろう、国が○○円、恵んでくれた。岸田内閣ありがとうと思うようにしろ」と言っているのです。
冗談じゃない、給料は元々労働者が働いて得たものです。それを返すだけなのに、さも与えるかのごとくなにを偉そうに言っているのか。「減税額を明記せよ」と言う方は簡単ですが、手間が増えるだけでなんのメリットもない実際に明細書を発行する企業は大迷惑です。
岸田内閣は民間企業に従業員の賃金アップを要請したことを自画自賛しています。その結果、この4月から実際に上がった会社もあったでしょう。しかし、支給額が上がるとそれにつれ控除額もアップします。果たしてどれだけ“手取り”が増えたのやら。減税額を明記しろというのなら、税金や社会保険料の増額分も同じように明らかにしてもらいたいものです。

「百田尚樹のニュースに一言」令和6年6月2日号より

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