メキシコペソ 10月4週目 アメリカは高金利でも驚異の経済成長

日本ではほとんどニュースになりませんが、今週アカプルコ周辺をハリケーン「オーティス」が襲い、今のところ死者行方不明者が31名確認されているようです。来週「死者の日」の観光に影響を与えるのは必至ですが、製造業や鉱工業にどれぐらい被害を与えるのかは不明です。拡大しないことをお祈りします。

米国GDPが爆上げ

ロイターの記事ですが「米商務省が26日発表した2023年第3・四半期の実質国内総生産(GDP)速報値は年率換算で前期比4.9%増と、21年第4・四半期以来約2年ぶりの高い伸びとなった。景気後退懸念にもかかわらず、底堅い労働市場を背景に堅調な個人消費が主導し、市場予想の4.3%増も上回った。」、個人消費は4%増ほぼ2年ぶりの大幅増加、そしてドル円は150円を突破。日銀の口先介入すらなかったので、152円ぐらいまでは無風の気がします。

一方でメキシコGDPも3.5%と好調です。10月中間年間インフレ率も4.27%まで下がってAMLOはこれを喜んでいます。インフレの今後については、どの専門家も悪化すると予想していますが、ジョナサンヒース中銀副総裁は「サービス価格が年率5.33%へ上昇、失業率の低い逼迫した労働市場、消費と投資に牽引され予想以上に好調であった経済の回復力が懸念材料である」と述べ「インフレのリスクバランスが依然として上方に偏っているだけでなく、リスクバランスは悪化している」と警告しました。メキシコの生活感が分からないので本当に未知数ですが、利下げ時期については2024年前半は難しそうと言う流れで、スワップは高水準が続くようです。

個人的には、米国債金利が高止まりしている中、月末のFOMCで利上げすることはないと思いますが、万一利上げがあれば阿鼻叫喚。為替はいいとしても株価が毎日乱高下するのは正直勘弁して欲しいです。

ペソはどっち?

アメリカ国債金利上昇と南米諸国(ブラジル、ペルー)の政策金利利下げ、世界的な政情不安とアメリカ政界の不透明などなどで、この一ヶ月でメキシコ・ペソは3.1%、チリ・ペソやブラジル・レアルは3.8%、コロンビア・ペソは8.1%下落しました。
10月5日、シティで専門家34人にアンケートとった2023年末ドルペソレートの結果
 19.00以上=0人
 18.00以上=11人
 18.00以下=23人
同様に2024年末ドルペソレートは
 19.00以上=15人
で財務省の予想は17.60と認識しているようです。

経済問題では為替レートが安いと(貿易)に有利と言われますが、メキシコはアメリカカナダの北米の割合が多く、アメリカの工場とUSMCAの恩恵を考えれば通貨安が特に有利とも言えません。反対に通貨安はエネルギー価格の高騰を招くので、忌み嫌われているようです。

3ヶ月前、ドルペソが17.00割って16.50ぐらいのときに18.00まで下がることを予想した専門家はいなかったと思います。今のメキシコペソ相場は国内政治、国際情勢と米国債金利に振り回されすぎで、今後アメリカの政治と国際関係が良くなればペソも上がるし、悪くなれば下がるという相関関係があるようです。

企業決算

メキシコ証券取引所(BMV)は空港株暴落で混乱していますが、今期の企業決算は、大まかにインフラや自動車部品は好調、小売りや食料品、飲食サービスも好調、通信、エンタメ系はコロナ期から下り坂という感じです。
(参考)
グルッポカルソ・・・インフラの売上高は13.3%増加も鉱工業が売上高は17.6%減少
グルッポメヒコ・・・鉱業、輸送事業の利益は年率18.8%増加
アルシー・・・FC飲食店(スターバックスやドミノピザ)の売上が11.1%増加
ウォルマート・・・売上高は7.7%増加
テレビサ・・・通信、エンタメ部門が不調で売上高は4.9%減少
メガケーブル・・・ネットサービス加入者は増加も利益は35.4%減少

トピック

通貨:
先週18.24から週末は18.12
米国債金利と経済成長率で不安定な相場
メキシコ中銀は年末のドルペソレートを17.75と予測
シティは年末ドルペソレートを17.60と予測

メキシコ株:
週末株価は48.3から49.1
一部企業の好決算から小反転

メキシコ中銀:
現在政策金利11.25%:次回の政策金利は11月9日
年末目標金利は11.25%
9月28日の政策金利会合は金利据置
利下げは2024年2月が有力だかペソ安の推移によっては再利上げの可能性
財務省は2024年財政赤字が石油収入減少によりGDP比5.4%、1.7兆ペソと過去最悪を予想
INEGI:8月のGDPは年率3.5%成長、第3四半期は年率3.3%と予想

メキシコ年末経済成長率予想
3.5%・・・パリバ
3.4%・・・XP、JPモルガン
3.3%・・・ムーディーズ、OECD
3.2%・・・バークレイズ、BoA、シティ、BBVA、メキシコ中銀、IMF
3.1%・・・フィッチ
3.0%・・・メキシコ財務省

金融:
8月までの銀行利益が1812億ペソ、前年同期14.5%増加で過去最高を更新中銀行は高金利で記録的な利益を継続
住宅費用の上昇で住宅ローンが前年同期比4.1%縮小

消費者物価指数:
9月の年間インフレ率は4.45%、前月4.64%より0.19改善
9月の年間コアインフレ率は5.74%、前月6.08%より0.34改善
10月中間の年間インフレ率は4.27%
10月中間の年間コアインフレ率は5.54%
アナリストは冬季燃料高とペソ安が物価を圧迫する可能性有りと指摘
メキシコ中銀は年末年間インフレ率を4.7%と予想

貿易収支・経常収支:
貿易収支 9月:-14.8億ドル、8月:-13.8億ドル、7月:-8億ドル
輸入額 9月:511億ドル、8月:537億ドル、7月:484億ドル 
輸出額 9月:497億ドル、8月:524億ドル、7月:476億ドル

8月送金額は55.6億ドル 前年同月比8.6%増加も前月より0.9億ドル減少
今年の送金額累計は414.5億ドルで前年同時期より9.3%増加
送金による購買力はドル安ペソ高で12.6%減少

小売り売上:
ANTADの9月までの累計売上は9701億ペソ、前年同期比11%増加
INEGI:8月の小売り売上は前月より0.4%減少
年間レベルでは消費行動が減少し始める可能性
9月の消費者信頼感指数は46.8、前月と横ばい

雇用・失業率:
INEGI:9月失業率は2.7%、前月より0.1%改善
9月の経済活動人口は前月より14.4万人減少で6084万人
非正規労働が61万人減少も正規雇用が52万人増加で非正規率が54.3%まで低下
9月の失業者数は前月より5.1万人減少
メキシコの若年(15~24歳)失業率は5.6%、日本、ドイツに次いで3番目

製造業・自動車:
2023年の海外直接投資額は400億ドル超えを予想
9月自動車生産台数は33.8万台、前月より1.3万台増加、前年同月比は24%増加
9月国内自動車販売数は11.8万台、今年累計は97.6万台で前年同期78.1万台と比べ24.9%増加
8月製造業活動指数は105.4、前月比は0.2増加
8月の景況感は前年同月比53.8%で好況を維持
7月総固定投資は年次29.1%、前月比0.3%増加
財務省は特定10製造業で輸出50%企業に税制優遇、誘致強化

食品:

エネルギー:
メキシコバスケットは84.86から79.91
米国需要減少と中東危機後退から原油価格も下落

USMCA:
エネルギー国有化は引き続き論点
米国遺伝子組換えトウモロコシの使用を禁止するメキシコを提訴
アメリカの対メキシコ貿易比率は年累計で15.8%で首位
メキシコーテキサス国境検閲強化で物流停滞

USMCA以外:

観光業:
死者の日の観光客は236万人、ホテル稼働率58.3%を予想


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