メキシコペソ 6月4週目 アボガドマフィア

メキシコが大変なのですが、ドル円も160円付近で大変そうです。為替介入しても円安が止まりそうにないのですが政府はどうするつもりなのでしょうか?円安に怒ったトランプの円高命令で、米国債をつるべ打ちして双方とも自爆する未来を夢見てしまいました。

今年も社会保険料値上がりで可処分所得も減り、ますますの消費低迷で日本経済はさらに悪化しそうです。政治も低迷しているのでどうしようもありませんが、政治資金の通常課税、違反は脱税扱いと単純明快な主張する政党がないのが残念です。

ペソ沈静化の可能性

シェインバウム氏当選以降、経済界や銀行トップとの対談が続いていますが、財政規律の死守、投資拡大政策の実施、税制改革・増税の否定等々の現状維持、経済拡張政策を説いています。個人的には彼女の慎重な言動と先週の中銀総裁の為替介入発言もあり、今は底は打ったと思います。

来週政策金利会合なのですが、ハト派の金融界ですら22人中9人が利下げと完全トーンダウンしています。
反対にそれまでなかった年内利下げなし予想が3人いるところが注目点だと思います。個人的には、ドル建て債務を考えるとドルペソが17台で落ち着くまで、メキシコ中銀はペソが下がる可能性のあるいかなることにも手を出さないと想像しています。

それとアメリカとの経済格差を考えると賃金上昇とペソ高はUSMCAが継続する限り続くと思います。今のところ海外投資、送金、観光とドルペソ換金に直結する要素は堅調です。

アボガドマフィア

APHIS、米政府関係者への攻撃を受け、ミチョアカン州でアボカドとマンゴーの検査を一時停止

ミチョアカン州アランサ市の地域住民グループが、製品の品質を確認していた米国人検査官2人を拘束し殴打したことを受け、昨年6月15日からメキシコ産アボカドの輸入を禁止しているとのこと。アボガドの対米輸出額は年間30億ドルで無視できるほど小さいものではありません。

アメリカの一部上院議員は、メキシコのアボガド、ライム、グレープフルーツ、鉱物、ベリー類は不合理な水の使用、森林破壊、先住民への虐待の上に成り立ち、マフィアの利権が絡んでいるとこの事件に限らずメキシコからマフィア疑惑のある農産物禁輸を訴えているようです。

犯罪組織が果樹園に資金を流し、起業家として地域の有力者になる傾向もあるとのことで、この件はいろいろ勉強になりました。

南アは選挙でランド高

ブルームバーグの記事からです

5月29日の選挙の後、ランドの魅力はさらに高まり、政府がより市場に優しいと投資家を安心させました。対照的に、6月2日のメキシコ選挙で勝利し、事実上初の女性大統領となったクラウディア・シェインバウム氏の政策は不透明だ。ジェフリーズの外国為替グローバル責任者、ブラッド・ベクテル氏はインタビューで、対円で南アフリカランドをロングすることは今後数カ月で有利な賭けとなる可能性があり、「ペソに代わって新たな本命となる可能性がある」と述べた。

確かに日本円ー南アランドのチャートとドルベースで19から18へ上昇している6月分だけを見れば有望なのかもしれません。乗り遅れた感があるので手出しするつもりはありませんが、この記事では最後にポーランドを押しています。東欧も政情が安定すればそうなるのかもしれませんが、当面は怪しく思います。

トピック

通貨:
先週18.46から週末は18.11
メキシコ中銀の介入準備発言とシェインバウム氏の慎重な発言からペソは持ち直し

年末ドルペソ予想
財務省・・・17.80
メキシコ中銀・・・18.53
シティ・・・18.80

メキシコ株:
週末株価は52.2から52.7
大統領選挙後市場は混乱中

メキシコ中銀:
現在政策金利11.00%:次回の政策金利は6月28日
5月10日の政策金利会合は全会一致で金利据置
ペソ暴落で次回政策金利会合で利下げ据置濃厚
アナリスト22人中9人が来週の利下げを予想、3人が年内利下げなしと予想

バークレイズ:年内利下げの可能性なし
バノルテ:年末政策金利10.00%から10.50%へと下方修正
モルガン:ペソ暴落は過剰反応、中長期的投資にはかえって魅力的

セハ総裁:為替の動向次第では為替ヘッジ資金300億ドルの介入も検討
メヒア副総裁:これ以上のペソ大幅下落には為替介入もやむなし

INEGI:2024年4月の経済成長率は0.3%増、年率で1.6%
メキシコ2024年末経済成長率予想

3.0%・・・メキシコ財務省
2.5%・・・OECD、BBVA
2.4%・・・IMF
2.3%・・・メキシコ中銀、ムーディーズ
1.9%・・・シティ

金融:
第一四半期の総利益は693億ペソで4年ぶりで前年同期比より減少
4月までの総利益は934億ドル、前年同期926億ドルと比べ増加も実質レベルでは減少
ペソ暴落で引当金増加が利益を圧迫

消費者物価指数:
5月の年間インフレ率は4.69%、前月4.65%より0.04悪化
5月の年間コアインフレ率は4.21%、前月4.37%より0.16改善
3度目の熱波で野菜果物価格が懸念

貿易収支・経常収支:
2024年度貿易収支は累計64.5億ドルの赤字
貿易収支 4月:-37.5億ドル、3月:21.0億ドル、2月:-5.8億ドル
輸入額 4月:550.7億ドル、3月:486.5億ドル、2月:513.1億ドル
輸出額 4月:513.1億ドル、3月:507.5億ドル、2月:507.2億ドル

4月送金額は54.2億ドル ドルベースでは47ヶ月連続増加
1~4月累計は195.5億ドル 前年同期189.8億ドルと比べ1%増加

小売り売上:
ANTAD:3月までの累計小売り売上3663億ペソ、前年同期比6.9%増加
INEGI:4月の小売り売上は前月比0.5%増加
BBVA:消費は2ヶ月減退後、5月は2.7%増加
5月の消費者信頼感指数は46.7で前月より0.5悪化

雇用・失業率:
INEGI:4月失業率は2.6%
INEGI:第1四半期の失業率は過去最低更新の2.5%
IMSS:メキシコの平均賃金は日給573.4ペソ

製造業・自動車:
5月の輸出台数は31.1万台で年間累積142.6万台で前年同期比12.3%増加
5月の生産台数は36.6万台で年間累積165.2万台で前年同期比5.5%増加
自動車産業は2023年の生産台数370万台から2024年400万(韓国、ドイツレベル)以上と予測、そのうち輸出は300~350万台を想定
4月の景況感は前年同月比54.2%で好況を維持

食品:
6月初旬、今年3度目の熱波により農作物不作懸念
第1四半期の農業輸出は193.8億ドルで史上最高
酒類(ビール、テキーラなど)が輸出を牽引
同じく輸入は154.5億ドルで前年同期比3.8%増加

エネルギー:

メキシコバスケットは73.35から76.47
イスラエル情勢不安で原油高もアメリカ原油在庫増加から下落
ソノラの天然ガスをアジアへ売り込み

鉱物生産は前年比3.5%減少
減少は硫黄(49%)、銅(23%)、鉛(18%)
増加は亜鉛(1%)、蛍石(2%)、金(28%)

USMCA:
エネルギー国有化は引き続き論点
米国遺伝子組換えトウモロコシの使用を禁止するメキシコを提訴
アボガド対米輸出停止危機、輸出額は年間30億ドル

USMCA以外:


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